「買ってはいけない」考

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「買ってはいけない」と「『買ってはいけない』はインチキ本だ」と「『買ってはいけない』現象」
追記:サンデー毎日9/5号
追記:ネットでの「買ってはいけない」情報
追記:「暮らしの手帖」99年8-9月号
追記:「文芸春秋」99年10月号と「噂の真相」10月号
追記:「SPA!」9月15日号
追記:ネットでのメーカーの言い分
追記:週刊「金曜日」のウェブページでの意見
追記:「買ってはいけない」は買ってはいけない
追記:「買ってはいけない」大論争
追記:朝日新聞10/13朝刊「ベストセラー 火花」
追記:日垣氏の単行本(未購入)
追記:週刊朝日11/19号
追記:『「買ってはいけない」大論争』(鹿砦社)その他
追記:「サイエンス・チャンネル」での討論
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「買ってはいけない」と「『買ってはいけない』はインチキ本だ」と「『買ってはいけない』現象」

実は、かなり早い時期に「買ってはいけない」を買っている。「第二刷」等の記述がある箇所が見当たらないので、おそらく最初の版と思う。第二刷以降、訂正を加えた部分もあるというから、多少不正確な指摘も出てくるかもしれない。
だが、そういうのは些細なことだ。とにかくわたしは、この「買ってはいけない」にたいして、懐疑的である、と言わざるを得ないようだ。

「買ってはいけない」は、すでにかなり売れていて、御存じの方も多いと思う。各種メーカーの商品を、実名を挙げて批判しているもので、私がこのブックレットを、初版とおぼしき時期に求めたのは、それなりに「実名で批判する」という姿勢に期待していたからだった。「暮らしの手帖」や「確かな目」といった雑誌と同等のものを予測していたのも多分購買動機になったのだろう。
だが、結果として、そういう期待は裏切られた形になった。
それでも最初に読んだ時は、それなりに納得していたことを白状しなくちゃならないだろう。そうか、こんなに危ない商品が多いのか、ふーん、・・・と思いつつ、でも、それじゃ食べられるものは何にもないってことになってしまうなあ、なんて考えたりもした。
そこでしばらくして、文芸春秋に「『買ってはいけない』はインチキ本だ」が掲載された。これを読んで、すぐに思ったのはなんだ、「買ってはいけない」の標榜する「危険」って、こんなにいいかげんなものだったのか、ということ。要するにデータの出典と、量的な影響にかんする記述が杜撰である、ということなのだが、この点については後でもう少し詳しく書こう。

そして、今日買ってきた週刊金曜日の特集「『買ってはいけない』現象」に掲載された「疑わしきものを薦めるのですか?」という「買ってはいけない」著者のひとりによる、文芸春秋にたいする批判記事が、私のそんな思いを確信に変えた。

この本(「買ってはいけない」)の作者は宗教の教祖とおんなじだ、と。

たとえば「買ってはいけない」だけを読んでいたら、私もそうだったように、一般に流通している商品のほとんどがだめなのだ、と思い込んでしまいそうだし、文芸春秋の記事だけを読めば、「ああ、そういううさんくさい本があるのね」と思うだろう。「疑わしきものを薦めるのですか?」だけを読めば、「やはり文芸春秋は消費者運動を潰しているんだ」と決めつけるようになってしまうかも知れない。
かように、この三つの記事は、それぞれ、とても洗脳効果というか、マインドコントロールの効果がありそうに思う。だから、できればみんな、この三つのすべてを読んで、そのうえで批判なり判断をくだすのが一番だと思うのだが、週刊誌など、ずっと保存しているひとの方が稀だろう。
ここでひとつ、三つの内容から著作権侵害をしない程度に引用してみようと思う。ただし、先に宣言した通り、私の結論は「買ってはいけない」自体にたいして批判的なスタンスであるから、多分自分でも意識していないバイアスがかかっていると思う。そのあたりを考慮に入れて、以下の引用を読んでほしい。

まず、ラ王の話と甘味料のアスパルテームに関する話題から書こう。というのは、

私が書いた三九品目に対しても、批判と言えるようなものは「日清ラ王」と甘味料のアスパルテーム、ヤマザキクリームパンだけだ(「疑わしきものを薦めるのですか?」)

とあるから。では、まずラ王の記述から。原典は、こうある。

「ラ王」には、中華めん独特の風味と色合いを出す「かんすい」が添加されているが、安全性が不明なうえにハプテン(タンパク質と結合してアレルゲンとなる)となりうる。また肉エキスや豚肉は、肉アレルギーの人にとっては強力なアレルゲンだ。

これにたいして「『買ってはいけない』はインチキ本だ」(以下「インチキ・・・」)は、こう指摘している。

完全無農薬・有機栽培の米だって、米アレルギーの人にとっては強力なアレルゲンである。こんなものは不当ないいがかりである

で、最後の「疑わしきものを薦めるのですか?」(以下「疑わし・・・」)の再反論は、こうだ。

私は、食品添加物と肉エキスや豚肉のタンパク質が複合的に作用し、アレルギーを起こす危険性が高まることを言いたかったのだ。それは、前後の文章を読めば分かることである。しかし、彼は、それらを意図的に無視し、(・・・)皮肉るだけである。

ふつう、カップラーメンには肉類が含まれているものだし、消費者もそれと知っているはずだ。確かに「買ってはいけない」のこの項での主張が肉アレルギーにかんするものではないことは分かるが、かといってここで肉アレルギーにかんする付け足しを行うのは、果たして本当に適切だっただろうか? 著者は文春の批判記事「インチキ・・・」を

記事のごく一部を取り上げ、しかも重箱の隅を突つくように、そのごく一部の文章を引用して、全体が「ウソ、誇張、ねじ曲げ」であるかのような詭弁をろうする。

と批判している。が、いやしくも企業の商品を実名を挙げて批判するからには、そうした「ごく一部の文章」であっても「ウソ、誇張、ねじ曲げ」がないよう、最大限の努力を払うべきではなかったか? しかも文春の記事は

商品批判に際して、社名と商品名を具体的に挙げて行う姿勢そのものは、高く評価していいと思う。

とか、

『買ってはいけない』を読んで(・・・)私が心から納得しえたのはアース製薬のポリデントぐらいなものだった。

と、ごく一部ではあっても同誌を評価する姿勢を示しているのに、「疑わし・・・」では

『文芸春秋』は、これまで数々の市民運動・消費者運動つぶしと思える原稿を掲載している。(・・・)そして今回また、(・・・)息を吹き返そうとしている消費者運動をつぶそうとしている。

と、その記事の冒頭から、対決姿勢を隠していない。だからなのだろうか、「疑わし・・・」は、いささか感情的に書かれている部分がみられるようだ。アスバルテームにかんする記述では、

アスパルテームについては、人間の脳腫瘍との因果関係が指摘され、胎児毒性の問題もある。私は、それらについても書いたが、日垣氏はこの重要な問題を全く無視している。(「疑わし・・・」)

とあるが、そもそも「買ってはいけない」は、コカ・コーラ・ライトの項に「アスパルテームの最大の問題点」として、フェニルケトン尿症の新生児にたいする影響を挙げている。その「最大の問題点」と指摘された焦点に絞って批判を加えたことが、「記事のごく一部を取り上げ、しかも重箱の隅を突つくように」詭弁をろうしている、とは、私にはとても思えない。この「疑わし・・・」のそうした論調は、文章の端々に見て取れる。その結果として、「インチキ・・・」で指摘されていた批判に対して、きちんとした反論ができていない箇所も多い。

「インチキ・・・」で、「ソルビン酸カリウムとソルビン酸は別の物質なのに、「買ってはいけない」では、両者の毒性データを意図的に混同している部分がある」というような指摘があったことにたいして、「疑わし・・・」は「ソルビン酸に単純にカリウムが結合したのがソルビン酸カリウムであり、その毒性はソルビン酸の毒性にカリウムの毒性が加わったものになる」と言い、その後にソルビン酸カリウムの変異毒性について記述し、「こうした点を総合的に判断して、前記のように書いたのである」と言うが、それならば、その旨をあらかじめ「買ってはいけない」に明記しておくべきだ。
また「キリンラガービール」、「桃の天然水」についての「インチキ・・・」の記述は、まともな批判にはなっていない、と書かれているが、私はそうは思わない。
特に「桃の天然水」については、ペットボトル症候群を引き合いに出して、こんな飲料水を水代わりに飲んでいたらだめだ、と言いたいらしいが、そんなの当たり前である。だれがこの手のジュースを水代わりに飲むものかね。いくら「桃の天然水」という商品名だからといって、こんなに甘ったるい飲料を一日にペットボトル何本も飲めるやつはそうそういない。ここで問題になるのは、こういうジュースを日に何本も飲んでしまうという病的な生活習慣であって、ジュース単体ではない、そう日垣氏は言いたいだけなのに、それを「まともな批判ではない」と切り捨ててしまう。
「キリンラガービール」にしても、遺伝子組み換えとうもろこしが含まれる可能性があるから、嫌いだ、と言い放ち、その後の記述は遺伝子組み換え作物の危険性の話で終始しているが、だったらそれこそ「お客さま相談室」なりで、事前に問い合わせをしなかったのだろうか。たとえば「おたくの商品には、遺伝子組み換え作物が使われているのか、また今後使う予定はあるのか」、と。それで回答が「ノーコメント」であったなら、ポリデントの項同様消費者に不安感を与える企業の商品、ということで、より「買ってはいけない」度に説得力が増したはずだが。

最後に、「疑わし・・・」筆者の渡辺雄二氏以外の記述への「インチキ・・・」における批判にたいする反論。これについては、軽くふれるだけにする。

マクドナルドのハンバーガーにかんする精子の減少問題。「買ってはいけない」にたいする日本マクドナルドからの回答(『買ってはいけない』現象」に掲載)にもあるように、この部分の記述は非常に曖昧で、実際は若い男女にある種の病気が増えている、ということを述べているだけなのに、結果としてあたかもハンバーガー(そして、その代表としてのマクドナルド製品)がその原因であるかのごとき書き方になっている。また本文で文芸春秋に載っていた、とされるハンバーガーメーカーの開発室長の証言は、日垣氏によると、実際は該当の雑誌には載っていなかったそうだが、その点にかんする訂正や反論は「疑わし・・・」には書かれていない。

マイルーラの記事については、「インチキ・・・」ではそもそも兎を使った実験データに対する疑義が述べられているにも関わらず、「最も重要な記述を意図的に無視し、言葉尻をとらえてやゆしているだけ」と決めつけ、「自分は使わない、でも他人はどうでもいいという姿勢だ」と批判するわけだが、・・・当たり前ではないか。ならば、世間の人は、みんな自分が安全だと認めたものだけしか使ったり食べたりしてはいけないというのか。しかもその危険を判断するデータが、たとえば1983年に発売された商品を74年にテストしたデータ(マイルーラ)であったり、クレオソート油とクレオソートを混同した結果生じたものだったりしても、錯誤が分かった時点で訂正すれば、それで事足りる、というのだろうか。

これでは企業の営利活動はほとんど成り立たないし、だいいち国が決めている各種化学物質等の使用基準など、はなから無視していることになる。基準が欧米に比べて甘い、とか、危険性を示す実験データが、どこそこにある、というのならまだ分かるが、それならそれで、誰でもすぐに分かるよう、原典を明記するべきだ。「買ってはいけない」単体では、書かれた記述が正しいのかどうか、実証データにあたることもできないではないか。

なぜこんなことにこだわるのかというと、危険性を指摘するデータそのものが、曖昧なまま、一般に流布している場合もあるからだ。たとえばこれは別の話なのだが、化粧品などに使用している場合、表示が義務付けられている「特定表示成分」というものがある。これは本来、その化学物質にたいするアレルギーを考慮した結果厚生省によって選定された物質なのだが、これらの成分の中には、劇薬に相当する部分もある、といって騒ぎ立てているひとたちがいる。

確かに危険な成分が含まれる物質もあるのかもしれない。だが、実際にある種の物質を調べたところ、その毒性が、動物実験の際、大量に投与した時にのみ発症した、という程度の毒性しかなかったものがあった。その同じ物質にたいしても、「表示指定成分」に含まれていて、現実性の有無に関わらず毒性があるから、という、ただそれだけの理由で非難したり、攻撃したりするひとたちがいるのだ。これでは醤油も大量に飲めば害があるから使えない、というようなことになってしまう。へきえきした。

やはりデータの真偽や有効性にかんしては、読者はもっと懐疑的であるべきだと思うし、そういう判断材料が与えられていない、という現状では、「買ってはいけない」を手放しに受け入れるわけにはいかないようだ。

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追記:サンデー毎日9/5号

以上までの話を書いていたところ、今日発売の雑誌「サンデー毎日」に、やはり「買ってはいけない」の小特集が掲載された。ここでのトーンも、両者の言い分を併置することで公平さを装ってはいるが、その結果として、この本に対する懐疑がつのるような仕組みになっている(ように私には読めた)。

出色は、「買ってはいけない」著者と「『買ってはいけない』はインチキ本だ」著者の討論。短くて、やや量的に物足りないが、それでも双方が激している様子など、なかなか興味深く読めた。

日垣 「キッチンハイター」では「目に入ると失明し、うっかり飲むと食道に穴があく、この塩素系漂白剤を飲んだ自殺例もある」とまで書いてある。だから「買ってはいけない」と。僕も個人的には使わないようにしているが、本来の用途は掃除用であって、飲むとか目に入れるというのは誤った使用法だ。それなのに、飲んだら毒だから使っちゃいけないみたいな、そういうことをなぜ言うのか。
船瀬 実際に、身障者の方が手から滑り落ちたのを足でとめた際に顔にかかり、大やけどという事故も起こっているんですよ。

この討論の中で日垣氏も述べているが、「買ってはいけない」は、やはり「暮らしの手帖」などとは全然違う性質のものだ。というのは、「暮らしの手帖」の場合、実際にその商品を買い求めて、想定される使用状況に合わせた使い方をして、そのうえで判断をくだしているからだ。たとえばキッチンハイターが劇薬であるとしても、まず実際に使用してみて、本来の使用方法に問題がないか、その点を検証する。そして、その際の性能について言及した後、誤って飲み込みそうな場合、その対策がとられているか、たとえば注意書きはあるか、幼児が簡単に開けられないような工夫はあるか、といった面に関して補足を行う。つまり、本来の機能から外れた使い方にかんしては、商品テストの目的からすれば、よほどのことがない限り(たとえばジュースと見まがうようなサイズ・色の缶に入っていて、いかにも間違いそうだ、とか)、付随的なことなのだ。

性能にかんしては二の次、というのは、たとえば環境問題などで懸念があるとか、そういう場合ならまだわかる。が、この「キッチンハイター」のように、「飲んだら毒だから使っちゃいけない」というのでは、やはり企業が商品を開発しようという意欲をそぐことになる。

もっとも、このハイターの文章については、それ以前に、塩素系漂白剤を使うことへの異義を主張しており、この飲んだら云々というのは、いわば筆が滑ったのかもしれない。ただ、それにしてもこの項は「ハイター」ではなく、塩素系漂白剤の問題にかんする一般論になっているのだが・・・。

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追記:ネットでの「買ってはいけない」情報

ここまで大急ぎに書いてきて、まだこのページをアップロードするつもりはなかったのだが、「買ってはいけない」情報を求めてネットを検索すると、色々なことが分かったので、それをここに書いておこうと思う。

まず、そもそも週刊「金曜日」という雑誌や、この雑誌に深く関わっている本多勝一氏にたいする疑惑というか疑念がけっこうネットではたくさんあるんだということ。これには、驚いた。いわく、最近の「金曜日」はオカルトだ、いわく、本多勝一の「カンボジア虐殺はなかった」発言は、なぜ当人の手によって黙殺されたままなのか、などなど。

以下、とても参考になったページを示す。

週刊金曜日に疑問
これが基本、かな。かなり読みごたえあり。

Kinyou
「買ってはいけない」に散見する化学物質の有害性を指摘するデータについて考察している。グルタミン酸ソーダの害について、言われ続けてきたデマなどを論破している。

オカルト・超科学批判のページ
週刊「金曜日」のオカルト性について。こんなことになってるなんて、びっくりびっくり。

Hondaron
本多勝一論。当初カンボジアの虐殺を否定していた氏が、その後正反対の立場に転向し、しかもその際、かつて自分が書いた文章の載っている単行本から、読者への断りもなしに「虐殺否定」部分を削除していた、という問題について。

本多勝一研究会ホームページ
本多氏の多くの著作に見られる原稿「改竄」疑惑について。

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追記:「暮らしの手帖」99年8-9月号

「買ってはいけない」は、しきりに「暮らしの手帖」を引き合いに出していて、さもこの雑誌がお手本になって「買ってはいけない」が作られたかのように記している。

花森安治の「暮らしの手帖」で育ったわたしは、リベラルな企業批判の姿勢が知らず知らずのうちに身についていたのでしょう。(「買ってはいけない」座談会での船瀬俊介氏の発言)

など(他にも「サンデー毎日」や「週刊金曜日」に同主旨の発言があるが、長いので引用はしない)。これだけ読んでいると、「暮らしの手帖」が彼の「リベラルな企業批判の姿勢」を育み、その結果として「買ってはいけない」が出版されたかのようだ。まあ、本人はそのつもりなのかもしれないが。

ところで、その「暮らしの手帖」の最新号を見ると、巻頭特集で「「食べ物信仰」はやめましょう」というのがあって、その中にはこんな記述があった。

・・・「まじめな人ほど、食べ物信仰の落とし穴に入るようです」と高橋先生は言います。そして、そんな人たちが共通して「だめな食品」「危険な食品」と信じて排斥しているのが、砂糖、化学調味料、食品添加物、炭酸飲料、ファストフードなどの食品でした。
化学調味料はふだん煮干しやかつおぶし、昆布でダシをとっている人や、その味がきらいだという人には不要なものです。しかし、料理の足がいまひとつ物たりないというとき、化学調味料を一ふりすれば、料理の味が変わります。風説を信じたために、まずいものを食べることになったとしたら、これは一つの不幸です。
わたしたち暮らしの手帖が、昔から化学調味料の役割を認めてきたのも、はっきりしない健康にたいする不安より、現実においしいみそ汁や料理を食べるほうが、毎日の暮らしにずっと貢献するとおもってきたからでした。
けなされることの多い食品添加物や化学調味料、あるいは炭酸飲料にしろ、使わなくてすむ人はそれでいいし、食べたくない人は食べる必要はありません。ただ、頭から悪いものだと決めつけて攻撃するのは「食べ物信仰」の一つで、妥当ではないとおもいます。(強調は私)

この部分を読んでいると、「買ってはいけない」の姿勢と明らかに異なっている。このスタンスの違いは何なのだろう。「金曜日」本誌で説明されているんだろうか。いずれにしても、化学調味料ひとつとっても全然態度が違うのであれば、「買ってはいけない」は、あんまり安易に「暮らしの手帖」を引き合いにだすべきではないだろう。だって、誤解を招いてしまう、冒頭に書いたとおり、私もそうだったように、ね。「暮らしの手帖」側でも迷惑だと思うな、こんな風に都合良く持ち出されては。あるいは、迷惑だからこそ、こういう特集を組んだのかもしれない。

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追記:「文芸春秋」99年10月号と「噂の真相」10月号

久しぶりに、本日発売の雑誌二誌に「買ってはいけない」関連の記事が掲載されたので、追加報告。

まず「文芸春秋」99年10月号。渡辺雄二氏の反論と、日垣氏の再反論が載っている。渡辺氏の反論は、「金曜日」や「サンデー毎日」に書かれたこととほとんど同じであり、あまり発展性がないように思う。前回口を閉ざしていたマイルーラの項にかんする反論ぐらいかな。渡辺氏のトーンは、日垣氏が「最も重要な部分を意図的に無視し、重箱の隅をつつくような」ことをしている、というもので、こうした姿勢は一貫している。それは文脈の中から言葉尻だけをとらえて、自分の本当に言いたい部分を理解してくれていない、といういら立ちの現れなのかもしれない。だが、同じ薬物の毒性を示すデータが、各項によって相違するとか、そういうはなはだお粗末な実験結果を一冊の本にして示す、などといった杜撰な編集では、当人からすれば「重箱の隅をつつくような」ことに思えたとしても、本全体の説得力を増すために、必要最低限の仕事をしていなかった、と言われても仕方ないと思う。その点については、同じ「文芸春秋」99年10月号に、日垣氏の寄せたこんな文章で例示されている。

「亜硝酸ナトリウムの急性毒性は強く、ラットに体重1kgあたり0.085g経口投与すると半数が死亡する。ヒト推定致死量は20-30g」(手づくり新鮮サンドイッチの項)
「亜硝酸Naは急性毒性が非常に強い。ラットにたいする最少致死量は、体重1kgあたりわずか0.077g。急性毒性の例から、ヒトの経口致死量は0.18-2.5gと算定されている」(中華まん ピザまんの項)
項目によってずいぶん数字が違うのも同書の特徴だ(・・・)
「もう一度言う『買ってはいけない』はインチキ本だ」

本当のことを言うと、今回日垣氏の文章も、それほど新しい情報を得られなかったという点で、個人的には新鮮さを欠いていた。けれどそれは、私がこの本を巡ってネットで色々集めてきた情報があるからで、そういった情報、たとえばグルタミン酸ソーダ疑惑の大嘘だとか、「特選ポーク粗挽き」でのホットドッグと白血病の関与を疑わせる記述のひどい「解釈」なんかは、初めて知るひとにとっては参考になるだろう。それにしてもソーセージやベーコンを食べても大丈夫、ホットドッグを食べたら白血病の比率があがった、という論文を使って、「だからソーセージは危ない」という結論を引き出すのには、いったいどういう思考回路をもっていたらできることなのだろう、と言わずにはいられない。

最後に「噂の真相」に掲載された記事について少し。共著者のひとりである船瀬氏に、電磁波関連商品についての疑惑がある、という噂の話。雑誌の性格上、無責任な噂である可能性も強いが、こういう時期にこの手の噂が出てくると、わりと大きな問題に発展する可能性があるので、少し注目している。

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追記:「SPA!」9月15日号

「買ってはいけない」著者のひとりである渡辺氏の著作に問題発言があり、そのことを書いた雑誌がある、という情報が雑誌SPAの漫画はフライングだというページに載っていたので、急いで「SPA!」を買い、該当漫画が松田洋子氏のものであることを知った(この人の漫画、好きなのだ)。

ゲイ解放運動で不自然な性行為が世間で弾圧されなくなり乱交が始まった。それを戒めるようにエイズが登場した。(渡辺雄二氏の「エイズは人類を滅ぼすか」)
ハイチ人は貧しくて結婚できない男性が多い。それらはホモ 男娼となる。女性は売春婦になる者が多い 性的にかなり乱れている(同書)

前記ウェブページの作者は、「フライングだ」とタイトルにあるように、この漫画には批判的なのだが、いくらエイズに関する情報が少なかった86年に発売された本の中の発言であろうと(だがハイチ人にかんする発言は、86年であろうと断然許しがたい)、そういうことをかつて言った人間が消費者の味方のような発言をしている、ということを知っていてもいいと思う。共著者の船瀬氏はサンデー毎日の対談の中でこんなことを言っている。

我々はプライマリーケア(予防措置)をやらなければいけないと思っている。(・・・)エイズの血液製剤の問題にしてもしかり。危険性やその徴候がある場合には、まず警告という意味で一般大衆に知らせる。これがジャーナリズムだと思いますよ。

渡辺氏と船瀬氏は別の人間であり、その思想的な立場も完全に一致する、ということは当然あり得ないと思う。けれど、ベストセラーとして売れた本の共著者となっているのだから、万が一にでも、この立派な船瀬氏の発言と、非常に差別的な渡辺氏の過去の発言とが組み合わさったとしたら、どのような主張になるのかと考えると、空恐ろしい。
また、「買ってはいけない」自体、刷が変わって内容が大きく変わっている項もあるのにも関わらず、その修正の件については本の中ではふれられていない(この問題についても近いうちに書くつもり・・・だったがこういうすばらしいページがあるので、諦めた)そうだから、もしかしたら「エイズは人類を滅ぼすか」についても、何らおわびのないままに刷が変わった時に訂正されていたのかも知れない。だが訂正のないまま、品切れになってうやむやになってしまったという可能性もある。もしそうなら、本人の差別意識は当時と変わっていないとみなされても仕方ない。この発言を巡ってもっと騒ぎになれば、本人もコメントを出すだろうから、その時に何と弁明するか、興味がある。

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追記:ネットでのメーカーの言い分

今日、たまたまネットで「買ってはいけない」にかんする大幸薬品のコメントを見つけたので、他の企業も何かコメントを出していないかと思い、随分さがしたのだけれど、そもそもウェブページを作っているメーカーが少ないし、あってもなかなか見つけられず、やっと探したと思っても、コメントはなし。全滅状態だった。

それでも数時間かけて検索を続けたのは、上記大幸薬品の内容が、とても興味深かったからだ。大幸薬品の抗議内容と、それにたいする雑誌上でのコメントは、週刊金曜日の8/20号に掲載されており、とりわけ大幸薬品の抗議内容に関しては、とりあげているページもあるので、ここで詳しく書くことはしないが、正露丸の成分に関する大きな間違いがあったことと、それに合わせて

・弊社に取材も事前の了解もなく、貴編集部が一方的に弊社の製品に関して誤った記事を掲載したことについての釈明を望む。不正確な情報や誤った情報をもとにした記事は、いたずらに消費者を混乱させるのみである。この点についての貴編集部の釈明を望む。
・『週刊金曜日』誌上にて公開される場合は、弊社からの回答の全文を掲載する事を望む。
・本回答書受領後、直ちに掲載を取り消し、既に発刊済みの書籍(『買ってはいけない』)を回収していただくことを要望する。

といった、三点の「意見」を出している。この時の間違いはどう考えても否定しようのないものだったから、「金曜日」もさっそく訂正とおわびを出しているのだが、この「金曜日」本誌に見る「買ってはいけない」側のコメントと、実際に大幸薬品が受け取った謝罪文との間に、随分ニュアンスの違いがあるのだった。

まずは、「金曜日」本誌の内容は、こうだ。

正露丸を「漢方薬」としましたが、漢方薬の成分である生薬は使われているものの、厳密には「漢方薬」ではありません。漢方薬を「生薬」に変え、構成や見出しなども訂正させていただきます。
正露丸に使われているクレオソートはコールタールを原料とする日本工業規格クレオソート油ではなく、プナの木などから得られる乾留物を精製・蒸留して作る日本薬局方クレオソートでした。
おわびして訂正いたします。(「回答企業にお応えします」より)

これにたいして、上記大幸薬品のページで見つけた、謝罪文は、下記の通り。

ご質問に答える前に、(間違い点)の3についてお詫びいたします。「医薬用」として使用するクレオソートと電柱等に使用されていたクレオソートを混同している」とのご指摘は、その通りでした。ご迷惑をお掛けして誠に申しわけありません。別冊ブックレット「買ってはいけない」の訂正可能な最新版から訂正させていただき、このアンケートが掲載される8月20日号(予定)の『週刊金曜日』本誌にも、訂正文を出させていただきます。なお、〈間違い点〉の1の「漢方薬」という表現は、漢方薬の成分が使用されているので広義の漢方薬とみてそのように記述しました。ご了承いただくようお願いします。
以下、編集部に対するご質問にお答えさせていただきます。
1.『週刊金曜日』の記事の取材は、筆者や編集部がさまざまなルートや資料を駆使して行なっています。広報部などを通した取材や事前の了解が記事掲載の必須条件とは考えていませんが、結果的に間違った事実を掲載したことについては、弁解の余地はありません。消費者を混乱させ、貴社にご迷惑をお掛けしたことについて重ねてお詫びいたします。
2.ご要望通り、貴社の回答の全文を掲載させいただきます。
3.前述しましたように「ブックレット」は、訂正可能な最新の版から訂正させていただきます。発行済みの分につきましては、売れ足が早く品切れ状態のため、回収は事実上不可能です。ご了承くださるようお願いいたします。

一読して、この謝罪文は平身低頭、といった感じで、「金曜日」本誌を見た時の印象とはずいぶん違う。同誌では別のページの対談で三好氏の発言として「木クレオソートだから安全とも言えません」とあり、また、その訂正が加えられたはずの「買ってはいけない」第16刷でも「植物性だからといって安全とは言えない。クレオソートは劇薬である。」などと書かれており、ひょっとして上記謝罪文を書いたのは、「金曜日」ではなく、まったく関係ないひとなんじゃないのか?などと疑わしくなってしまうほど、落差がある。

ところで、各メーカーのウェブページを探しているうちに、和光堂を見つけたのだが、週刊「金曜日」の対談の中で、渡辺氏が殊勝にも

ちょっと気の毒だったのは和光堂の「ベビーフード」。姿勢が真面目だから、取材すればよかったと反省しました。

と、「買ってはいけない」で事前取材無しに取り上げたことを反省している製品のメーカーだ。ここは、「金曜日」からコメントを求められて

記事を書く前に取材していただければ、お話することはあったのですが、今となってはどうお答えしてよいか困っています。一つの主張としては理解できるが、当方の取材もしてほしかった。

と、述べている企業。このウェブページを見ると、本当に真面目なページだということが分かる。渡辺氏でなくても、ここの商品が「買ってはいけない」と決めつけられたら、あんまりいい気持ちがしないだろうと思う。

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追記:「週刊金曜日」のウェブページでの意見

正直言って、もうこの話題でページを作るのは飽きてきた。そもそも私は、意図的に消費者を騙そうとする商法はともかく、民間療法とか効能をうたった食品の存在そのものをすべて否定したいと思うような科学一辺倒の主義ではない。自分が信じる信じないはともかく、そういうことに凝っているひとをバカだとはいいたくないし、実際偽薬効果もあるんだから、それはそれで有効なのだろうと思っている。「病は気から」ということわざにしたって、もっともだと思う時の方が多い。

ただ「買ってはいけない」の問題に関しては、逆の意味で消費者に不利益をおよぼすと考えていたし、その対象が、いかにも社会問題を真剣に考えていると思われている「週刊金曜日」によるものだったから、なおさらことは深刻だ、そう考えていたのだった。それがここにきて、様々な良心的なひとびとの手によって間違いが暴かれ、問題点が次々と明らかにされてきたものだから、もうそういうひとたちに任せて、自分はこのへんにしておこうかな、などと思いはじめていた。

しかし、もう飽きているというのに、まだここで書かなきゃならないようなことを言っているやつがいることを知った。それが、今回の問題の大本である、週刊金曜日のウェブページに掲載された、他でも無い、本多勝一のコラムだった。

「『文藝春秋』というインチキ御用雑誌 」と銘打たれたこのコラムは、読んでみれば分かる通り、独善的で思い込みが激しく、完全に文藝春秋を敵対視していて、またいつもの論法だと言えばそれまでなのだが、攻撃的な表現に満ち満ちている。

このひとは、いったん自分の敵だと思い込んだら、その相手にたとえどんな長所や美点があろうと、全面的かつ徹底的にけなし、批判し、攻撃するのが常だ。そうやって全否定されると、たとえ相手が「ああ、あの発言はまずかったな」などと内心では反省していても、これだけの攻撃を前にしてはプライドやら自己防衛本能やらが出てきて、かえって反発してしまうものだ。実際、本多勝一に攻撃されて、その後、氏と和解にいたった人間など、ほとんどいないはずだ(というか、私は寡聞にして知らない)。

そしてまた、そうやって自分の眼鏡の中の「右翼」を糾弾し続けてきた本多氏も、こと自分のこととなると、とたんに強情になり、絶対自らの過ちを認めない、ということも、悲しいことだが最近になって分かってきたことだった。具体的には、カンボジアの問題に関する単行本において、初刷りでは記載されていた箇所を数刷目から削除し、その件にかんするコメントがほとんどない、ということだ。長くなるので詳しくは省くが、その削除された部分というのが、当初ポルポト政権にシンパシーを持っていた本多氏の主張が記された部分であり、それがきちんとした自己批判もなしに突然削除されていた、というのだ(「買ってはいけない」と同じ手法だ)。この件に関しては、本多勝一研究会などがしつこく追求しており、その成果が実ったのか、ようやくここにきた「潮」という雑誌に氏の弁明が掲載された。が、これがはなはだ不鮮明な記事で、どう読んでも、ここから反省とか自己批判といったトーンを読み取ることはできない。事情を知っているひとなら、これで納得できるはずもないだろう。

ところが氏は、これで十分弁明になったと考えているらしい。同様に、

本誌先週号(9月17日)の渡辺雄二氏による冷静な反論「消費者運動をつぶす『文藝春秋』さま」を読まれた方であれば、このインチキ文春とインチキ筆者によるインチキのからくりがよく理解されましょう

などと書いているが、こんなのでその「インチキ」のからくりが理解できる人間など、果たしているんだろうか、と思う。

私は昔、本多勝一の本をよく読んできたし、「週刊金曜日」にしても、創刊から一年は購読していた。その時は、こんな風に失望してしまうなんて、思いもしなかったが、他人から謙虚に学ぼうとしないタイプのひとは、いずれすたれていくしかないのだろうかね。あるいは「噂の真相」でほのめかされていたように、本多勝一氏も、「老い」には勝てない、若き日の才を望むのは酷である、ということなのだろうか。

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追記:「買ってはいけない」は買ってはいけない(夏目書房)

表題のタイトルの小冊子が発売されているのを知り、今日(10月6日)銀座の書店で求めた。1000円と、「買ってはいけない」より安い。体裁から何から、「買ってはいけない」と酷似した作りになっていて、AppleJapanが訴えたSOTECのパソコンを思い出してしまった。

今のところ、もっとも体系だっていて、詳しい批判書になっていると思う。一番よいと思うのは、科学的なデータを提示する場合、すべてその出典を明らかにしていることだ。実際、巻末の参考文献の数だけでも、百冊を軽くこえている。また、日垣氏が文藝春秋で訴えた内容や、大幸製薬はじめ企業からの反論、またネットでみられるアスパルテームなどへのいいがかりにたいする反論と内容がだぶる箇所もあるが、それ以上に広い範囲に渡って批判を加えているし、同じ項でも、今まで知らなかった話も載っている。

前者の例としては「不老林」「ドモホルンリンクル」の項にかんする批判がある。船瀬氏は不老林を薬事法違反とみなしているが、そもそもそうではなくて、どうも氏は薬事法をちゃんと理解していないらしい、ということ。 それから「ドモホルンリンクル」だが、氏はここで取り上げられている試供品を、記事を書くにあたって実際に取り寄せてもいないのに、昔同じねたで書いた単行本からの引き写しでもって埋めているらしい、とのこと。昔のサンプルに添付されていたパンフレットには、確かに問題があったらしく、それはこの会社でも認めており、すでに6.7年前から使っていないという。そういう事実を全然取材せず、原稿を流用しているとは、恐れ入った。(これで150万部か。いいなあ、こんなに楽にお金もうけができるなんて、うらやましい)

また、後者の例は「正露丸」の項。私もここで指摘されるまでは気付かなかったのだが、

以前、化学物質過敏症の患者さんが歯が痛くなり「正露丸」を歯につめたことがあった(・・・)漢方薬なら安心と思って正露丸を使ったのだった。

という初版での記述が、手許の16刷では

以前、化学物質過敏症の患者さんが歯が痛くなり「正露丸」を歯につめたことがあった(・・・)大衆薬の「正露丸」なら安心と思って使ったのだった。

と、書き換えられている。つまり、「患者さん」の動機まで変更してしまっているのだった。大幸薬品から抗議がきたから、動機を変えろ、とでもいって迫ったのかな。さもなきゃ、最初からその患者さんの動機をまともに聞いていなかったのだろうか。それともこの患者というのは、作者本人だったのだろうか。いずれにしても説明がつかない。

こういう面白い話がいっぱい載っているので、このページを読んでいる方には、ぜひともお勧めしたい。冊子のタイトルとは反するが、その際「買ってはいけない」本誌も手許においてくらべてみると、なおいっそう楽しめると思う。

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追記:「買ってはいけない」大論争(文藝春秋11月号)

今日(10月12日)発売の雑誌「文藝春秋」には、「買ってはいけない」を巡って4人の人物による対談が掲載されていた。前回の対談よりは、両陣営とも比較的冷静に話をしていたように思う。出席していた4人は、日垣氏と渡辺氏、船瀬氏に加え、「食べ物情報ウソ・ホント」の著者である高橋久仁子氏が同席していた。対論のトーンが比較的穏当だったのは、この高橋氏の出席に負うところが大きいと思われる。

新たに分かった点は、下記の通り。

1.船瀬氏の発言によると「買ってはいけない」を書いた基本スタンスは自己決定なのだ、とのこと。決して「買ってはいけない」と強制するのではなく、マスメディアの大量の宣伝によって、商品の欠点が隠ぺいされていることにたいする、カウンタープロウのような存在として位置付けているらしい。

船瀬氏:私は買ってはいけないと思うから買ってはいけないとアドバイスします。でもあとは自己決定ですね、最終的には。)

2.共著者の間でも意見が分かれている場合がある、と渡辺氏が認めている。(グルタミン酸ソーダに関しては船瀬氏と意見が相違していると明言、また正露丸にたいする訂正が載っていないのは、「かなり独特な論法」の三好氏の考え方のせいだと指摘)

3.「暮らしの手帖」にかんしては、どうも渡辺氏は誤解しているふしがある。

日垣氏:(暮らしの手帖は)最初から企業名を決めてバッシングしたことは一度もない。食品添加物に関しても使ったほうがいいものもあるし、一方で発色剤や漂白剤のような消費者の目をごまかすようなものはやめようじゃないか、という建設的な提案をしているんですね。特定商品の全否定、先にありきの「買ってはいけない」とは、とても対照的です。
渡辺氏:いま、日垣さんが言われたことはまさに私たちがやっていることですよ。それなのに「買ってはいけない」をインチキ本だというのは、ほんとに僕は理解しがたいね。

私の目からすると、やはり「買ってはいけない」のやろうとしていることと、「暮らしの手帖」は全然違うと思う。

4.文藝春秋にたいする渡辺氏の中傷。これは撤回していなかった。(あくまでも疑問形で記述して、はっきり断定しているわけではないし、読者の受け取りようだろう、というのがその理由)

特に2.の事実が分かったのは興味深い。公式に認めたのは、たぶんここが初めてではないのかな。まあ、買って読むほどの内容ではなかったかもしれない。もう文藝春秋なんて買いたくないんだけどなあ・・・。

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追記:朝日新聞10/13朝刊「ベストセラー 火花」

朝日新聞朝刊に、「少年H」と並んで、論争をよんでいるベストセラーとして「買ってはいけない」が取り上げられている。今までの状況を簡単にまとめただけのもので、新しい情報はほとんどないが、その中に、「一斉に反発している」企業の例として、大幸薬品(正露丸)、日本モンサント(ラウンドアップ)だけではなく、味の素の名前があった。八月に「事実無根、誇張とわい曲にあふれ、憤りを感じる」として週刊金曜日の編集部宛に、文書で訂正を申し入れたのだそうだ。確かこの企業は、この雑誌にたいしては沈黙を守っていたはずだった(週刊金曜日では、回答拒否企業のひとつとして挙げられている)のだが。念のために、もう一度ネットで味の素あたりを探してみたり、検索をかけてみたりしたのだが、やはりみつからなかった。

いずれにしても、この本に対して企業が「一斉に反発」している、というのも初耳だ。ほとんどの企業は沈黙しており、だからこそ、この本だけではなく、企業の事勿れ主義的姿勢が批判を浴びているというのに。もし本当に反発しているのなら、訴訟を起こすとか、ウェブページで反論を提示するとか、とにかく目に見える形でアクションを起こしてもらいたい。週刊金曜日も、本音はどうか知らないが、そういう企業の反論を歓迎する、という姿勢を示しているのだから、各企業の商品を愛用しているユーザの不安を解消するためにも、ぜひ対決してほしいものだ。もっとも、今あちこちではやっている「安全宣言」なんか出されたりすると、それはかえって嫌だけどね・・・。

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追記:日垣氏の単行本(未購入)(文藝春秋社)

日垣氏が「買ってはいけない」にかんする批判の論考と、それ以前のダイオキシン報道批判を集めた一冊の本を出している。残念ながら、まだ購入していないし、この先買うつもりもない。理由のひとつは、すでに「文藝春秋」におさめられたものをまとめているのだから、それほど資料として目新しい情報が掲載されているとは思えない、という点と、もうひとつは文藝春秋社から出ている書籍や雑誌を、もうこれ以上いたずらに購入したくない、という気持ちがあるからだ。

この「買ってはいけない考」でも何度か触れているが、もともと私は「文藝春秋」や「週刊文春」を好んで買うタイプではないのだった。というのは文春の雑誌は、時々人権侵害につながるようなセンセーショナルな記事を掲載することがあって、そういう体質があんまり好きになれないのだ。むろん、そういう姿勢が必要な場合もあるんだろうけど・・・手放しに肯定する気分には、どうもなれそうもない。

だから、今回こんなにも文春にかかわる記事を何度も紹介したのは、特例とさえ言える。今後も「買ってはいけない」にかかわる話題には、ある程度の注意力を向けていきたいと考えているが、文春にたいするわたしの「偏見」もあるから、それほど十全なフォローがおこなえない場合もある。そんなのは誰も期待していないとは思うが、いちおうおことわりしておく。

もっとも「いいかげん」と「ふまじめ」がモットーのこのウェブページだから、ここで書いた方針が一夜にして変わってしまうことだってあろうが・・・。

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追記:週刊朝日11/19号の記事

週刊朝日で『「買ってはいけない」著者たちの毀誉褒貶』という記事が掲載されている。「噂の真相」10月号に掲載された、船瀬氏の電磁波測定器メーカーにかんする疑惑を含んだ、「買ってはいけない」著者たちの、著書ではいかにも正義派にみえる一面とは裏腹の、別の側面について記したもの。それも最近出版された『「買ってはいけない」大論争』という本(そのうち入手して、ここにも書く予定)から得た情報を元にしたもので、記事自体の独自性はあんまりない。
もっとも、そうした情報が本当かどうかの裏取りが記事のメインになっており、まあ雑誌らしいスタンスだという言い方もできるだろう。ただ、どうせ取材するなら、渡辺氏のエイズ関連の発言にかんする疑惑も、ぜひ本人に追求してみてほしかった、と思う。この雑誌は300円であり、高くはないが、わざわざ買って読む程の内容でもない。まあ、ここ最近の週刊文春よりはましかもしれないが。

1.「買ってはいけない」講演会の会場で、著者が推奨する商品が売られていた。

2.三好基晴氏は日本オニバスという企業の顧問医師であり、その会社のオムバス療法なるアトピー治療法が、氏の反ステロイド剤を標榜する論法と大きく重なる。そして、三好氏同様、日本オムバスの協力クリニックの中には、検査データの意図的な解釈や、高額の治療費用に疑惑を抱かれている病院もある。

3.味の素にかんする記述はおかしい、と実際に編集部で試した結果を元に指摘。

4.渡辺氏が菓子パンの中でクリームパンを槍玉にあげたのは、氏があんぱん好きだからだ(これはちょっと変な文章だと思う)。

5.船瀬俊介氏は三一書房での労使紛争の際、経営側の組み合い潰しに加担した。

おおまかな内容とすれば、こんな感じだ。衝撃の事実が明らかになった、とかいうのではないため、ここでも、特にコメントすることはない。

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追記:『「買ってはいけない」大論争』(鹿砦社)その他

表記の冊子を買って読んだ。翌日には、また別の「買ってはいけない」本が、同じような体裁で書店に並んでいた。これで夏目書房の本に日垣氏の本、それからこの2冊ということで、合計4冊を数えることになる。どれもみな、さも自分の本は良心的であるかのごとき体裁(帯や前書きから判断した)をとっており、また実際そうなのかも知れないが、結局みんな「買ってはいけない」の便乗本になっている、ということを理解しているんだろうか? つまり、こういう本は、それだけで読んでも意味がないから、知らない人は「買ってはいけない」本体も買わないとならない。自分の本を売るために、批判している当の相手の売り上げに貢献している形になる。「買ってはいけない」を2冊も持っている私に、こんなこという資格はないけどね。
ただ、これだけ便乗本(まがいの商品、としておこうか、いちおう)が登場してくると、小林よしのりの「戦争論」が出た時のこととか思い出して、不愉快になる。話題にするだけで、もっとも批判したい相手を利するような、かといって、黙殺するのも気分が悪い、という、そんな感じがしてくる。

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追記:「サイエンス・チャンネル」での討論

随分久しぶりの更新になる。すでにこの本にかんする熱もさめ、当初「出す」と言っていた「買ってはいけない」の続編も登場していないところからすると、週刊金曜日編集部も、多少はこの本のでたらめさに気づいたのだろうか。

ともあれ、現状では新しい情報などほとんどないし、こういうページで書く意義もあまりないかもしれないが、記録として残しておくという意味で、追記を加える。ケーブルテレビで「サイエンス・チャンネル」という局があるのだが、そこで数カ月前に「買ってはいけない」の著者ふたりを招いた討論番組が放映された。ここでは学者などの、「石鹸も合成洗剤も万能ではないのだから、どちらか一方ではなく、両方を適当に組み合わせて使うのが正しい」という意見が提示されたが、それにたいして著者のふたりは、依然としてとにかく石鹸の一点張りだった。

学者側の意見の根拠は、私が見ているかぎり、十分に合理的な説明だったと思う。

・石鹸も合成洗剤も、界面活性剤を使用している。
・ただし、その量は石鹸の方がかなり多い。(アタックは内容量中36%なのに対して、石鹸洗剤は70%)
・また、1回の洗濯に使用する量も、石鹸洗剤は合成洗剤の倍になる。
・したがって、成分の分解に必要な有機物の量で比較すると、石鹸洗剤は合成洗剤の4倍になる。
・事実、ヨーロッパでは、分解されない石鹸が汚泥となって河川に堆積し、問題になっている。
・石鹸にも、発ガン補助性を連想させる、という検査結果があり、まったく無害、というわけではない。
・下水処理設備のしっかりした地域・国などでは、石鹸ではなく、合成洗剤を用いた方がよい場合もある。

こんな感じだ。対して「買ってはいけない」の著者は、やはりそれでも石鹸を使った方がいい、という主張を曲げなかった。ただ、彼らの持ち出してくるデータのいちいちが古いもので、より新しいデータを使って、自説を検証していこう、という姿勢に欠けているような気がした。そもそも、ドモルンリンクルでの一件からして、彼らのデータの取扱いには疑義がのぼっているのだから、そのあたりはもっと柔軟な姿勢を見せてほしいと思う。とかいってもだめかな。多分、確信犯なんだろうしね。

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