塾日記    2008.2

白い月の魔法使いの年共振の月25日

2月3日

 

4の女の子。

入塾当時は計算が全くできなかった。

九九が全くできていなかったのだ。

そこで1ヶ月は九九だけをした。

最初は嫌がっていたが、ゲームのように遊びながら、キャッキャ言いながら、お母さんにも協力をお願いして続けた。

最初は、ポワ〜ンとしていたがだんだん焦点が定まってきて、九九もできるようになった。

それからは算数がだいぶ楽になったようで、成績も上がった。

半年で週1回から週2回に回数アップをお母さんから言われ、国語も授業に入れた。

だが国語はもっと嫌いなのだ。

 

 

「先生見てみて、ほら。」

去年の夏、虫かごをすっと差し出された。

セミかな、蝶かな、カブトムシかな、クワガタかなと思ってみたら、2匹のトカゲだった。

「きろとチロ。」

虫かごの中のトカゲはじっとして動かない。

カマキリほどには苦手ではないが、トカゲもあまり好きではない。

「どっちがきろ?」

「目の大きい方。」

目ね。

同じにしか見えない。

「トカゲのどこが好き?」

「かわいいとこ。」

「どこがかわいい?」

「どこって、全部。可愛いでしょ。」

 

去年の秋、教材が入っていた小さ目のダンボールを解体して捨てようとしたら、それちょうだいと言われた。

いいよといってあげると、授業のあと、教室の隅で何か始めた。

しばらくして見ると、ダンボールに何か書いている。

「何それ?」

「私の街」

「街?」

見るとマジックで何本もの線が引かれ、四角く囲まれているところが続いている。

通りが交差していて、そこに花屋さん、銀行、コンビニ、ペット屋さん、私の家、金沢先生の家、石川先生の家、肉屋さん、

ラーメン屋さん、回転寿司、洋服屋さん、ジュエリー屋さん、とある。

なるほど街だ。

ダンボールを折り曲げると、街が立体的に出来上がる。

なるほど。

ぼくの家があってほっとした。

 

「可愛い子には?」

「故郷に?」

「馬の耳に?」

去年の冬突然言われた。

ことわざだと気付き、「旅をさせろ」「錦を飾る。」「念仏。」

と答えると、ヨシッと言って、持っている紙の束をまためくり始めた。

「何それ?」

「ことわざ帳。」

見ると、教室の壁に掛けてある「日めくりことわざ」の済んだ日の分をまとめて、ホッチキスで留めて束にしていた。

終わった分は別の箱に入れていたが、ポンと入れていて、殆ど捨ててある状態だったので気になっていたが、

それを利用していたのだ。

いろいろやる子だ。

国語も何とかなりそうだ。

 

トイレに入ると必ず電気消した?とチェックを入れられる。

最初のころ電気を消していいなかったので、何度か叱られたのだ。

おかげで今は家でも使っていない部屋の電気は消すようになった。

そう言えば「負うた子に」、というのも聞かれたことがあった。

 

しっかり教えなければと思う。