K100補修履歴・クラッチ調整編 4/2

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 クラッチレバーの操作が少しぎこちない。クラッチケーブル両端への給油は4500マイル(7240km)走行ごとに行い、必要ならば調整するように指定されている。クラッチレバー回りを点検したところ・・・

2003.4.2
21227km
ワイヤー給油 クラッチワイヤーというものは実に簡単に切れてしまうものらしい。「伸びてきたかな?」という感じが出たら要注意で、レバー側で調整してそのまま乗っているといきなり切れるという。それは困るので、まずは点検・給油から始めることにした。
 ワイヤーを外すのは簡単だ。クラッチレバーの支点ピンを外し、レバーからケーブルのタイコを外すだけである。外したケーブルにささくれや摩耗は見られなかったが、油っ気がない。グリスを少し塗りこみ、潤滑油を吹きかける。専用のケーブル注油アタッチメントを使えば楽なのだが、持っていないので一滴づつである。20滴ほど中に染み込ませて完了。レバーの遊び(調整後)ケーブルとレバーを元通りに組み付けたところで、調整の基準値はどうだったか?とライダーズハンドブックを見てみると、「レバーの根元部分で遊びが4プラスマイナス0.5mm」となっている。!!・・・外す前はもっとあったような気がする。クラッチがつながるときの感覚を頼りに元に戻して遊びを測定してみると、なんと8mm近くある。これくらい基準とずれていると、クラッチが完全に切れていなかったのではないか??
 実は、このK100RSで気になっていた症状として「ミッションが温まってくるとローギアに入りにくくなる」というものがあった。始動直後は「すこん」と無ショックで入るのだが、しばらくすると車体が少し前に出るくらいのショックを感じるようになる。クラッチが完全に切れていないような感じだったのだが、そのままクリープするほどではなかったので放っておいたのだ。クラッチワイヤーの引きしろが足りずクラッチが「ほんの少しだけ」つながりかけていたとするとつじつまが合う。トランスミッション側始動直後はオイルが固いのでギアが回らないが、オイルがやわらかくなってくるとドライブ側のギアが回り始め、入りにくくなるのである。とりあえず、規定値の通りに調整してみることにする。ライダーズハンドブックとクライマー社のマニュアルとで調整方法が違うのだが、要は「トランスミッション側のケーブル長(スリーブの端からタイコまで)が75プラスマイナス1mmになるようにクラッチレバー側を調整、次にその状態でプッシュロッドが押され始めるようにプッシュロッドのアジャストスクリューを調整、最後にクラッチレバー根元で遊びが4プラスマイナス0.5mmになるようにクラッチレバー側を再調整する。」ということらしい。
 さて、実際にトランスミッション側を測ってみると71mm。これが75mmになるようにレバー側のアジャストスクリューを調整した。次にプッシュロッドのアジャストスクリューを「手で回して抵抗を感じ始めるまで」締めていくのだが、これがなんともいやな場所についている。スイングアームとサブチャンバーとタイヤにはさまれているのだ。アジャストボルト手持ちの13mmレンチを総動員してなんとか調整したが、この調整だけで一時間近くかかってしまった。最後に、レバーの遊びが約4mm+αになるようにして完了である。試しに走ってみると、クラッチがかなり遠く感じるが、これは慣れるしかない。肝心のクラッチの切れは?ということでさらに10キロほど走ってみたが、ショックもなく軽く入る。なるほど、これが乾式クラッチの切れのよさか、と感心してしまった。他のギアについてもシフトアップ/シフトダウンのどちらについても軽くなった。やはり、基準値というものは大切なのである。
 
 注意 : アジャストボルトのロックナットを締め付けるときは、エキパイを取り外すのが一番楽と思われます。リアタイヤを外しても少し作業性が良くなります。これらを外さないで済ませるためにはオフセット量が大きくて全長の短い13mmスパナが必要です。なお、それがあったとしても腕の太い人は無理でしょう。

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