寿司折り
氷川 清
盆栽の他に道楽も無い愛すべき父親と、それを大切に思う家族の姿が描かれた好作です。場面を絞って描くことで、細かな部分にまで行き届いた描写がされています。この作品独自の味も出ていますし、暖かな読後感を楽しむことができました。
難点としては、子どもの名前が「尚」で「たかし」(男)「なお」(女)と、どちらの性にでも読むことができる点です。初め名前を見た時点で男だと思って読み進めましたが、会話が女性風で、その後もあまり材料がなかったので「女性かなぁ」といったくらいの判断しかできませんでした。こうした情景を大切にする作品では、配慮が欲しかったところです。
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