あたまを使え・・・の巻き
昔話シリーズがつづくというのもわたしが歳をとったことをあらわしているのかもしれない。。時の流れは無常だね。。 っとそれはともかく今回もがきんちょ時代のお話。わたしは長男であり、やはり長男にありがちなご多分にもれずもめごとなしにのほほんとしていたいという気質をもっていたため当時から「お手伝い」という立派な名のもとにあれこれこき使われたものだった。当時幼稚園に入学したばかりのわたしに冷凍庫の整理なんてことをやらせたくそ婆ぁ(と書いておふくろと読む)はなかなか大したものだが、、当時の冷蔵庫は今よりも幅は厚くまた霜もなかなかつきまくるという代物だった。で、どうしても霜にくっついてとれないモノもでてくる。で、わたしはくそ婆ぁ(とかいておふくろと読む)に聞いたのだ。「こりゃ〜アカン!どうやってもとれませんぜ、旦那!!」っと。するとどうしたものだ、あのくそ婆ぁ(と書いておふくろと読む)にいたっては「花王愛の劇場」を寝転がっておせんべいをボリボリ喰いながら「あたまをつかえ!」っとのたくったのだ。数回ほども同様の問答があったのちわたしは考えた。あたまをつかってもこれはとれない・・。やはり金属のへらのようなものが必要だ・・っと。しかし道具はない。ただしあたまではダメだろう・・。最後にあきら気分で再度あのくそ婆ぁ(と書いておふくろと読む)に聞く。おそらくドラマも佳境に入っているのだろうか、不機嫌そうな声で「だからあたまを使えっていってるでしょ!!」っと返ってきた。なんであんなごろごろしている奴のおかげでわたしが苦労せにゃあかんのか?と要約すればこのような感情だったのだろう。やり場のない憤りが全身を貫く。なにも援軍が無いまま竹槍での突撃命令、あわれお馬鹿な上官の命令とともに高らかに鳴り響く突撃ラッパ。ススメ・すすめ・福沢諭吉は学問のススメ・・なんてことまでは当時知らなかったが、そこまでいうならつかってやろうじゃないか、そのあたまって奴を。うぉりゃ!これが漢(おとこ)の生き様じゃぁぁ〜と冷凍庫へ向かってヘッドバット!!・・・もちろん冷蔵庫はびくともしない。おわった・・・もうわれわれに打つ手は・・ない。ずきずきするあたまに手を添えないでやせがまんすることだけがわたしに残されたささやかなプライドだったのだろう。冷凍庫をあけたままじっと睨みつけていた。どうやらドラマが無事に終了したのかくそ婆ぁ(と書いておふくろと読む)がやってくる。次のドラマは3分後だからちょっと顔出して案件処理してしまおうとの魂胆はみえみえだが、、まぁ、いちおう現状視察にはやってきた。あたまをちょっと赤くして突っ立っているわたしをみて「あんたあたまをつかえって・・・もう本当にあたまをつかいなさい!」っとのたくるのだった。しばらくするとそのおふくろさまもそれほどあたまがよいわけでもないなとは気が付いた。もっとも自分が頭がよいことと人の頭の処理能力を推測するのは別の次元だ。そんなわたしも今では月給とり。血統的背景からかそれとも環境なのかわからんがざんねんながらそれほど斬れるあたまは得られなかったが、もし子供が冷蔵庫の前で格闘しているような場面に出くわしたらTVなんぞみていないで一緒に手伝ってやろうと思っている・・・とはいえいまどきの冷蔵庫に霜なんてそうそうつかないのだけれど。。(了) |