カサブランカ
よしよし
病室にはカサブランカの強い匂いが不似合いだと思いつつも、作品の流れではこの花で良かったのかとも思います。ユリは葬式の花でもあるので、貴子の死を暗示しているのかとも思いました。一方、その態度を「威厳」「自尊心」という花言葉に暗示しているのでしょうか。今週の同作者の「カサブランカ」との関わりも気になるところです。
作品としては、これはこれとして、ストーリーに一貫性があり纏まっています。ただ、最後の終わり方があまりに類型的かもしれません。こうしたストーリーにしてはいけないということはありませんし、わたしも嫌いではないのですが、その場合はもうすこし独自のものを書き込んでいかないと、読者が陳腐に感じてしまいます。現実の医療現場での死が、この作品のような状態でないのは衆知のことですから、貴子がなぜそういう死に方をしたのかを読者に納得させる必要がありますし、「死」にたいしてある種の慣れを持っている医師が、心を動かされる必然性を示さないと、空々しさが出てしまいます。
個人としては、好きな作品なので、もう一段の洗練を期待します。
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