君は如何にしてして眠りに就くか

君は如何にしてして眠りに就くか

樹崎 深森

(一次予選得点:19.7)

 いわゆる地口による作品です。一人で論を進めながら結末に導く手法は、書き手の力量が試される構成だと思います。やや文章がとっ散らかった印象があるのですが、徐々にひらがなを増やしたり、「ねづにこんなんじゃ」と仮名遣いをあやしくしたりして、酔っ払いの雰囲気を出すなど、かなり工夫しているようです。
 また、この作品を単なる馬鹿話と見るかどうかで、かなり味わいが変わるように思えます。この作品のタイトルは「如何にして眠りに就くか」なのですが、実のところこの作業は「如何にしてして永遠の眠りに就くか」ということへと繋がるものです。眠る瞬間というのはまさに臨死の感覚である、と言われます。ずっと起きていることができないように、人がいつか意識することもできずに死んでいくということを、この作品は見詰めているようにも捉えることができます。
 新聞かTVのニュースのような形の記述が出てきますが、最後の文はそうした内容からはかけ離れた文学的な表現で、リアリティに欠けているように思えました。