「大顰蹙」


 相変わらず吉野家に行ってる訳だが、この間飲んだあとにも寄ったのだった。夜の10時頃だった。

  入るとおじさんが3人座っていた。見たところは普通のサラリーマンのおじさん達だった(50才前後)。直前に入ったらしく、今、将にオーダーを出さんとしているところである。当店の店長(24才)が応対していた。
 「えーと、ビールでしょ。二本。それから日本酒ある?」
 「あ、ありますけど・・・」
 「何?、冷や?。熱燗できる?」
 「熱燗は時間かかりますが・・・」
 「ん、じゃ、熱燗三本。」

 向こうでは食べ終ったお兄さんが千円札をひらひらさせている。
 「お会計お願いします。」
  「少々お待ちくださーい。」 店長は会計中に捕まったらしい。

  「並と卵!。」
  当方もすかさずオーダーを入れる。それまでこっちには全然気付いていなかった店長が慌てまくってお茶を入れようとすると、
  「ビール出してよ。」
  店長はずっこけてしまった。

  「お会計してもらえます?」
  お兄さんは気が短いらしく、声が恐い。
  「少々お待ち下さい。」
  店長はビールを手に再びおじさん達の所へ。そして、
  「あのー、牛丼の方はどうなさいますか・・・・。」
  おじさん達は牛丼屋で牛丼も頼まずに酒盛りを始めようとしていたのだった。

  「あ、そうか。」
  そうかじゃないよ。
  「ええーっと、俺は牛皿でしょ。」
  「んー、大盛りいくかーっ。」
  「俺、いらない。」
  何しに来たんだ。

  しまいには、
  「熱燗まだ?」
  「熱燗は時間が・・・・・。」
  「早くしてよ。」
  「・・・・・・・・・・・。」

  「お会計!!!」
 忘れていたが、さっきのお兄さんはまだ居たのであった。
  しかもよく見るとお兄さんの顔には眉毛がないではないか。
 危うし店長!!!!(何が)。


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