渋谷の鴉

渋谷の鴉

朝賀千雅

(一次予選得点:16)

 昔からお伽噺の鴉や蛙は、お姫様の元におせっかいにやってきます。そして、最終的に王子様となって姫を救い幸せに暮らします。この作品にもそうしたものを感じました。いわゆる異形の生き物たちは、美しい貌をした人間よりもずっと純粋で無垢で、そして女の子にやさしいということなのでしょう。主人公が決して今の生活を続けようとは思っていないこと、誰かに救いを求めていることが、こうしたお伽噺を生み出しているのでしょう。
この作品は読後感も良く、うまく纏められているように思いました。
 「援助交際は〜」という言葉は、鴉にしては、あまりに下品で人間のように思えました。他の部分が上手く書けているのに、違和感があり残念です。