河童
国東 祐
(一次予選得点:21.7)
この作品を読み切れませんでした。河童とは何を意味しているのか、父さんとは何なのか。読み手の資質もあるのでしょうか。主人公が、人間に石を投げられ軽蔑される存在であること。しかし、主人公は心の中でそんな人間を逆に軽蔑し、さらには将来見返してやるというような屈折があることが見て取れます。そして、その心の支えになるものが、「父さん」と呼ばれる存在らしいのです。いわば、自己の不全感や劣等感に苛まされ、人間社会に対して迎合できない弱々しい存在の心にある誇りのようなものが感じられました。これが、作者の意図と合致しているのかといえば、はなはだ疑問で、現在のところ、私はこの作品の価値のほとんどが理解できていないように思います。
後半の表現は、微細な部分からダイナミックな動きまで、鮮やかに描かれています。前半が、いかにも説明のための説明になっているのとは対照的です。同じ作者の他の作品に比べて、抜きんでて良いと思われるのは、まさにこの部分です。この作品の持ち味は、案外、この後半部分にこそあるようにも思われます。
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