クレヨン

クレヨン

駿河草吉

(一次予選得点:14.5)

 この長さでなければならない作品といえます。これ以上長ければ、クレヨンとの比喩では思索が浅いように思われますし、これより短ければ取ってつけたような物になります。球場でもある一場面において白石が思うこと、それがこの作品の世界です。ある種、短歌に近いものがあるのかもしれません。彼の今までの人生、これからの試合経過、そうした散文的もろもろは捨象して、この時間の一点において、うまく人間を描き出しているといえます。ただ、この公募では、より長い千字近い作品が相手となるために、厚みの点で不利があったかもしれません。