日本はどうする。−10

●神さまについて.

 

ブッシュ大統領(だいとうりょう)はこの戦争を

「平和を愛する国 vs テロリスト」

の戦いにしようとしている.

 

反対にオサマ・ビンラディン氏やタリバンは

「イスラム vs ユダヤ,キリスト教」

の戦いにしようとしている.

 

そこに宗教(しゅうきょう)がからんでいる.

宗教がこの戦争を長くする.

宗教がこの戦争をややこしくする.

 

だからここで宗教について考えてみる.

神さまについて考えてみる.

 

みんなも考えてほしい.

むずかしいことだけど,それはこれからの日本と世界に必要な事だ.

 

みんなは新しい世紀,21世紀を背負う子供たちだからだ.

 

 

アメリカ,ヨーロッパ(イギリス,フランス,ドイツ,イタリア等)はキリスト教.

パレスチナと戦っているイスラエルはユダヤ教.

パレスチナや,アフガニスタン,パキスタン,アラブの国々(イラク,イラン,サウジアラビア,エジプト,クウェート等)はイスラム.

 

3つの宗教に共通しているのは,一神教(いっしんきょう)だという事.

 

一神教とは,人間が従(したが)うべき神様が一人(人ではないけど)だけだという事.

 

神さま.

宇宙を作り,人を作り,山や川や海を作り,さまざまな動物,植物,生物を作った,人間を超えたスーパーパワー.

それが1つだけだという事.

 

自分たちの神さまが宇宙と世界を作った.

となると,同じ事を言う神さまがほかにいては,おかしな事になる.

その神さまは嘘(うそ)をついていることになる.

そして嘘をつく神さまは悪魔だ.

となる.

 

そこで宗教戦争が起きる.

自分たちの神様を守るために,悪魔をやっつけて世界を平和に正しくするために.殺す.殺し合う.

 

うんざりするほど人間が続けてきた愚(おろ)かな行(おこな)いだ.

 

9月11日,同時多発(どうじたはつ)テロが起こって間(ま)もないころ,ブッシュ大統領は「この戦いは十字軍(じゅうじぐん)」と言いかけてあわてて訂正(ていせい)した.

 

十字軍とは.キリスト教徒が自分たちの聖地(せいち)エルサレムをイスラム教徒から奪(うば)い返すために送った軍隊をいう.

 

200年の間に8回もの十字軍を送った.

5回の十字軍は「子供十字軍」だった.

多くの子供が死に,奴隷(どれい)となった.

 

反対にパキスタンやインドネシアなどのイスラム諸国(しょこく)ではアメリカ空爆を非難(ひなん)するデモ隊の中に,オサマ・ビンラディン氏の写真を掲(かか)げている光景(こうけい)が見られた.

 

イスラム諸国がすべてオサマ・ビンラディン氏を英雄(えいゆう)と考えているわけでは,もちろん,ない.

しかしそう思い感じている人もいるのだ.

 

お互(たが)いに心の中でお互いを敵と見る気持ちがあるのかもしれない.

 

ではどうすればいいのか.

 

もちろん先生にわかるはずはない.

先生にわかっていれば,とうの昔に,宗教戦争など終わっている.

 

だがこんな風に考える事はできるのではないか.

神さまは神さまの中に,すべてを作った,と.

●神さまは神さまの中にすべてを作った.

すでに一神教(いっしんきょう)の神さまがたくさんいるという事で,おかしい.

 

そこでたくさんの一神教の神様を作った,本当の神様がいると考えてみる.

 

そしてその神さまがすべての神さまの神さまと考える.

宇宙も,地球も,神さまも,人類も,動物も植物も生物もすべてその神さまが作ったのだ.

 

その神さまの中に,だ.

 

その大きな神さまの中にすべてがある.

その大きな神さまの中ですべてが生きている.

 

 

美しく輝(かがや)く夜空(よぞら)の月.

その月を幾本(いくほん)もの指が指差(ゆびさ)す.

美しい月だと.

 

指差す指は何本あっても月は1つだ.

 

同じように,どの宗教も心の安(やす)らぎや平和を求めているはずだ.

 

宗教がいくつもあっても,求めるものは1つだ.

 

指ではなく,月を見ることだ.

 

 

「私だけが神であり,私だけを拝(おが)みなさい」

 

と言う神さまたちが,大きな神さまの手のひらの上で言い争(あらそ)っている.

 

大きな神さまの大きな手のひらをイメージしよう.

 

そしてその大きな神さまの中に,人間がいて,山があり海があり,木や花や牛やブタ,犬や猫や魚やカメがいる.チョウがいて鳥がいて,ミミズがいてゾウリムシがいる.

 

 

神さまの外にいるのではない.

神さまが自分の外側に人間を作り動物や植物や自然を作ったのではない.

 

神さまが自分の外に自分と似せて人間を作り,その下に牛やブタや鳥を作ったのではない.

もしそうであったら,人間は神さまと1つにはなれない.

 

だがもし人間が神さまの中にいれば.

 

人間は最初から神さまと1つだったのだ.

●人間が神さまだ.

神様が自分の中に人間を作ったのなら,人間も神さまだ.

 

だが人間はその事を忘(わす)れている.

気付けない.

 

なぜか.

 

欲(よく)にまみれ,自分を嫌(きら)っているからだ.

自分を憎(にく)み信じていないからだ.

自分を信じる,自信(じしん)がないからだ

 

もっと金がほしい,いい服着たい,いいとこ住みたい,うまいもん食いたい,やせたい,人の上に立ちたい,カッコつけたい,楽したい,人から誉(ほ)められたい,逃げたい,尊敬(そんけい)されたい,もてたい,頭良くなりたい,スポーツできるようになりたい,楽したい,楽していい思いしたい……

 

 

自分のこと,自分のことしか考えない.

自分にしか興味(きょうみ)がない.

 

 

いつも外ばかり見ている.

いつも人のものさしで自分を計(はか)っている.

人の目に振り回されている.

朝から晩までだ.

 

そしてそんな自分を嫌(きら)っている.

そんな情(なさ)けない自分を嫌っている.

いつも自分の悪口を心の中でつぶやいている.  

 

自分の悪口なら2時間でも3時間でも言える.

だれよりも自分が好きで,自分が嫌い.

 

だから自分も人も見えなくなる.

だから自分の中の神様が見えなくなる.

 

くもっている自分を磨(みが)けば,その奥(おく)に神様が見えてくる.

ほこりだらけの自分を磨けば,その奥に隠れていた神様が見えてくる.

 

もともと神さまの中に人間は生まれたのだから,人間を磨いていけば神様が見えてくるはずだ.

 

 

汚(よご)れた心を磨けば神様が現(あらわ)れてくるのだ.

 

汚れさえ取れば人は神さまになれるのだ.

小さな神さまかもしれない.

しかし神様であることにはかわりはない.

 

 

太平洋(たいへいよう)の,ど真ん中(まんなか).

右を見ても左を見ても海だらけ.

どこまでも続く大海原(おおうなばら)だ.

永遠(えいえん)に続(つづ)くゆっくりとした大きな波(なみ).波,波.

 

コップに海水を汲(く)む.

 

コップの中のわずかな海水(かいすい).

 

コップの中の海水は,どこまでも広がる大海原の海水と比べれば,ほんのわずかな量でしかない.

 

だがコップの中の海水も大海原の海水もその成分(せいぶん)は何ひとつ変わりはない.

 

同じ海の水だ.

 

磨(みが)いたあとの,その人の向こうに見えた神も,大きな神さまと同じ神さまだ.

 

人の中に宇宙がある.

人の中に神があるとはそういうことだろう.

 

欲に振り回されない.

人の目に振り回されない.

自分を磨く.

 

神様が見えてくる.