絶体絶命日記   61日〜30.

 

6月3日.日曜日.

 

小学4年から中3まで見た子が、アルバイトをしている店に行った.レジをやっている.

これまでも何回か行った.短い時間の中で、近況を聞いたりしてた.

 

今日,無視.

全然目も合わせない.

 

そりょあ、レジで計算だから話しかけてもまずいとは思うけど、でも今日はまったく無視。

寂しい.

もう高3だから、小学生、中学生の時習った塾の先生に挨拶もしたくないのだろうけど、でも悲しいね.

全く無視.無視無視無視.

目、かけた子だよ.

 

いいよ、もう、彼女のレジには行かない.行かないよ.不愉快さ.そこに行くまで気持ち動かすのもいやだ.

 

いいよ.もう、行かない.

 

6月5日.火曜日.

 

今日はピンポンビラ配り、上司がついてきてチェック、チェック.

ピンポンしてるか.

トークしてるか.

ノルマ果たしているか.

 

それを後ろでチャックする.

 

大丈夫、きちっとやってる.生徒いなければ塾はやってけない.

言われなくたって、営業やってる.授業前、地図見て、ピンポンして、勧誘してる.

生徒、欲しいからね.

 

トークもペースも問題ない.この調子でやってくださいとのこと.

 

そりゃそうだろ、一生懸命やっているのだから.

授業の前の営業.

プロジェクトXでも最後はみんな営業に出て必死こいた.

同じさ.

いつ来るんだ生徒は.それほど悪い授業はやってこなかったぜ.

身を粉にして働いたぜ。

結構感謝もされたぜ.

身銭切ったぜ.

随分色々なもの犠牲にしたぜ.

で、結構それが楽しくもなり、とても、とても生徒にも親にも、みんなにも、感謝してるぜ。

どうなるんだよ.

 

やっぱ正直者は馬鹿を見るわけか.

よお、どうなんだ.馬鹿見るのか.

 

69日。土曜日。

 

回ってるぜ。

拒否拒否拒否拒否。

この俺が、この身銭切って教育やってきた俺が汗流して回ってるんだぜ。

「結構です」って言われながら、「ありがとうございます」と言って、回ってるんだぜ。

 

と言う所に驕りがあるんだな。

この俺様って何?

 

なんか俺って、なんかした?

なんもしてない。

なんでもない。

 

16.何もしてない。

もう一度真っ白になって、真っ白になって。

 

613日。水曜日。

 

来週から方法が変わる。

見知らぬ家にピンポンから知った家、つまり生徒の家に行き、コンピュータのメンテナンスの後紹介をもらうというもの。

 

前よりは心理的負担は減る。しかし紹介してくれるか。それも心配。やるしかない。

 

ピンポンの結果3名ほどは入る。

34名。4名入ってくれればプラマイ0.4名を入れる。自分でも入れる。

 

 

 

 

時代の変わり目。

 

抽象的な意味ではなく、具体的に時代の変わり目を、時代の最後を、尻尾を示す出来事が次々と起こる。

 

 

小、中学生の集団による,殺人、爆破事件。

オウムを越えた宗教的確信による大量殺人。

子供、大人、を問わず、集団自殺。

 

これらが起こる。そしてそれが起こって後、次の一歩が踏まれる。

こうした犠牲を新しい時代を要求する。悲しい。悲しい事だ。

                                                                                                  

だがそれがあれば1つ進んだ時代へと進める。

進んだ時代?

 

そのために人が死ぬのか。

進んだ時代って?

 

ストレス溜めずに互いを尊重し、自分を生かせる時代。

人をも同様に生かせる時代。

命ある全て、植物、動物、鉱物、が互いを許しあえる時代。

自分の死を他人の生、他者の生、他の生物の生、の一部として、役に立てられる時代。

悪意で磨り減る事が無い、憎悪で自分を支える事の無い時代、生きていて良かったと思える時代、

生きていること、生きていること。それが全てでオーケー。それ以外に何があるの?っていう時代。

 

とりあえずそんなとこか。

 

その時代のための犠牲?

 

犠牲。

 

犠牲。

 

その死に意味があるか。後に来る者の為になる死。

 

犠牲。それが7才の子供。

それが8才の子供。

それが。

 

人は、人類は、人であることを、人類であることを知るために、生まれた。

オーストラロピテクス?北京原人?旧石器?縄文?

何千年、何万年。

 

その時間を使い人は人であることを知る。

その時間を使い人類は人類を知る。

 

人類の歴史はそのためにある。

その為の犠牲。そう思う。そう思うしかない。そう思うしかないだろう。

そう思うしかないだろう。

 

6月22日。金曜日。

 

田中大臣のアメリカとの距離を置く姿勢。良いではないか。

 

アメリカの支配下にあるのは戦争に負けた以上、政治的にも経済的にしょうがない。

しかしそれをさらに深めようというのがブッシュ政権。

 

アメリカの世界戦略に必要な軍事力と戦費を日本に要求する。

そしてそれを日本の自立を認める代わりに行おうとする。

 

アメリカから離れるのなら、独自にアジアの防衛を負担してくれ。

自衛隊派遣と軍事費負担。

 

もちろん命令系統はアメリカのもと。離す訳ではない。

 

ただ日本の敗戦半世紀後の最近の雰囲気、日本の精神的独立を目指す気分を利用して、それを満足させつつ戦力と軍事費の分担を行う。

 

それに乗らずアメリカとの距離をおく外交は非常に微妙なものとなる。

田中大臣が日本独自の姿勢を強調する時、一番大事なことは、だれが敵なのか。ということ。

 

北朝鮮と中国。

 

敵を作っての世界戦略。しかしそれを変える事が21世紀の課題であるはずだ。

 

各国家がそれぞれ抱えている問題を、その解決が各国家レベルで留まっている為にできてこなかった事を深く考慮し、世界レベルでの協力、協調で解決を考える。その事がこれからの必要な姿勢なのだから、そうした観点からのアメリカからの自立、距離を置く付き合いを考えなくてはならないはず。

 

戦う事でなく、協調することで世界を1つにしていく努力。その為の外交。それこそが必要と思う。

そして戦争は儲かるから環境と協調は儲かる。

そうした方向を目指すべきだ。でなければ世界は動かない。

 

623日。土曜日

 

届かないもの。

届かないもの。

届かないもの。

 

遠いもの。遠いもの。遠いもの。

 

苦しい。

 

抱きしめられないもの。

 

可憐で、美しく、頼り無げで、しなやかで強く、気まぐれで、いい加減で、強く、弱く、澄んでいて、真っ直ぐで、純で、純で、              もういい。