中継点

中継点

石川奈央子

(一次予選得点:20.6)

 内容が整理されていない印象があります。三つの時制を行き来しているのですが、それぞれが有機的に結び付けられていません。特に、二十歳の私には存在感が希薄です。好きな男がいる、ということだけでどんな人間なのかが見えてきません。対して、子どものときの主人公については、その感情が丁寧に描かれています。もしかしたら、主人公は子どものときから成長を続けて大学生になり、大人になり、という道のりを拒否しているのかもしれません。時間の流れに押し流されてしまう事への拒否と言ってもいいかもしれません。
 物語というよりは、こうした思考の流れをそのままに綴ったのが、この作品ではないでしょうか。ただ一つの段落で構成され、読点がきわめて少ないこと(14)などからも、それが覗えるように思います。