K100補修履歴・ブレーキパッド点検編 5/10,5/25

 ブレーキ関係の作業ミスは重大事故に直結します。自信がない場合は行わないでください。
このページを参考に作業する場合でも、全て自己責任で行ってください。

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 ブレーキパッドの点検も購入以来やっていない。一通り点検し終わるまでこの手の整備は終わらないようだ。

2003.5.10  : フロント
22901km
 まずはいつも通り基準値の調査。マニュアルによると、K100RSのブレーキパッド摩耗限界は1.5mmだ。ちなみに、一円玉の厚さは2mmなので、キャリパー取り外し1.5mmというのはかなり薄いといえる。
 なお、今回はフロントホイールベアリングの点検も同時に行ったのでフロントホイールを取り外したが、パッドの点検だけならホイールの取り外しは不要である。
 取り外したキャリパーまずはブレーキキャリーパーをフロントフォークアウターチューブ(スライダー)に固定しているマウンティングボルトを取り外す。そこからブレーキキャリーパーをブレーキディスクから引き抜くのだが、そのまま引いてもホイールに当たってしまい抜くことができない。キャリパーを前後に押してピストンを引っ込め(*注1)、パッドとディスクの間に隙間を作ってから引き抜く(*注2)。ここはパズルである。リテーニングピンの取り外し
 ブレーキパッドの厚さ点検だけならここまででよいのだが、パッド裏面やピストン部の清掃も行うため、パッドをキャリパーから取り外す。パッドは1本のリテーニングピンで串刺しになっているためピン抜きを使ってピンを叩き抜く。ピンが抜ければパッドは手で取り外せる。(というか、ピンが抜けたときに落ちてくるので注意。) ちなみに、今回の点検ではパッドの厚みは一番薄いところで3.0mm、厚いところで4.0mmだった。パッドの角落としあまりにも差が激しいようなら、その部分のピストンの動きが悪いので、キャリパーのオーバーホールが必要である。また、欠け・ひび割れ等があれば即交換である。外したパッドは、油分をつけないように清掃し、角をヤスリで軽く落としておく。
 キャリパー洗浄!パッドの点検が終わったらキャリパー側も点検する。まずは液漏れのチェック。次は動きのチェック。ひとつのピストンを押すと他のピストンがもぐら叩きのように出てくる。4バルブモデルの場合はキャリパー片側につきピストンが4つあるので全て点検する。パッドが減り気味だったところは少し動きが固い。数回もんでやると他と同じくらいになった。キャリパーにはブレーキダストがこびりついているので歯ブラシに薄めた中性洗剤をつけて全体をきれいにし(*注3)、水分を完全に飛ばして清掃は完了である。
 組み付けは、外したものを順に取り付けるだけである。ブレーキパッド裏面にブレーキグリスを塗ると鳴き止めになるが、今回は用意していなかったのでそのまま組み付けた。その他注意する点としては、パッドのリテーニングピンを打ち込む際、パッドについているスプリングがリテーニングピンとパッドの間に噛み込まないように注意すること(ピンが入りにくいと思ったら深入りしないこと)、キャリパーをフロントフォークに取り付けるときは、キャリパーを車輪の回転方向側に押し付けてからボルトを締めること(*注4)、などである。
 組付けが完了したら、各部を冷静にチェックする。ブレーキ関係の作業でのミスは大事故に直結するので十分な注意が必要だ。
*注1 : ピストンを押し戻すとリザーバータンクの液面が上昇します。パッドが減ってくると液面が下がりますが、その時に継ぎ足しをしている場合はピストンを押し戻したときにあふれることがあります。あふれそうならリザーバータンクから液を少し抜いてください。
*注2 : キャリパーを取り外した状態では、絶対にブレーキレバーの操作を行わないでください。ピストンが飛び出してしまいます。また、左右のキャリパーを同時に取り外した場合、片側の作業をするときに反対側に木片等をはさんでおいてください。
*注3 : このキャリパー洗浄については賛否両論があります。ブレーキ液は吸湿性が強く、ピストン部分にも錆が発生する可能性があるというものです。今回は近いうちにブレーキ液の交換を予定していたこともあり、大雨中走行と変わらないということで気にせず実施しました。要は、ブレーキダストが取り除ければOKです。
*注4 : キャリパーを前方に押し付けてから締めます。手で軽く締めてから車体を前に動かしながらブレーキを掛けてやっても同じです。なお、最終的な締め付けトルクは30〜34N・mです。
*キャリパーの型式 : 私の車両はABS付きの4バルブモデルです。2バルブモデルでは後述のリアと同じタイプのキャリパーが使用されているはずです。この場合、キャリパー本体を取り外さなくてもパッド交換ができます。
 
2003.5.25  : リア
23022km
 リアのブレーキパッド摩耗限界はフロントと同じく1.5mmだ。
 リアは、パッドの点検(交換)だけならキャリパーを取り外す必要はない。ただし、パッドをキャリパーにとめているピンを抜くときにリアショックが邪魔になるため、リテーニングピンの取り外しリアショックのマウントボルトを緩めてショックを少し外側にずらしておく。(このとき、リアタイヤの下に木片等を敷き、タイヤを持ち上げておくとよい。) 準備ができたらキャリパーの上にかぶさっているキャリパーカバーを左右に広げるようにして取り外す。次に、マフラー側からピンを叩き抜く。フロントと違っているのは、パッドをとめているピンが2本あること、さらに短めのセンターピンがあること、リテーニングスプリングが別にあること、である(*注5)取り外したパッド類ピンを引き抜くとパッドが下に落ちてしまうため、針金等で引き上げて取り外す。
 外したパッドはフロントと同様、清掃して角を落としておく。なお、パッドの厚みは一番薄いところで2.7mm、厚いところで3.0mmだった。フロントと比べて減っているのは少し引きずり気味だからだろう。
 組み付け時は、パッドをキャリパーに収めた後、リテーニングスプリングの輪になっている側のピンを先に差し込む。次に、センターピン、もう一本のロックピン、キャリパーカバー、の順になる。
 パッドの組みつけが完了したら、リアショックを元の位置に戻し、ナットを締め付ける。ただし、このときは仮締めにし、センタースタンドを下ろしてショックに荷重がかかった状態で規定トルクで締め付ける(*注6)
 点検清掃完了後、ブレーキの引きずりが少しましになった。これくらいでも効果があるようだ。
*注5 : ピンを抜く前に、ピンとスプリングの位置関係をメモしておいてください。
*注6 : リアショック固定ボルトの締め付けトルクは48〜54N・mです。荷重がかかった状態で締め付けるのは、車輪が浮いた状態ではガタの方向が逆になるためです。

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