二月の汗
まるむし
(一次予選得点:14.5)
何もかも計算ずくで書いているなら、なかなか力量のある作者だと思いました。物語の随所に主人公の性格や、周りの人間との関わりが読取れます。僕は、「絶対に結婚する」などと言っていますが、実のところ大変に頼りない存在で、母親からは未だに子ども扱いされています。彼女からも、カンニング紛いの情報提供を受けていることからして、あまり信頼されているようには思えません。そんな頼りない(幾分親離れできておらず、彼女に母親を見ている?)存在である僕が、緊張しきって出かけるさまが、周囲の愛情とともに上手く描かれています。周囲の人々が優しい気持ちで主人公を見守ってくれることで、彼の人間性が好ましいものとして読者に伝えられています。そういう、やさしい人々の物語だと思います。
ただ、文章は未整理で、粗削りな感じがします。細かなところでは、「まわりはちぎれそうな枯れ葉を付けた木が小さな枝を作っていた」は、ぴんと来ない表現でした。「スキップする柴犬」も何を意図して描いたのか分かりません。
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