K100補修履歴・ホイールベアリング交換編 2005.6.7

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 何でこんなに重い???

2005.5.13  : 交換準備
49578km
 以前から気になっていたのだが、このK100RSはフロントホイールベアリングの回り具合が異常に「重い」のである。ホイールを外し、ベアリングを回そうとしても指が滑ってしまって回らない。ベアリング指を2本入れて力いっぱい回すと何とか回る。ホイールを取り付けた状態で回すと重くなく、走行時のガタや振動もないのだが気持ちが悪い。場所が場所だけにベアリングを交換することにした。
 ベアリングのサイズを調べてみたところ、ちょっと特殊なサイズのようである。ベアリング冷凍右と左でサイズが違い、右が「25×47×12」左が「25×52×20.6」。右は「6005」なので簡単に手に入るが左は「63205」(*注1)。大阪市内のベアリング商社に問い合わせてみたところ「すぐに入荷する」ということなので手配を頼んでおいた。ただし、純正はFAG製だが今回手配したのは国産のNTNとNSKである。(*注2)
 ベアリングは冷凍庫に入れて冷やしておいた。
*注1:ベアリングのサイズ K100RS4VとK1100RSは同じサイズで、右が「25×47×12 (6005)」、左が「25×52×20.6 (63205)」。 同じ4V系でもK1100LTは右は同じだが左が「25×47×16 (63005)」。 2V系は左右とも「25×47×12 (6005)」である。なお、シールは非接触ゴムシールタイプを使用した。末尾記号はNTNだと「LLB」、NSKだと「VV」である。
*注2:入手先 今回は「ナカイ商工」で手配した。価格は純正品の5〜6分の1くらい。
*準備する工具類 : パイロットベアリングプーラー(ない場合は堅い木の棒、銅パイプ。)、重めのハンマー(軽いもので勢いよく打つより、重いものでゆっくりと。)、スナップリングプライヤー(または先の細いラジオペンチ)、ヒートガン、木材(2×4材など)
 
2005.5.15  : 作業開始
49578km
ホイール取り外し ベアリングも揃ったので作業開始、まずは車体前部をジャッキアップしフロントホイールを取り外す。ここまでは楽勝である。ベアリングの回り具合を確認したが、やはり相当重い。
 スナップリング取り外し左側に取り付けられているスナップリングを取り外してからベアリングをドライバーで叩き出そうとしたところ・・・なんと、叩くところがない。左右のベアリングの間にはカラーが入っているのだが、この内径がベアリングの内径と同じなのでドライバーが全く引っ掛からないのだ。パイロットベアリングプーラーも同様に引っ掛からない。右も左も同じ。いきなり作業STOPである。100均メガネレンチ
 よく観察したところ、ベアリングの内輪とカラーとの間には内輪の面取りの分だけ段差がある。100均メガネレンチ加工後ここに何かを引っ掛けることができれば何とかなりそうだ。そこで、100均でメガネレンチを買ってきて先端がLの字型に尖った特殊工具を作成することにした。メガネレンチのオフセット部分のカーブをうまく使い、サンダーで削ってみた。これなら何とか引っ掛かりそうだ。
 作成した特殊工具を使用して作業を再開したのだが、工具を押さえつけやはりうまく引っ掛からない。内輪の面取り部分が丸くなっているので工具が滑ってしまうのだ。結局、タイヤレバーで工具を内輪とカラーの隙間に押し付けながら叩き出した。これは1人では無理である。それと、叩き出す際、少々叩いたくらいではびくともしなかった。バーナーでホイールを暖め、力いっぱい叩く感じでようやく右側のベアリングが外れた。右側のほうがベアリングが薄いので楽なはずなのだが。カラー
 取り外したカラーを見ると、芯出しのためのリングが取り付けられている。これがあるためカラーをずらすことができなかったようだ。ここでおかしなことを発見。ホイールを外したときはベアリングは異常に重く、しかも右のベアリングを回すと左も回る状態だった。ベアリングとカラーがきっちりと密着している状態だったはずだ。ところが、片側のベアリングを外した今は、なんとベアリングが軽く回る。左右とも軽い。ということは、ベアリングに与圧が掛かりすぎて重くなっていたということになるのだが、ベアリングは右も左も打ち込める深さは決まっている。何とも不思議である。
 ベアリングプーラー使用中片側のベアリングが外れたので、もう片方のベアリングは反対側から叩き出してもべリングプーラーで抜き出してもよい状態になった。プーラーがあるなら使うほうが良かろうということでベアリングプーラーをセットして抜きに掛かったのだが全く抜けない。プーラーの爪が負けて外れてしまう。今回使用したプーラーはベアリングの内輪に爪をはめ込んで広げるタイプ(*注3)なのだが、この爪が滑ってしまうのだ。それならということで反対側から叩き出そうとしたが全く動く気配がない。暖めてもダメ。今まで数多くのベアリングを抜いたがこれほど固いものは記憶にない。ホイールをゆがめてしまっては大変なので潔くあきらめ、ディーラーに持ち込むことにした。しかし、悔しい。
*注3 : 今回使用したパイロットベアリングプーラーはアストロプロダクツのもの。商品コードは2010000000038、先端が開閉タイプになっている。パイロットベアリングプーラーには違うタイプもある。商品コード2010000000373、「パイロットベアリングツールF1」で、今回のようなベアリングもこのタイプなら外すことが可能なはずだ。
 なお、同様の工具はストレートでも手に入る。
 
2005.5.22  : 作業再開
49578km
ベアリング交換後 ディーラーに頼んでおいたベアリング交換が完了したというので受け取りに行った。メカ氏いわく、「大変でした。」 ベアリングプーラーが壊れてしまうほど固かったそうである。ディーラーには気の毒だが、こちらも「固くて手に負えないのでお願いします」と正直に申告し、工賃も払っているのでそこはしょうがない。ホイールを見ると、ベアリングプーラーを当てた後が残っている。ABSセンサのギャップなるほど、苦労したようである。
 ベアリングさえ組みあがってしまえばホイールを取り付けるのは簡単である。いつも通りに組み付けてようやく走行できる状態になった。
・・・と、ここでまたひとつ疑問。ABSセンサのギャップが若干変わっている。許容範囲には入っているのだが、若干広くなっている。このギャップが変わったということはベアリングとホイールとの位置関係が変わったということである。ベアリングの精度にばらつきがあるのだろうか?
 
2005.5.28  : 走行テスト
49578km〜
フロントホイールベアリングの交換が完了したので走ってみたが、全く何も変わらない。
 取り外したベアリングのダストシールを外してみたが、中のグリスは若干変色しているもののたっぷりと残っていた。苦労しただけで終わってしまったようだが、とりあえず新品のベアリングになったということで安心といえば安心である。
 

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