キャッシュの法律問題

−−−主に著作権「複製権」との関連に関する考察−−−
                                1999年4月29日

はじめに


ここに言うところのキャッシュとは、お金(CASH)の意味ではなく、通信用語であるキャッシュ(CACHE・・隠し場所の意)のことです。ここでは主にインターネットの経路上にあって、ユーザーの便利の為に同一の情報を一時的に蓄積することでトラフックを解消したり、情報の欠落などを補完する機能を持った情報蓄積のシステムないし蓄積された情報そのものを意味するものとします(CDAフィアデルフィア連邦地裁判決参照 注1)。

こうしたキャッシュを行うサーバすなわち、キャッシュサーバは、インターネット・アクセスサービス・プロバイダ(ISP)や大学、企業、研究所、ボランティア団体、あるいは政府間連機関などの運用するサーバと呼ばれるコンピュータがその役割を果たしていますが、このシステムはインターネットという情報流通機構においては欠かせないいわば基本的なシステムということができます。

お金の意味ではない「キャッシュ」は、法律家にとってはほとんどなじみのない用語です。その法的評価、考察は法律家にとっては極めて困難ですが、既にヨーロッパ、米国を中心に、著作権の議論をまき起こしているものでもあり、我が国でも検討する必要性は高いものとなっています。

ここでは、著作権に焦点を当てて、キャッシュ問題を検討することにします。


今なぜ「キャッシュ」が問題なのか。問題の所在


キャッシュの法的性格が問題になるのかを、一言で言えば、キャッシュ技術ないしそれに関連する技術が、現在構築中の有料のコンテンツ(音楽や映画の配信)に対する料金徴収制度を阻害しかねない、きわめて大きな要因となってきているという事実にあると思われます。

音楽配信については、インターネット上での配信は法的整備ができていないということもあり、これまでなかなか認められてきませんでした。現在では、回線状況やデータの送信技術が格段に進み、高音質の音楽データの送信は現実問題となってきたのです。こうしてインターネットという世界規模のマーケットに対する音楽データの販売事業は、音楽市場を根底から変革させるほどの可能性を秘めています。こうした流れは、今後は、更にインターネットでの映画の配信、放送などといった方向で加速されることは明らかです。

米国でデジタルミレニアム著作権法が制定され、コピープロテクトの保護と、その管理システムを無効にする装置やソフトの販売を規制し、デジタル著作権の流通の基礎を固めたことは、こうしたインターネット市場への音楽業界の進出の基盤を整備したことになるわけです。

こうしたデジタル情報の配信事業は、オリジナルデータを特定の所(サーバ)にファイルとして蔵置しておき、消費者がインターネット回線を利用して、直接このオリジナルデータ(特定のサーバ)に対してリクエストを行い、そのサーバからオリジナデータの配信を受けるのと引き換えに手数料を支払うなどの決済を行う、といったシステムを予定しているようです。

ところが、これまで、世界中のインターネットのユーザーが、無料で配信されている大量の画像データや、音楽や動画などのデータに対するリクエストをしたときに、そのコンテンツのオリジナルの提供元のサイト(ホームページなど)までいっていたのでは、多くのユーザーへの配信で、サーバが混雑し、その関連の送信経路も混雑してしまい、大きな渋滞を起こすことになります。従って、オリジナルのデータのあるサイト(サーバ)から、リクエストがある度ごとに毎回電送するのではなく、サーバと消費者との中間に介在する多数のキャッシュサーバが、他のユーザーのリクエストに応じて配信された際、当該コンテンツがキャッシュサーバを通過する際に、一旦蓄蔵します。そこで確保したデータを、他の多数のリクエストに対して自動送信することで、元までいかなくてすむと言う訳です。

また、データにはこうしたキャッシュを拒絶する一定の仕様が予定されており、それによってキャッシュができないようにすることができるのですが、他方でそうした指示を無視してキャッシュしてしまう「仕掛け」もある為、更に問題が複雑になっているのです。

複製権侵害とその防止


そもそもの複製権の問題は、著作権者が複製権を持つ、ということを前提に、その複製権を侵害するものとしての無断複製を禁ずるにはどのような方策が必要かという観点から、検討されてきました。更に最近ではデジタル情報化時代という背景が強く作用しており、複製すること(コピー)が極めて容易にできるという客観的状況があるわけで、そうした複製の容易さを防止して、一定の歯止めとしての「コピープロテクト」(コピー防止用の各種装置)を考え出したわけです。

現在、レンタル・ビデオテープにコピーガードと呼ばれる対策が講じられ、あるいは衛星放送のスクランブル送信もその一つといえるでしょう。

ところが、この「コピープロテクト」(コピー防止用の各種装置)に対して、プロテクト解除装置ないしそのためのソフトウエアというものがありますが、我が国でも99年4月23日内閣提出にかかる「不正競争防止法の一部を改正する法律案」(注2参照)が、可決・公布されました。これによって、コピーガードを除去するたぐいの装置やソフトを販売する行為は「不正競争行為」として規制されることになったわけです(なぜ、不正競争行為になるか、本来著作権法による規制であるべきだ、という批判が加えられている)。

米国では、ハリウッドの諸勢力や音楽界などからの強い要請もあり、1998年10月20日デジタル・ミレニアム著作権法が成立しました(注3)。

ところが、こうした法制度によりコピープロテクトを著作権者の権利を守るものとして強く保護する制度は、オリジナルの違法な複製を禁止するという目的の実現に有用ではあるものの、それ以上に、オリジナルを正当な目的で、正当な方法で利用する場合の利用をも強く制限することになるという難点が指摘されています。

アメリカ図書館協会のlegislative counselを務める Adam Eisgrau氏は、デジタル情報社会においては、公衆が情報にアクセスするという公共の利益をも考えることが必要である旨指摘しています(注4)。

これまで指摘されているのは、本来複製が認められるべき正当な利用、すなわち教育や啓蒙などのといった正当な目的に利用する場合において、利用することが大幅に制限され、あるいは事実上利用しにくくなることや、オリジナルを正当な方法で、引用して、批評し、検討するなどといったことが不可能になるか、きわめて困難になるといったことである。

こうした背景があり、現在のもっともホットな問題として、キャッシュの法的判断にいたったのです。

キャッシュ技術と著作権「複製権」侵害


キャッシュ技術自体は、トラフィックの合理的運用とデータの完全性確保の為の大変有益な、そして有効なものです。インターネット自体が、このキャッシュ技術を持つことによって、初めてここまで成長してきたということもできるでしょう。

ところが、同時にこのキャッシュは and pass through a domestic caching server which then stores a copy for subsequent retrieval. 「国内のキャッシュサーバーを通過する際に続いておきる次の検索のために、そのコピーを国内のキャッシュサーバーに保管するのである。」(CDAフィラデルフィア連邦地裁判決118 注1)といわれるように、オリジナルの「コピー」と評価されるのが一般のようです。

また、米国では、インターネットサービスプロバイダ(ISP)のキャッシュの行為に対する各種の訴訟があったようで、いずれについてもキャッシュを「コピー」(複製」として検討してきた経過もあるようです(参照注5)。

ここから、勝手なキャッシュ蓄蔵行為は、「複製権」侵害である、という考え方が生まれてくるようなのですが、本質はもっと深いところにあるようです。すなわち、キャッシュ技術自体は無色透明の中立的なものであったとしても、キャッシュすることと、他方でキャッシュを制限する情報を含んだコンテンツを加工してキャッシュしてしまうシステムといったものを、どのように捉え、規制するかしないか、と言う点が横たわっているわけです。


これまでの経過


EU(ヨーロッパ共同体)が、キャッシュ問題を取り上げ、キャッシュを違法とする考えを示しているという点が指摘されたのが、この論争の発端です。

事実関係から見ますと、次のようになっています。

(1)EUによるデジタル著作権に関する指令草案の審議

1997年12月にEUから発表されたProposal for a European Parliament and Council Directive on the harmonization of certain aspects of copyright and related rights in the Information Society「情報社会における著作権及び関連する権利の特定局面のハーモナイゼーションに関する欧州議会及び理事会指令」提案書(注6)をめぐって、論争が繰り返されているといわれています(注7)。

指令(案)およびその後の議論では、この指令がインターネットのマーケット上での著作権保護の基盤整備となることを提唱し(Article 1)、これまで同様著作権者に排他的権利を認め(Article 2)、公衆伝達権(Article 3)、著作者の発行方法に関する指定を行う排他的権限を認め(Article 4)、そられに対する例外規定として「技術的な過程での不可欠な(後に「必須の」が加わる)ものであり、「Such uses must be authorized by the right holders or permitted by law」(そうした使用は権利者により正式に認められるか法律によって許可されたものでなければならない)とされました(注8)。

この指令案および議論が、キャシュも想定していると思われるが、その上で「権利者により正式に認められるか法律によって許可されたものでなければならない」という規定を置くとなれば、従来から行われてきたキャッシュはすべて違法となる危険性があります。ISOCでは、この点を指摘して、キャッシュサーバで行うキャッシュについても違法となり、その管理者は違法複製を行ったものになると言う点を指摘して、抗議しているのです。(この点に関して、日高和明弁護士のの覚え書きが公開されている 注9参照)。

(2)米国デジタル・ミレニアム著作権法(注3)

多面的内容を持った法律で、一方では著作権を強化して、コピープロテクトを解除する行為を規制したりする内容を持ち、同時に、512条(b)項により、SYSTEM CACHING という条項を設けて、キャッシュの利用に関しては、そこに違法な複製物がキャシュされた場合でも、システム管理者は複製権侵害にならないことを明言して、一定の決着をつけた形になっています。

(3)ISOC・・・・インターネットソサャティーは、EUの提案に対して、「ウェッブ上のキャッシュ禁止に対して」(注10)と題する見解を出して、欧州議会に対して再考慮を求めている。彼らの主張は、「キャッシュがインターネットにおける情報流通の促進、情報経路の確保において必須であること、インターネットの基礎である通信規約のHTTP(HyperText Transport Protocol)自体が、コンテント掲載者自身に「ウエッブ・キャッシュの制限」の方法を提供しており、著作権問題を解消している。したがって、HTTPで制限されていないものについては、キャッシュはまったく自由でなければならない。もし、ヨーロッパで、キャッシュを禁止すると、エレクトリックコマース(電子商取引)において、ヨーロッパのすべての人々自身が決定的な打撃を受けることになる」といった論調で、キャッシュの取り扱いに関する特別な配慮を求めています。

同様に、EU指令に対しても理論的に批判も行っています(注11)

(5)グローバルインターネットプロジェクト(我が国では富士通がメンバーになっている)・・・9945日に、”Internet Leaders Ask European Policymakers to Foster

Caching Technology To Improve Internet Performance Global Internet Project Releases White Paper Underscoring the Need for Caching−” Preventing Internet Bottlenecks: The Role of Caching”という二つの声明(注12)を公表した。こららによれば、キャシュ技術がインターネットをささせ、発展させてきたことを強調し、また、THE DEGITAL MILLENNIUM COPYRIGHT ACT OF 1998においてもプロバイダーの著作権侵害に関する法的責任制限の規定を設けており、その観点からも、欧州議会に対して「キャッシュの必要性に関する報告書」を作成して、その保護の必要性を強調したのです。


キャッシュの法的問題点


1)著作権の存在 著作権自体は、多くの国家において無方式主義が採用されていますので、特別な手続きがなくても、創作者に創作と同時に自然に発生するものですから、著作権が創作者にあり、オリジナルを公開している人にあることが一般なので、まずこれを前提として考えて良いと思います。

2)キャッシュは複製か

キャッシュが元の著作物のデジタル・データの写しである以上は、複製というほかないのではないか、と考えています。この点、キャッシュの一時的なものであるという性格を強調して、キャッシュは「複製」に当たらないとする考えもあります。また、キャッシュの構造的な形成に着眼して、構造的にキャッシュは経路上のシステムによって、必然的に作成されるのであるから、これまでの独立の利用を前提とした「複製」概念で捉え切れないものであって、現行法制度の概念である「複製」概念では捉え切れないから、「複製」とは別扱いをすべきであるという見解もあります。

しかし、一時的かと言う点で見れば、パソコン本体内部の二次キャッシュや、フラッシュメモリへの瞬間的な記録に関しては一時的と解する余地があったとしても、数日から、数週間にわたりオリジナルと同一内容の情報を蔵置する行為を「一時的」とするには無理があると思われます。デジタル著作権の研究をしている岡村久道弁護士・近畿大学(産業法律研究所)講師は、「アクセスしたユーザーの端末のメモリー上に一時的に蓄積されることについては瞬間的かつ過渡的であるから「複製」とはならないというのが、わが国の一般的な考え方」であるとした上で、パソコン端末に関する言及ではあとは思いますが、「しかし、通常はブラウジンの結果としてユーザー端末のハードディスクにキャッシュデータとして自動保存され、端末の電源切断後も保存されることを考慮すれば、到底一時的とは言えないので、複製に該当すると考えた上で、通常は、著作者であるホームページ開設者は、キャッシュされることも含めて無料で公開する意思を有しているので、著作権侵害にはならないという見解も有力」であるとして、パソコン端末上でのキャッシュの性格 をこのように指摘されています(注13)。従って、サーバのWWWキャッシュも同様に複製であることを肯定されることになると思われます。

更に、データの経路上のキャッシュ、すなわちWWWキャッシュは、個人のパソコン端末におけるキャッシュと異なり、世界中のインターネットユーザーによる同時ないし近接した時点で、多発的な自動送信行為を行うものです。それはオリジナルと全く同内容の情報の複製を、不特定多数に対して配信するのですから、まさにコピーの不特定多数人への配布としか言いようがない現象だと思います。

構造的に見ても、WWWキャッシュが多数のトラフィックを解消する為に同一データを、各地の経路の途中で自動送信(自動返信)することを目的であり、保有期間は設定によって異なり、相当長期間の蔵置も可能であるのですから、ことさらに一時的かどうかを強調するのが、どれほどの意味をもつかの議論もしなければならないでしょう。

この点、科学技術の専門家である鍋島公章氏によれば、「キャッシュ=情報の複製技術」という前提に立って、検討を加えられているようであり、技術者の中に異論はあるものの、複製と捉える方向に理解があると思われます(注14)。

更には、インターネットの教育利用の専門家である東金女子高校の高橋邦夫先生も、WEB上の質疑応答で、「ある程度の期間保存されるキャッシュは「複製」です。メモリキャッシュのような瞬間的なものは複製にはあたらないという一般的通念はあると思います。パーソナルコンピュータのHDD内に一時的に保存するのは少なくとも「私的利用」の範囲内として無許諾複製が容認されうる状況です。問題は、サーバなどでキャッシュに「複製」された情報を配信する場合で、もちろん私的利用の範囲を超えるわけですが、この問題に関する法整備はなされていません。」と指摘されており(注15)、岡村弁護士と同一の見解に立っておられるようです。

なお、キャッシュを複製ではないとする見解に立ちますと、「キャッシュ」というものはいったい何か、どのように評価するのか、と言う点が問題になります。キャッシュが複製でないということは、自由にキャッシュしていいということにもなりかねません。そうした考えは、次に述べる「キャッシュ制限指定」解除行為の違法性をどのように説明得るかの問題にも遭遇することになるでしょう。

3)キャッシュが複製であるとして問題となる点

キャッシュが「複製」だと言う見解に立ちますと、複製は基本的には著作権者の承諾が必要になります(我が国著作権法21条および30条以下参照(注16)、ベルヌ条約9条「複製権」(注17)、万国著作権条約4条の2(注18))。

このことから、キャッシュ全般に、本来は著作者の承諾が必要ということにもなりそうです。もしこうなりますと、われわれが日常的に利用するパソコン端末内でのキャシュについても「承諾」を取る必要があるということになります。これはあまりに技巧的に過ぎ、通常の観念にも反するものでしょう。そこで、岡村弁護士のように

「通常は、著作者であるホームページ開設者は、キャッシュされることも含めて無料で公開する意思を有している」と解することで、著作者の包括的合意ないし、包括的承諾を擬制ないし推定するという解釈が必要となるのでしょう。

キャッシュされるということが、トラフィック上の問題や、正確な情報伝達の確保の観点などから、技術的システム的に構築されており、どこでどのようにキャッシュされるか、あるいはキャッシュされないかという認識を持つことがそもそも極めて困難で、通常はキャッシュを意識しないという現実から見れば、ホームページを利用して情報を公開するという意思の中に、こうした経路を利用するのであるから、その経路上での構造的な動作を包括的に承諾していると「擬制」(明確な認識がない場合でも、そうした承諾があったとすること)することで、システムの安定性が確保されるのだと思います。

4)キャッシュ制限指定とその解除

キャッシュについて、著作権者ないし情報提供者において、キャッシュを制限することが認められ、現実に利用されています(HTTP/1.1 Cache-control 鍋島公章氏前掲) ISOCも指摘するように、HTTPによってキャッシュ制限の方法があるのですから、制限をかける必要があるものは、これを利用することによって、著作権管理、複製権の制限を実現することができるのです。こうした制度が作られており、いわば標準になっているにもかかわらず、これを利用しないでいて、キャッシュは許していないというのは、合理性がないように思います(注19)。

ただ、このキャシュ制限はコピープロテクトと同様であり、キャッシュ制限解除はコピープロテクト解除の違法性の問題と同一の問題でしょう。後に述べますが、キャッシュ制限解除は、著作権者の複製制限を無断で解除するものですから、違法になると思います。

5)我が国の現行著作権法で考えると

個人のパソコンでの利用の為のキャッシュは、「私的利用の範囲」(著作権法30条「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」で許される、と解することができるでしょう。

会社や学校、一定の範囲での利用の為の、キャッシュの利用については、個人の私的利用の範囲かどうかにつき明確でない面があります。「 私的 」を人数で縛るのか、場所的に縛るのか、人数で縛るときは、企業や画工のキャッシュは違法になるのか、など不明な点もあります。更には新聞の利用などに関しては、企業内、学校内でのイントラネット的利用に関しても「複製権侵害」であるとする日本新聞協会の見解があるため、議論が錯綜していますが、キャッシュが複製かどうか、合理的利用の範囲かどうか、適法な複製かどうか、ついては議論はまだ見当たらないようです。


その他のキャッシュ問題


(1)HTTPによるキャッシュ制限を無視することは違法か?

1)原則として、キャッシュを自由と考えるとしてもそれにも一定の合理的限度があるとおもわれます。HTTPによりキャッシュを制限するという指定のあるときなどは、無制限にキャッシュを自由とするわけには行かないはずです。

著作者によるキャッシュ制限(複製の条件指定)は尊重する必要があると思われます。特に、有料情報提供や、音楽・映画など著作権管理を強化している分野に関しては、キャッシュのコントロールは著作権者の権利として尊重する必要があるのではないかとおもわれます。

この度の不正競争防止法改正法(注2)によりますと、「(a) 使用・コピーの管理技術を無効化する機器・プログラムの販売等の行為を、不正競争防止法第2条の「不正競争」と」するとしていますので、キャッシュ制限がこの「管理技術」に相当するでしょうから、その管理技術を「無効化する」サーバーの設定は許されないことになるでしょう。

こうした結果、インターネットのトラフィックが悪化することは確実ですから、今後の問題として、ミラーサーバ(同一内容のオリジナルを配信できる配信事業者の有する配信サイト)を多数設置させるという方法で、一定の解決を図る必要があるのではないかと思われます。

この点、「キャッシュは複製でない」とする見解を取った場合には、複製ではない以上は、そのキャッシュ情報に対して、どのような扱いを行うのも自由と考えることもできるでしょう。有料情報であっても、制限情報であっても、転送コストやトラフィックといった理由による制限解除、各種理由からの複製?キャッシュの保持は合理化されてしまうのか、といった問題が残るように思われます。

2)ウェッブ広告をカットしてしまうこと

まず原則論は、著作者には著作物の自己同一性保持権があるので、勝手な改変や、編集し直しといったことは許されないと考えるべきでしょう(著作権法20条「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」)。

しかし、同時に改変が大幅に認められてもいて、その範囲に属すると考えられれば、改変もまた可能になるはずです。次の著作権法20条の例外規定が参考になります。

三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るように するため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変

四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められ る改変

小さな携帯端末用などに、情報量を制限するといったことが必須であるときは、そのためのキャッシュは3項に当たり合理的な方法として許されるでしょう。

また、学術的利用の為、広告を制限し、あるいは画像を制限し、テキストデータのみにするといったキャッシュは4項に当たるといえるでしょう。さらには、過度のトラフィック回避の為に、キャッシュを編集するということに合理的な場合があるとすれば、4項に含めることも可能でしょう。

ただ、広告がじゃまだとか、不要だといって、キャッシュを一方的に加工するのは広告のない新聞を、元の新聞と同一の新聞ですと偽ることでもあり、合理性はないように思います。

(2)著作権以外の問題

1)日本で許されない情報をキャッシュすることの可否

そもそもの問題として、情報発信者になるのかどうか、がまず問われるはずです。 本の製作者、発行者が、何らかの罪に問われるような場合がありますが、これは情報をみずから提供している、発行者であり編集者だからです。問題となる本を輸送しているトラックの運転手、あるいはそのトラックが走る道路所有者、保管庫の所有者、乗せ代えの作業員など、経路上で関わるものは、その発行自体に責任があるのではないですから、法的な責任は一切問題とされません。これは問題の行為を行ったわけでもなく、通常の機械的な作業の範囲を超えて、当該問題行為を支援したわけでもないのですから、こうした作業員らの行為は、単なる「因果関係」の一部に過ぎないと考えられています。

キャッシュが、インターネット上の情報トラフィックの合理的なコントロール、分散処理、同一情報の確保の必要から、経路上で一時的に情報を貯蔵するのですが、このキャッシュ自体はシステムが自動的に行うものですから、人の行為は介在しないし、人の意思の関与も認められません。結局、キャッシュは刑事責任などの観点からは経路と見るほかないと思います。

次に、我が国で保持して、公開することを禁止されているケースとして考えられるものがなにか、を考えてみます。

わいせつ情報 デジタル情報が刑法上の構成要件(「物」概念や、「陳列」概念)に厳密に当たるかと言う争点はさて置き、ひとまず構成要件に当たると仮定して(私はあたらないと言う見解にたつのですが)違法とした場合、元のわいせつ情報を提供した人が、違法な行為をしたことになるのでしょう。

では、これをキャッシュした人、キャッシュサーバの管理者、プロバイダなどはどうなのでしょうか。客観的に、あるいは技術的にキャッシュがあるとしても、現在の解釈では情報発信者しか問題にしていません。実務上も、伝達経路はまったく眼中にありませんし、捜査の対象にもされていません。これは、客観的要素として、情報の経路に過ぎない為、捜査上も経路としてしか、評価できないからでしょう。人の行為ではなく、機械の自動的な作動であって、人間の行為とはいえないという面がもっとも強いのだと思います。プログラムを人間が作っても、目的が違う(ワイセツ情報を蔵置することが目的でキャッシュ技術を作ったり利用しているわけではない)以上問題とはならないのです。

更に、主観的に見ても、故意がないといえます。こうした情報があることを一般に認識していないし、また、故意を認定することも困難のはずです。情報発信者の利用しているプロバイダ自体も、実は知らないことが多く、現実に実務上問題にされたこともないのです。

軍事情報など ココム規制の廃止された後は、ワッセナー・アレンジメント(共産圏に限定することなく広く、兵器類の拡散、移転、蓄積を禁止する国際合意を各国が実行するという為の輸出規制がなされています)が実効性を持っていますが、この原則は、軍事上利用される危険性のある機器類とその技術に関する輸出規制ですが、情報の輸出と言うことで、軍事的な情報の公開は、情報の移転を伴うとして規制対象になる可能性を完全に否定することはできません(注20)。

暗号プログラムなどがこれに入るかは、微妙なところですが、アメリカでは暗号輸出規制問題はつとに有名ではあり、輸出規制の趣旨は、暗号が主に軍事利用されると言う点を予想していることによると思われます(注21)。

これについても、軍事利用可能な技術情報と思われるものを公開した行為、すなわち発信行為自体が問題なのであって、キャッシュ固有の問題ではないでしょう。

2) 違法なものを排除できるか

仮に、違法なものがあって、それが我が国の法律で保持すること自体認められていないとして、果たして、有効な対策が取れるのか、という問題です。可能でないことを強要することは、どんな理由があっても許されないからです。

では、キャシュを一つ一つ見ながら、違法なものを選別して、排除することが現実にできるでしょうか。プロバイダにあるコンテンツを検討することが不可能といわれているにもかかわらず、それ以上に日常的に流動するキャッシュを検討するなど、不可能と断言して差し支えないでしょう。

米国電気通信法に「よきサマリア人」の規定と言われるものがあります(96年米国電気通信法230条(C))(注22)。実現可能なことを、実現可能な限度で、適切に行っておれば、一切法的責任は問われない、と言うものですが、同じ思想はここにも適用されて良いはずです。

3)排除できるとして、排除したことが検閲にならないか

電気通信事業者は、情報の媒介を行う地位にある為、情報内容に関与してはならないとされています(電気通信事業法第3条)。従って、情報内容を審査して、許す、許さないといった判断をして、一定の情報を排除した場合には事前(キャッシュ転送前のという意味で)検閲を行い、これを規制したことになるでしょう。こうした行為は明らかに検閲に当たるものであり、違法となります。一度公表された後だと解釈しても、少なくとも広義の検閲にあたる可能性があります。民間人が行う為、憲法上の検閲概念とは大きなずれがあるのですが、電気通信事業法上は、検閲が禁止されていますから、あえて行えば違法な検閲行為となり、罰則が適用されます。

結論としては、どうやっても関与することはできず、放っておくほかないことになると思われます。

3)誰が何を基準に判断するのか

専門の職業裁判官が行う司法判断でも、違法かそうででないかの判断は大変困難であり、なかなか結論が出るものではありません。特に表現行為に関しては、表現の自由などとも関連しますので、軽軽に判断することはできません。

それをキャッシュサーバ管理者に強要することは、無理を強制することになります。

従ってこの側面からも、キャッシュの管理はできないという結論になります。

(本件資料は、インターネット弁護士協議会ILC(参加自由)のメーリングリストにおいて参加会員による議論を参考にして作成したものです。そのため、参考にした意見が多数になるので、あえて主張者の氏名は掲載しませんでした。この場をお借りしてお礼申し上げます。)

 

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注1)我が国においては、このキャッシュの問題に関する議論は十分なされていないため、アメリカの電気通信法の合憲性が争われた際のフィラデルフィア連邦地方裁判所の判決文から、「キャッシュ」の分析の部分を引用する。

The Problems of Offshore Content and Caching

117. A large percentage, perhaps 40% or more, ofcontent on the Internet originates outside the United States. At the hearing, a witness demonstrated how an Internet user could access a Web site of London (which presumably is on a server in England), and then link to other sites of interest in England. A user can sometimes discern from a URL that content is coming from overseas, since InterNIC allows a content provider to imbed a country code in a domain name.20 Foreign content is otherwise indistinguishable from domestic content (as long as it is in English), since foreign speech is created, named, and posted in the same manner as domestic speech. There is no requirement that foreign speech contain a country code in its URL. It is undisputed that some foreign speech that travels over the Internet is sexually explicit.

118. The use of "caching" makes it difficult to determine whether the material originated from foreign or domestic sources. Because of the high cost of using the trans-Atlantic and trans-Pacific cables, and because the high demand on those cables leads to bottleneck delays, content is often "cached", or temporarily stored, on servers in the United States. Material from a foreign source in Europe can travel over the trans-Atlantic cable to the receiver in the United States, and pass through a domestic caching server which then stores a copy for subsequent retrieval. This domestic caching server, rather than the original foreign server, will send the material from the cache to the subsequent receivers, without placing a demand on the trans-oceanic cables. This shortcut effectively eliminates most of the distance for both the request and the information and, hence, most of the delay. The caching server discards the stored information according to its configuration (e.g., after a certain time or as the demand for the information diminishes). Caching therefore advances core Internet values: the cheap and speedy retrieval of information.

119. Caching is not merely an international phenomenon. Domestic content providers store popular domestic material on their caching servers to avoid the delay of successive searches for the same material and to decrease the demand on their Internet connection. America Online can cache the home page of the New York Times on its servers when a subscriber first requests it, so that subsequent subscribers who make the same request will receive the same home page, but from America Online's caching service rather than from the New York Times's server.21

120. Put simply, to follow the example in the prior paragraph, America Online has no control over the content that the New York Times posts to its Web site, and the New York Times has no control over America Online's distribution of that content from a caching server.

海外の表現内容とキャッシュの問題点

117. 極めて大きな割合、たぶん四〇%か、それ以上のインターネット上の表現内容が、合衆国の外で作られたものである。証人尋問において、証人は、インターネットユーザーがロンドン(たぶんイギリスのどこかのサーバーにある)のウェッブサイトにどのようにアクセスし、それから、イギリスの興味ある他のサイトにリンクするかを実演した。

     ユーザーは、そのURLからその表現内容が海外から来ていることを、時々識別することができるのは、INTERNIC が、内容提供者に、国コードをドメインネームに入れることを許しているからである。さもなければ、外国の作品は、国内の作品(それは全く同じように英語を使っている)と区別が付かず、外国のスピーチは作られてから、名前を付けられ、国内のスピーチと同じ方法において、公表される。海外のスピーチが国のコードをそのURLに含まなければならないという要請はない。いくつかの海外のスピーチがインターネットの上を移動してきているが、それらは明らかに、あからさまに性的なものである。

118. 「キャッシュ」(一時保管機能)の使用は、それらの内容が、外国の資源によるものか、または国内の資源によるものかの判断を困難にしている。大西洋海底通信ケーブルや、太平洋海底通信ケーブルを使うことが極めて高価な経費がかかること、およびそれらのケーブルの過度の利用が、ネックとなり、遅延を引き起こしていることなどが原因で、表現内容は、しばしば、「キャッシュ」され、あるいは、合衆国のサーバーに一時的に蓄えられる。

    ヨーロッパ内の諸外国の資源からのものは、大西洋海底通信ケーブルを利用して、合衆国内のレシーバーに移動することができ、国内のキャッシュサーバーを通過する際に続いておきる次の検索のために、そのコピーを国内のキャッシュサーバーに保管するのである。この、外国のもともとのサーバーではなく、むしろこの国内のキャッシュサーバーが、海底地下ケーブルへ命令を載せることなく、そのキャッシュから次の国内の受信者へと対象物を送信するのである。

     この近道により、要求者と情報の所在との間の距離のほとんどを、効果的に取り除くことができ、従って、通信の遅延のほとんどを解消してくれるのである。キャッシュサーバーは、その配列に従って、蓄えられた情報を処分する(例えば、一定の時間の経過により、または情報への需要が減少したことによって)。

     従って、キャッシュ機能は、インターネットの価値: 情報が安く、検索が早いという利点の、核心そのものなのである。

119. キャッシュを行うというのは、国際的な現象というわけではない。       国内の内容提供者は、同じ内容を求めた連続した検索の遅延を回避し、同じ内容のためのインターネット接続への要求を減少させるために、人気のある国内の内容を、彼らのキャッシングサーバーに蓄える。

     アメリカオンラインは、ニューヨークタイムズのホームページを、購読者が最初にリクエストしたときに、自らのサーバーに保管することができ、次の購読者が同じリクエストをした時には、その同じページを、ニューヨークタイムスのサーバーからではなく、アメリカンオンラインのキャッシングサーバーから、受け取ることができるのである。

120. 手短に言えば、以上のパラグラフの例のとおり、アメリカオンラインは、ニューヨークタイムズがそのウェッブサイト上に置いた内容にたいする、支配制御はできないし、さらに、ニューヨークタイムズは、アメリカオンラインによるキャッシュサーバーからの当該内容の供給を支配制御することもできないのである。

翻訳 牧野二郎)

ペンシルバニア東部地区合衆国地方裁判所において

フィアデルフィア連邦地方裁判所法廷として

民事訴訟 

96年963号事件

アメリカ市民自由連合 対 合衆国司法長官ジャネット・レノ 民事訴訟 

96年1458号

アメリカ図書館連合 対 合衆国司法省 一九九六年六月一一日宣告

注2

不正競争防止法の一部を改正する法律案 平成11年3月 通商産業省

http://www.miti.go.jp/press-j/industry/r90302a1.html

法律案の概要  

 コンテンツ提供事業の存立を危うくする、管理技術を無効化する迂回機器・プログラムの取引を防止し、公正な競争を維持するため、

 (a) 使用・コピーの管理技術を無効化する機器・プログラムの販売等の行為を、不正競争防止法第2条の「不正競争」として位置付け、

 (b) これに対する差止請求、損害賠償請求を、

 (c) コンテンツ提供事業に関与する者(コンテンツ発送者、機器メーカー等)に認める。

大臣閣議後記者会見の概要 平成11年3月2日(火)9:26〜9:46

於:衆議院第15控室

「 閣議は案件どおりでございますが、通産省の関係では不正競争防止法の一部を改正する法律案、これが閣議で決定をされました。法律案の概要については、事務的に説明があると思いますけれども、要するに不正なコピーを防止するという一点でございます。」

質疑応答

「【不正競争防止法改正案について】

Q: 不正競争防止法の改正について、この件について何か皆さんから意見はありましたでしょうか。

A: 全くありません。

Q: 今日、国会に提出するんですか。

A: 今日、閣議決定をしたわけです。閣議決定をしたと同時に、多分国会に提出になると思います。

Q: 特に大臣からは。

A: これは言ってみれば、不正なコピーというものの問題でして、コピーの問題というのはテープレコーダー、DAT、ビデオ、それから今はMD、場合によってはCDROM、いろいろな方法でコピーができます。そうなりますと、著作権を含めた広い意味での知的財産権というのが幾らだめですよと言っても侵害されてしまうと。

 ソフトを提供している方もいろいろな仕掛けをテープの中とか、そういう中に組み込んであって、例えばビデオテープをコピーするとテープ自体の中にプログラムがあって、非常に乱れた映像しかダビングの方に送り出さないというような、うまいぐあいにそういうものを工夫したんですが、またそれより利口な人が出てきて、それにデコーダを挟んでやるともとの信号に戻るというようなことで、そういう明らかに不正競争防止法破りというか、著作権法で守ろうとしているものを、工夫を凝らして守ろうとしている人を、またその工夫を乗り越えるというような部分については、やはりそういう機器などを販売することはいけませんよということにしたわけです。これは著作権法の世界を守るための機器側でそういうものにやるという話です。

 いろいろなものが問題になっていまして、流行る曲なんていうのはすぐインターネットへつないでダウンロードできちゃったり、著作権法とインターネットでの通信との関係とか、まだ日本の著作権法とかその他の知的財産権を守る法制が複雑な今のような情報通信の状況というのに完全には対応していないという問題もあるし、今のように具体的なコピーの問題について、コピー防止破りをするというのはいけないよということも必要になって、だけれども、コピーがうまくできますとは書いていないんですよね、ノイズを取る立派な機械ができましたと言っているわけです。秋葉原に行くといろいろな機械を売っていますよ。 」以上通産大臣談話

ところが、この法案の当初の趣旨は、全く異なっていたようである( 不正競争防止法の一部を改正する法律案の概要 平成10年4月 通商産業省

http://www.miti.go.jp/press-j/industry/r90302a1.html)。

注3 デジタルミレニアム著作権法

THE DEGITAL MILLENNIUM COPYRIGHT ACT OF 1998 は、当初複数の法案があり98年9月17日に他の法案と併合されて、H.R.2281となって議会を通過して、10月12日政府提出、10月20日大統領が署名して、成立した。

この法律は基本的にはオンライン上でのデジタル著作権に関する普遍的制度を確立する為のものであり、主に音楽、エンターテイメント業界の強い後押しがあって成立したといわれている。

本件の関連では、キャッシュに関するプロバイダの責任限定の法案として、最初の出だしが、S2037というもので、これが98年4月30日にオリジナルとして議会に提出され、その後、5月11日に報告書が出され、9月17日に外の法案と併合され、H.R.2281 Sec.512となった。

本法律の具体的名称は、(On-Line Copyright Infringement Liability Limitation ActWIPO Copyright Treaties Implementation ActInternet Copyright Infringement Liability Clarification Act of 1998Digital Millennium Copyright Act of 1998)となっているが、ここではその問題となる著作権法の部分だけを呼ぶことにする。

http://congress.nw.dc.us/cgi-bin/thomassearch.pl H.R.2281 Public Law: 105-304 (10/28/98)S.2037 も参照のこと)

注4 複製権の過度の制限は、フェアーユース、引用を禁止する危険があるという意見がある。

But academia, computer researchers, and libraries lobbied for changes in the bill because they said it would let companies build a digital toll gate around their content, hindering current "fair use" rights that let citizens and educators copy and share material with certain limitations.

"Libraries agree this was about balancing the interest between copyright proprietors in having their material protected and the larger public interest in having continued access to information in the digital age," Adam Eisgrau, legislative counsel to the American Library Association, said today. House clears copyright bill By Courtney Macavinta Staff Writer, CNET News.com October 12, 1998, 4:55 p.m. PT http://www.news.com/News/Item/0,4,0-27440,00.html?st.ne.ni.rel

 

注5 デジタルミレニアム著作権法によってキャッシュ問題に終止符が打たれたといった内容の報道がある。

Proxy-caching concerns not realized −−Reports that copyright law meant the death of Net caching have been greatly exaggerated. −−By Dan Goodin Staff Writer, CNET News.com January 12, 1999, 11:00 a.m. PT http://www.news.com/News/Item/0,4,30816,00.html

Just two years ago, observers were predicting that lawsuits over so-called proxy-caching threatened to stop the practice in its tracks. To date, however, there are no known lawsuits involving the technology. But a recent column has rekindled debate over proxy-caching's propriety.

Proxy-caching is the process by which America Online and other large service providers copy the Web pages of third parties and store them on local servers. The practice spares the providers the server-intensive step of visiting a remote site repeatedly--each time an individual subscriber wants to visit a popular page--saving the service provider precious bandwidth.

http://www.news.com/News/Item/0,4,0-28060,00.html?st.ne.ni.rel

注6 EU「情報社会における著作権及び関連する権利の特定局面のハーモナイゼーションに関する欧州議会及び理事会指令提案( Proposal for a European Parliament and Council Directive on the harmonization of certain aspects of copyright and related rights in the Information Society http://europa.eu.int/comm/dg15/en/intprop/intprop/copyen.pdf 参照

注7 文部省 著作権審議会 98年12月報告

「欧州では,1997年(平成9年)12月に発表された,技術的保護手段と権利管理情報に関する規定を含む「情報社会における著作権及び関連する権利の特定側面のハーモナイゼーションに関する欧州議会及び理事会ディレクティブ(European Parliament and Council Directive on the harmonization of certain aspects of copyright and related rights in the Information Society)」の草案を巡って,検討が続けられている。」(文部省 著作権審議会 1998/12 答申等 著作権審議会マルチメディア小委員会ワーキング・グループ(技術的保護・管理関係)報告書 (平成10年12月10日)第6節  2.諸外国・国際機関等における検討の経緯 http://www.monbu.go.jp/singi/chosaku/00000224/

注8 EU指令をめぐって、さまざまな議論が展開されているようであるが、その詳細は必ずしも明らかではない。当初のEU指令提案から内容が変化していることを前提にして議論が進んでいることを示す報道

The European Commission will meet this week to consider copyright restrictions that an Internet advocacy group warns could imperil the use of Web caching in Europe.”” Caching caught in copyright debate By Paul Festa Staff Writer, CNET News.com March 3, 1999, 12:05 p.m. PT

http://www.news.com/News/Item/0,4,33242,00.html

内容は以下のとである。

"Transient and incidental acts of reproduction referred to in Article 2 which are an integral and essential part of a technological process for the sole purpose of enabling use to be made of a work or other subject matter shall be exempted from the right set out in Article 2. Such uses must be authorized by the right holders or permitted by law and must have no economic significance for the right holders."

注9)Memoranda Webmaster: 日高和明/Kazuaki Hidaka 弁護士 4/14加筆、99/3/2「 EUでは現在、199712月に提出された著作権に関するディレクティヴ案[1]の審議が続けられているが、かなり紛糾してもようである。論争点は多岐にわたるが、そのひとつは同ディレクティヴ案51項をめぐるものである。

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 51項は、一定の要件を充たす一時的な複製行為に著作者の権利を及ばしめない旨規定している[2]。報道によると、この規定を換骨奪胎する修正案が提出され、欧州議会は結局この修正案を可決したらしい。修正案の正確な内容は未入手だが、欧州では著作物利用者による(いわゆる"Proxy Server Caching"を含む)一時的複製行為がどの程度許容されることになるのかは、予断を許さない。Proxy Server Cachingについては、ネットワークのトラフィックを節減できるというメリットが唱えられるのが一般的だが、51項反対論はProxy Server Cachingがパイラシの温床になっていると主張している。立法事実の正確な把握が望まれるところだが、ことが高度に技術的ゆえ、ロビイストの影響力は侮れない。

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 ちなみに米国では、サービス・プロヴァイダによる一定の諸条件を充たすCachingは免責される[3] -----------------------

[1]Proposal for a European Parliament and Council DIRECTIVE on the harmonization of certain aspects of copyright and related rights in the Information Society, COM(97)628 final, 10 Dec. 1997.

[2]条文は次のとおり。

Article 5 (Exceptions to the restricted acts set out in Articles 2 and 3)

1. Temporary acts of reproduction referred to in Article 2 which are an integral part of a technological process for the sole purpose of enabling use to be made of a work or other subject matter, and having no independent economic significance, shall be exempted from the right set out in Article 2.

[3]DMCA§202(a)により挿入された§512(b)(1)&(2)

http://www.netlaputa.ne.jp/~chaos/3memoranda01.html

注10)ISOC声明 9931 http://www.isoc.org/internet/issues/copyright/

FOR IMMEDIATE RELEASE INTERNET SOCIETY STATEMENT ON WEB CACHING BAN http://www.isoc.org/isoc/media/releases/990301pr.shtml

. The basic Internet HyperText Transport Protocol (HTTP) has a well-defined method by which a content owner can specify restrictions on web caches. Where no restriction is specified, caching should be allowed. The area of copyright protection in an electronic world is a subject of vigorous study today and we are confident additional non-destructive solutions can be found.

99年3月29日STATEMENT BY ENRED ON WEB CACHING

http://www.isoc.org/internet/issues/copyright/990415.shtml

 

注11) C NET NEWS.COM による9933日付 配信記事参照

Caching caught in copyright debate By Paul Festa Staff Writer, CNET News.com

March 3, 1999, 12:05 p.m. PT

The amendment drawing scrutiny from ISOC concerns Article 2 of the directive, which protects copyrights online. The amendment excludes some content from protection provided that copyright holders authorize its use. The amendment reads as follows:

"Transient and incidental acts of reproduction referred to in Article 2 which are an integral and essential part of a technological process for the sole purpose of enabling use to be made of a work or other subject matter shall be exempted from the right set out in Article 2. Such uses must be authorized by the right holders or permitted by law and must have no economic significance for the right holders."

ISOC is concerned that the phrase "integral and essential" might not be found to apply to caching. The requirement to "authorize" caching may prove impractical, ISOC warned. And the phrase "no economic significance" worries ISOC, which points out that "everything copyrighted can be said to have economic significance."

ISOC said the commission would meet Friday and may vote to strike the second of these two phrases from the amendment.

注12)GIPの声明

http://www.gip.org/cachepr.htm

http://www.gip.org/caching.htm.

注13)岡村久道弁護士

Webコンテンツと知的財産 〜著作権の概要と新しい流れについて〜

http://www.law.co.jp/jpnic/tsld001.htm

注14)鍋島公章氏

99年4月23日 日本UNIXユーザー会Japan Web Cache Workshop4/23/99

http://cache.jp.apan.net/JWCW-1/paper/nabe.ppt プレゼンテーション資料から

注15)高橋邦夫先生

(S-T 2666) キャッシュと著作権法(was Re:

http://www.cep.chiba-u.ac.jp/st/bin/mhon/0705.html

注16 著作権法

21条(複製権)

著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

注17 ベルヌ条約(文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約)

第九条〔複製権〕

() 文学的及び美術的著作物の著作者でこの条約によつて保護されるものは、それらの著作物の複製(その方法及び形式のいかんを問わない。)を許諾する排他的権利を享有する。

() 特別の場合について()の著作物の複製を認める権能は、同盟国の立法に留保される。ただし、そのような複製が当該著作物の通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しないことを条件とする。

() 録音及び録画は、この条約の適用上、複製とみなす。

注18 万国著作権条約 4条の2

第一条に規定する権利は、著作者の財産的利益を確保する基本的な権利、特に、複製(方法のいかんを問わない。)、公の上演及び演奏並びに放送を許諾する排他的権利を含む。

注19 禁反言

キャッシュの性格が、ただ単にトラフィック問題ではなく、経路切断などの際に、あるいは情報が一部かけたような場合に、それを再度送り出すことで完全な情報に再構成するという「情報保護策」(核攻撃にもたえうる?)を基本としていることからすれば、こうしたシステムを利用すること自体が、キャッシュの利用によって成り立っているのであり、それを当然の前提として承諾していると見るの が合理的だろう。 インターネットを支えるもっとも基礎的な技術を都合のいいときだけ利用して、都合が悪くなったら、あるいは儲けたくなったら、「利用していいと言ったことはない」と強弁するのは、禁反言に近いのではないか。

別な言い方をすれば、公道を好き好んで、自分から服を脱いで(インターネットで公開することと同じ)、裸で歩いていたとして、前からくる人が驚いて、その人の体を見詰めた(キャッシュしたり、ブラウジングすることと同じ)からといって、大騒ぎしたり、痴漢呼ばわりするのは、どう考えてもおかしいのである。複製されたくなければ、きちっとガードする必要があるのは常識だろう。

注20 財団法人安全保障貿易情報センター http://www.cistec.or.jp/index.html

我が国の安全保障貿易管理制度

http://www.cistec.or.jp/kaisetsu/KAISETSHUINDEX.HTML

注21 暗号の輸出につき

1.暗号についてのトピックス」(ネットワークセキュリティ読本 鈴木優一の情報セキュリ ティ(セコム情報システム株式会社、および、鈴木優一氏の著作物より引用

出典 http://www3.tokyoweb.or.jp/isl/dokuhon/p1.htm

注22 社団法人商事法務研究会 郵政省郵政研究所編

1996年米国電気通信法の解説 298頁邦訳 299頁原文

以上


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