幼き心

幼き心

芦原 銀兔

(一次予選得点:20.5)

 勉強が足りなくて私は知らないのですが、この作品には何か下敷きになるような事実があるのでしょうか。ここに出てくるゲッペルスは、あの第三帝国の宣伝相でしょう。とすると、彼の経歴にこの作品のヒントになるようなことがあるのかもしれません。
 全体の構成は、作品の大部分を占める彼の「幼い心」と、最後の部分の権力者としての姿が対比されています。しかし、権力者の冷徹な判断は、少年の幼い心が持つ孤独で純粋な心根と同一のものとも言えます。少年の言葉で語られた内容は、まさに今の彼の姿です。こうした純粋な心の持つ危うさ、狂暴さを、この作品は内包しているように思えます。 細かなところでは、漢字の誤変換や、細かすぎる段落分けが気になりました。また、前半では「ちっちゃいけど、そこがまた可愛いんだ」と言いながら、後半では「真っ赤な飴玉を口にほおばろうと」という風に飴玉が大きくなっているのは、違和感がありました。