条理というもの
takka
(一次予選得点:17)
あまり読後感の良くない作品でした。日本陸軍を喩えに出して、組織というものが持っている問題と、それに盲従する人間を描いています。「日本陸軍」−「愚かで、非論理的な集団」という図式は、あまりにステレオタイプのような気がします。実際の出来事に立脚して書いているというよりは、分かりやすいだろうということで、選んでいるように受取れました。それは、ニッタ二等兵の怪しい所属や実際の戦況に合致しない説明。伍長がなぜかサーベルをしていたり(通常は曹長以上)、手榴弾があまりに早く爆発したりという説明の甘さから、そう感じてしまいます。つまり、そうした些事は関係ない作品なのだと受取らざるを得なかったのです。
もし、必然性が薄いなかでこの素材を取り上げたとしたら、賢明ではないと言えます。こうした、ステロタイプに依存した作品は、それだけ底が浅いと取られかねないからです。この素材を取り上げるなら、緻密すぎるくらいの背景を描いて、それでいて事実の持つ滑稽さを強調すべきでしょう。軽妙にしようとすればするほど、粗が目立ってしまったように思えます。もっと切れ味の良い作品を期待します。
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