必需品
のぶ
「これはなんでしょう」の謎解きものです。ヒントをいっぱいだしていって最後の最後に種明かしをする。のはずなのですが、最後まで答えを言わない形をとっています。とはいえ、読者のほとんどが途中で答えが分かっているので問題はないのですが。しかし、そうなると、この作品の狙いは何なのでしょう。あれが何か思い出せなくなっていることから、すでにこの世になくなったと想像できるのですが、なるほどもういらないほどの代用品(いまも確かにあります)が普及したということなのか、逆に資源が枯渇したのか。とにかく社会の習慣というものが簡単に変わってしまうことを表現しようとしているのかもしれません。
レコードがあれだけあったのに、いまやCDの1%も生産されないとか、チャンネルを回すという表現が意味を失ったとか、ダイヤルナンバーという言葉はおかしいとか、あっという間に私たちの常識は変化しています。10年前に携帯電話がほとんどなかったと誰が記憶しているでしょう。そうしたことを示唆しているのかと、思わせる作品です。
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