マラソン日記 5月1日〜31日。 4月30日。 結局今シーズンは一度もレースには出られなかった。 多忙。というわけだったが、9月の稲毛から始まり、11月、成田、筑波、12月、成田宗吾、1月、館山、3月、佐倉、荒川、4月、霞ケ浦、全部棄権。 お金だけでも3万円パ〜〜。 遊びで出ようと思っても朝起きられない。 とにかく寝ていたい。日曜日だけはゆっくりしていたい。だったのだ。 まぁしょうがなかった。 だがとりあえず一息ついた。 一息だ。 まだ夏まで気を緩めることはできないが一息はつける。 となればここ当分の目標は富士山だ。 一昨年はあと1分7秒で涙をのんだ。 ふもとから7時半にスタートして12時1分に着いてアウトなのだ。記録なし。 こんな情けないことがあるだろうか。 周りはみんなにこにこと満足顔の笑顔笑顔。その中を死にそうな呼吸の合間に溜息ため息、だったのだ。 今回こそリベンジだ。 ほかに夏までの目標もないし、やることもやりたい事もない。 というわけで、さっそく今日は水辺の郷公園の階段走×10. 5回越えてもう足に来た。 8回目からは動かない上がらない。 この冬日曜日だけは、3時間4時間とLSDだけはきちっとやったが、脚力はそれほど鍛えられてはいなかったようだ。 スクワット。 階段走。 そして今回はニュータウンの1,5km直線のだらだら坂。 このだらだら坂は馬返しまでのロード対策にはもってこいなのだ。 この坂を5回も往復すればかなりの練習になる。 そんなこと誰もやってるとこ見たことない。 ぼくも考えたことない。 それを今回は練習に取り入れようというのだから,進歩だ。 前向きだ。 少なくともこの時点で勝っている。 大したもんだ。 あとは実際にやるかどうかだ。 青い水晶の嵐の年スペクトルの月2日。 5月2日。 走れた。5回。1回に13分〜15分(信号にかかるかかからないかで随分違う)ほどかかる。5回で1時間15分。 同じ坂を行ったり来たりする人はぼくしかいない。といってだれも気にとめないからいいのだが,さすがにこんなことをしている人は他にはいない。 しかしこの坂はいつも走る10キロコースの途中にあって,それなりにうつむきながらこつこつ走らなければならない辛い坂なのだが,それを5回繰り返せたのは,それなりによかった。無理だと実は思っていた。 この半年満足なトレーニングができなかったのだが,大きく落ち込んでいることはなかったようだ。 この坂と,階段,スクワット。 この3大トレを続ける。 続けるのだ。 青い水晶の嵐の年スペクトルの月7日 5月8日。 階段走×16+坂道×5 これは偉い。よくやった。 二日分のトレーニングを一日でやった。 予定としては、階段は10のつもりだった。 それが16. 階段を登り切った所に公園と道路を仕切るポールが16ある。 登るたんびに、そのポールの端から石を置いていく。頭の中では幾つ登ったかわからなくなるからだ。一回、二回、三回、とその石を移動させていくのだ。 ちょうどその辺りで3人の女の子が遊んでいた。小5、小4、小3という感じの女の子だ。 その中の小4くらいの子が、ぼくが走り始める前のストレッチに興味を持ったのか、真似して足を伸ばしたりした。見るとにこっとする。前歯がない。 それから階段の登り降りを始めたのだが、女の子達は自転車でどこかに行ったり、かくれんぼしてどっかに行ったりと、登り切っても誰もいないことが続いた。 9回目の時だった。 こちらとしてはあと1回で終わるつもりだったが、その時はさっきの女の子が1人でいた。 ぼくが石を10個目のポールに置いた時、 「あと6回。」と言って 「がんばって。」と続けた。 思わず「うん。」と言ってしまったので、終わることができなくなった。 考えてみると練習をしていて誰かにがんばってと言われたのはこの10年、初めてのことだった。なんか背筋を伸ばして7,80cmの小さな体を真っ直ぐに伸ばして、目を黒々とさせ、ぼくを見て「がんばって」と言ったのだ。 嬉しかった。 嬉しかったのだな。 本当に。 だって初めてだったのだから。 それで予定にない16回をやった。 さらにその後も1500m坂。×5.やった。 前日のスクワットが効いていた足で、これは良くやった。 よくやったぞ。 7月22日の富士登山競走にしてみれば、いいスタートだ。 このトレーニングを続けていく。 青い水晶の嵐の年スペクトルの月9日 5月10日。 60分ジョッグ。 1 排泄時、吐気時には、体内の邪気、不安、疲労、迷いが出て行くイメージを持つ。 2 背筋を伸ばす。正面を向く。猫背は肺と心臓を圧迫する。 3 頭頂、喉、背骨を一直線にし、腰に乗せる。 4 腕の引きと足の着地を合わせる。 5 着地足は体の真下に置く。 6 背筋を伸ばし、骨盤を引き上げ、足裏の筋肉を意識する。 7 踵からの着地ではなく、足裏中央を地面に置いて行く。 これだ。これで行く。 この1ヶ月は韋駄天7か条。この7か条を守る。 青い水晶の嵐の年スペクトルの月10日。 5月10日。 「人は何のために生を受けたか、自問し続けてきた。多くは他の者に何事かをなすためと答えて満足しなければならなかった。またある者は与えられた命をより長らえる為にと答え、渋々生き続けた。 ある者は愛に答を見出し、ある者は何の答も得ぬままに死んだ。 目的のない命におのれ自身を見放して悪業を重ねた者もいる。 そして多くは答ともなりえぬ些細なことにおのが心を縛り付け、それにこだわることで何の為に生きるのかいう答に代えた。 だがどうだ、何のために生きるかとという答は、おのれの足元に置かれていたのだ。 赤子が這うはやがて立って歩もうとする気持ちからだ。爺婆が杖するは、老いたる先も立って歩もうとする気持ちからだ。そして人はみな、立って歩めたその日から、走ろうと欲したではないか。 綱を解かれた犬は一目散に走るだけではないか。 馬も牛もおのれの命を喜ぶ時はみな走るではないか。 飢えた獣はおのれの命を満たすために餌を追って走り、敵に逢った弱い獣もまたおのれの命を保つために逃げ走るではないか。 動けぬ草木は走るもの命を保つ糧となって助け、走るものの腐肉がその肥しをなった。 命の進化の窮極の形は走ることだったのだ。 俺には見えるぞ。このろうからあの世界の過去と未来が、途切れ途切れに脈絡もなく覗けるのだ。見ろ静海。人は未来でも走っている。 おのれが走るために生を受けたことに、まだ気が付かず、おのれに似たものを作って走らせている。 箱の形の車が走る。鉄路の上を長い箱が走る。水の上を滑る船が走る。 空を翼を広げた鉄の船が走る。 一層速く走ろうと競い合っている。光と等しく速くあろうと走る。 哀れなことだ。 おのれ自身が走ればそれですむこと知らぬのだ。 おのれが肉を脱すれば光より速く走れることに気づかぬのだ。 そして汚れたこの小さな星の上を、はかない工夫の限りを尽くして走り回っている。ばか者どものよ、死を欲せ。霊となれ。ただ死ぬだけで、その苦悩から脱することができるのだ。肉が滅して、霊が残ることに薄々気づいてから久しいというのに、まだわからぬか。一瞬の命ですら、その醜い肉でこの星が溢れ返っている事はわかっていように。 その肉が滅んだ後も霊がこの小さな星にへばりついているとなぜ信じたがるのだ。 瞬間の命でさえ、この小さな星には多すぎるというのに。 肉の滅んだあとの霊がへばりついているとすれば、いかに霊が形なきものとはいえ、この星はあらゆる霊に覆われ尽くしていようではないか。 肉を脱するということは星からも脱することができるということなのだ。 霊は走る喜びを得てこの果てしない虚空へ散っていくのだ。 光と等しく、極小の粒子となって、俺は行くぞ。このろうが閉じ切られる時、この星に命が生じて初めての、隊伍を組んでの霊の塊として、大日を乗せた船として、虚空を駆けに駆けて見せよう。」 「人はただ走るもの。ほかに何があろう。」 青い水晶の嵐の年スペクトルの月14日 5月15日 今週の目標は「フォームの修正」だった。 猫背で走る。 有ってはならない事だ。 猫背でとぼとぼ走る。 気持ちはわかるが、いい事は何もない。 腰が落ちる。 上体と下半身とが分かれる。前進への力が分離する。 さらに胸が狭まり、呼吸が苦しくなり、酸素が十分に供給されなくなる。 背筋をすっと伸ばすのだ。 頭頂と喉。背骨を伸ばし、腰に乗せる。 体を起こすだけで見える風景が違う。 いつも走っている所なのに、こんな所にこんな木が、こんな家並みが、こんな街並みが、と驚くのだ。 いつもうつむいて走っていた。 自分のあれやこれやの言い訳の中に閉じこもって走っていた。 情けない。 閉じこもりの20年なのだ。 引きこもりの20年だったのだ。 何も気付いていない。 気付いていないまま20年走っていたのだ。 青い水晶の嵐の年スペクトルの月23日 5月16日。 先週はフォーム修正週間。 すっと上体を腰の上に置くのだ。 腕の引きと着地を合わせる。 吐気に邪気を込める。 日曜は階段16、坂5回をやった。 なかなかきつい。 これに早く慣れる。 月―休み 火―階段 水―坂 木―階段 金―坂 土―ペース走 日―階段+坂 シンプルで確かな練習だ。 青い水晶の嵐の年スペクトルの月16日。 5月18日。 平日初めての階段走×10 青い水晶の嵐の年スペクトルの月19日。 5月22日。 階段16回+坂道5回。 よくやった。 雨の中。 疲れた。 5月25日。 坂道、階段走。 きつい。 なかなか体も慣れない。慣れてくれるといいのだが、足パンパン。 最後のワンブロックはヒーヒー言いながらだ。 平日も1時2時3時までは体がだるく重い。 疲れに体が慣れない。 青い水晶の嵐の年スペクトルの月28日。 5月29日。 階段のぼり×16+坂道走×5 いつもより早い時間、2時半から始めた。 いつもは夕方から夜に走っていた。今日は天気のいい中でのトレ。 ということは暑い中ハァハァいいがならのかなりハードなトレ。 だいぶ慣れてきたか。 去年よりは1ヶ月富士山用のトレは早い。 期待するぞ。時間内完走。 どうも胸が痛い。 みぞおちのちょっと上。 食道か気管か。 物を飲み込んでも痛くはない。深呼吸しても痛くはない。だが平常時痛い。 だから腹式呼吸を意識している。 そういえばかなり前から走りだしの最初が特に痛かった。冬は特にそうだった。今もそうだ。ハァハァいいながら走っているので、それで気管がはれてでもいるのか。 きっとそんなところだ。 別に呼吸が特に苦しいというわけではない。でも気になるな。痛いもんな。 |