星は回る
北村曉
(一次予選得点:19)
以前もこういった作品を投稿されていました。いわゆる「法螺話」または「奇譚」に分類される作品かともいます。どの作品も最後の部分に■が表記されていますが、これはコンソール(操作端末)のカーソルでしょうか。
こうした作品は、作者が深い意味を込めているものと、単に日常的な常識をひっくり返してみせることで、常識の危うさを突いたり、奇想天外さに面白さを感じるものがあります。この作品に関しては、後者と思って読みました。
「法螺話」は全体的には荒唐無稽でありながら、文章の上ではそれなりに辻褄が合っている必要があります。客観的にはありえないことでも、その論述のしくみやらなんやらで主観的には真実であるという前提でなくてはならないでしょう。そうした点ではこの作品は一応の整合性を持っています。大地が自転を停止したのなら、男が進行していた逆の方向に(後方に)植物は倒れるのではないか」とか「惑星全体の自転エネルギーは大きいが、例えばバイクにかかる運動量はバイクの質量かける自転速度(かなり小さい)なので、火を吹くのはおかしくないか」とか「男が立ち止まってミュンヒハウゼン氏は転んでいる(大地に比べて質量がきわめて小さい)のに代りに走ることができるのか」とかいう諸々のことは、さほど気になりません。
読者がその光景を想像して、「うそだぁ」と思えば、こういった作品は成功といえるのではないでしょうか。
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