あっくんとハナちゃん
さく・きさらぎ のん
え・わがやのパパとママ
あるあさ、あっくんがおきると、
はなのあなから、
なにやらたれていました。
「やあ、きみはだれ?
なにしてるの?」
あっくんはたずねました。
「わたしはハナ。たれてるの。
あっくんはかぜひいたのよ」
ハナちゃんはたれながらいいました。
「ようこそぼくのはなのあなへ。
ゆっくりしていって」
「のんきな赤ちゃんね。
かぜははやめになおしてよ」
ふつかめ、
あっくんのハナはたれたまま。
とうさんはあっくんに、
さんぽはとりやめと告げました。
(がっかり)(がっかり)
みっかめ、
あっくんのハナはたれたまま。
かあさんはあっくんに、
りんごのとろとろ煮を作りました。
(おいしい)(おいしい)
よっかめ、
あっくんのハナはたれたまま。
とうさんがあっくんに、
くつしたをはかせてくれました。
(ぽかぽか)(ぽかぽか)
いつかめ、
あっくんのハナはたれたまま。
かあさんはほぼ一日中、
あっくんのハナをふいています。
(ありがと)(ありがと)
気がつくと、あっくんのハナはたれていませんでした。
「ハナちゃん。どこへいったの」
「ここよ、あっくん」
あっくんの
はなのあなに、
なにかおさまっています。
ハナちゃんは、
にじいろの、
かわいい
はなくそになったのです。
おおきくて、
まるくて、
ぴかぴかでした。
「あっくん、おわかれよ。
かぜはもうなおったわ。
わたし、いかなくちゃ」
「いやだよ、おわかれなんて。
ここにいて」
「またそのうち、くるわよ。
流行にのってね」
ハナちゃんはいいました。
「でもあっくん、わたし、つまって
出られなくなっちゃった」
「だいじょうぶ、ぼくがくしゃみで
ふきとばしてやるさ」
へっくち。
へーっくち。
ヘーっくちっ!
ハナちゃんは弾丸のようにとびだしました。
そうして、どこへともなく、すっとんでいきました。
「さようならあっくん、さようなら」
あっくんのはなのあなは
すっきり、
がらんどうです。
さみしくて
なみだがわきあがりました。
あっくんはぐっとこらえ、
くちを一文字にむすんで、
泣かないおまじないを
となえました。
わがやのおまじない
例
・「こけつにいらずんばこじをえず」
・「じんせいばんじさいおうがうま」
・「ゆうらくちょうであいましょう」
・「いーいこーるえむしーじじょう」
おしまい