ブルックナー交響曲第4番
Bruckner Symphony No.4 この曲の事情を良くご存じの方は笑って読み飛ばして下さい(^^:。

 ブルックナーは最初の稿を上げてから思い直して書き換えてしまってしかもそれが最初の稿と全然違ったりしてる事がままある。これに演奏家による演奏の違いがあったりして、それこそ一曲で二度三度とおいしい作曲家である。普段の演奏ではノヴァークがまとめた版を使われる場合が多い。私が今まで持ってるこの4番のCDは、Grammophonのカラヤン・ベルリン(415 277-2)(1976)(ハース版)、EMIのカラヤン・ベルリン(CDM 7 69006 2)(1970)(ハース版)(何故かカラヤンはハース版が好きだ)、EMIのヨッフム・ドレスデン(CDZ 7 62939 2)(1975)(ノヴァーク版)、EMIのクレンペラー・フィルハーモニア(CDM 7 69127 2)(1963)(ノヴァーク版)、イタリアの良く分からないレーヴェル(^^;(S.I.A.E.?)のクナッパーツブッシュ・ベルリン(AB 78563)(1944)のものである。

 このインバルの演奏の物はLP時代に録音が出た時に実は既に話題になった、第1稿を使用したものである。確かFMか何かでその時演奏を一度だけ聴いたが、実に変わった演奏だと思っていた。でもその頃は大学で貧乏な生活をしていたので、TELDECの高い新譜を買えなかった。そのまま年がすぎてCD全盛の時代に入っても確か相変わらず結構な値段で登場した記憶がある。それでずっと買いのがして聴き直す事がなくすぎていたのだが、この度ようやく安く(笑)入手出来た。実はクラシックのCDは国内版は輸入盤より高いので全く無視して輸入盤にしか目を向けてなかったのだが、これが国内の1000円盤で出ているとは思わなかった。国内の廉価版シリーズを今回初めて見直した(笑)

 あらためて聴いてみると、やはり凄い。ノヴァーク版とはまるで違う曲の様である(笑)。ではどちらがどうかと言われれば、先に聴いてしまったせいか、私のいい加減な感性でもそうなのか、ノヴァーク版の方がやはり完成度が高い感じがする。多分世の中の一般的な評価もそうなのでしょう。でもノヴァーク版の演奏に慣れた耳には是非とも一聴の価値がある演奏だと思う。このインバルの全集がお得な1000円シリーズで出ていると言うので、これはもう私にとってはやはり第1稿を使用している第3番・第8番は「買い」になってしまった

 ついでながら、4番の演奏は、カラヤンのEMIのもまた面白い。第一楽章でベルリンの金管がこれでもかと言わんばかりのきらびやかな音を聴かせてくれる。弦がまたそれに応えてねめりつく様な音を聴かせてくれる。何とも派手なブルックナーである。それに比べて同じカラヤン・ベルリンでもGrammophonの録音はそれなりに出来上がってしまった演奏でつまらない。どうも私のCD集めは「面白さ」を求めてる感じである(^^;。

 Bruckner Symphony No.4 First Version
 Radio-Sinfonie-Orchester Frankfurt
 Eliahu Inbal
 TELDEC WPCS-6044, 定価1000円

平成9年霜月20日



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