塾日記。61日から31日。

 

6月3日.日曜日.

走った.まともに1500を走ったのは高校以来で28年ぶり.

でも今日は中1の女の子と一緒に走れた.

陸上部の1年.

これから伸びて行く子.いくだろう.きっと県代表にまでは行く.

でも本人いたってのんびり、殆んど子ども.まだ何にも走ることに関して考えた事も、努力した事も、何にもない.

だからこれからいくらでも可能性がある.

そんな子と走った.

午前中は部活があったという.ない筈だったのだが、あり、でも来てくれた.嬉しい.

 

1500を2本.

 

2本目は1本目を15秒縮めた.オーケー.そうでなければ.まだ距離の感覚を分かっていない.それを分からなければ.

 

可愛い子だ.

勉強も伸ばす。

 

6月5日.火曜日.

 

怒らない.怒らない.怒らない.

もっとしっかり見る.聞く.感じ取る.

 

怒るのは自分の感情の中で眠る事.

相手を見、聞き、感じていれば怒らない.

でももうちょっとしっかりしてくれよ.

 

トホホ、過ぎるぜ.

67.木曜日.

 

宿題やってくれよ.宿題.宿題.

漢字、計算.毎日のコツコツ努力.

単語、単語、誰もやらない.

分かるさ.それやってなにいいことあるの?

言ってるだろ先生一生懸命.必要な事.

実感無いんだろうな.

でも変わる気がする.

この日本変わるかもしれないとい予感がある.

 

小泉さん.

あんたは相当なもの抱えた.誰もが、この10年、20年、30年、政治を心から馬鹿にした.

僕がではない.

子供達がだ.

大人は信用できない.

政治家?一番馬鹿で、汚い大人じゃん.

これ常識.もっとも当たり前の常識.フツーの感覚.

 

それが今、そのもっとも間抜けな大人が変わるかもしれない.

それが変わったら.

 

自分達も変われるのか………

 

これは今、子供たちにとって、大きな影響のある可能性ある事.

関心などないような振りしている今の子.しかし息ひそめてみてる.

だから小泉さんの責任は大きい.実はものすごく大きい.大きすぎるほど大きいのだ.

 

6月8日.金曜日.

 

今日は怒らなかった.

できないのもしょうがない.やる気が無いのはできないから.

だから怒る時間あったら、手とり足取りやるしかない.中3だからといってやる気が起こるわけでもない.手とり足取り、教える.

といって、機械になってはならない.そこで、どこまでちゃんと相手を見てやれるか.見るとは感じ取る事.顔を見て、表情を見て、少しでも分かった、なるほどと実感したのを確かめて、進める.

原点.原点.

今日は少しは満足してくれたか.

でも追いつくのか.これで.家でもう一度復習してくれたら.

その気持ちを起こさせる努力を.

原点.原点.

 

6月9日.土曜日.

 

今日は2つの中学で体育祭.

普段メールを送ってこない中1の女の子から応援団やってるから来てとメール.

去年は応援団いやいややってたのに.

行って見ると今度は機嫌良くボンボン振ってる.

 

退場してくる裸の中3の中からこんちはっと太い声が聞こえた.一瞬顔を捉えたが良く分からない.遠ざかる横顔、こちらを振り返った時に気付いた。2年前に経済的な理由で退会した子だ.生真面目で負けん気の強い子だった.去年もこの体育祭であった.その時はちょっと話しクラスで10番以内をキープしていると言ってた。

追いかけようとしたが見失った。

声をかけてくれたのが嬉しい。

また一緒にと思うが、そうも行かないのだろう。よく遠足に行った。

おやつをいつも買った。

小さな時の顔が浮かぶ。よく気を使う子だった。

 

もう1つの中学校ではどうしても一人見つけられなかった。教室の中と外とでは全然雰囲気が違う。外ではみんな小さく見える。ぽつんとしてる。子供に見える。頼り無げに見える。

 

あるいは外では教室と違って全く元気一杯の子もいる。

何で教室ではあんなに静かなのだろうかと思う。こちらの接し方が悪いのか、と思う。あんなふうにリラックスして教室でも勉強させなければと思う。

反省する。でも良く分からない。

 

帰りに卒業生に会った。

これも真面目な子。頑固な子。今高校で弁論部に入ってる。大学は文学部の行動科学科を狙うという。

中3の時、人の心の暗い部分を考えろといい、彼はじっくり、粘り強く、考えを深めて行った。夏休みの読書感想文の事だった。

やってほしい。

 

人の心が割れている。まともに感じる事ができなくなっている。しかもそれは大人の心だ。

日本が狂いだしたのは、テレビからだ。

テレビでホームドラマが始まった時からだ。

 

若い子がその責任をも引き受け考えて欲しい。申し訳ない。

 

彼には日本の歴史文化をしっかりやってほしいといった。

 

髭が生えて、顔が角張って、態度が堂々と落ち着いた。

俺を引き受けてくれ。

 

6月10日。日曜日。

 

卒業生女の子2人からメール。

 

1人は陸上、推薦で行った子。一生懸命頑張った。入塾の時はボロボロ。でも負けん気が強く言った事を宿題をちゃんとやった。愚直という感じ。いい感じ。何とかしたいといつも思い教えた。

間違ったままでも宿題やった。

それを修正して行く。そんな授業。

 

何とか数学、英語、国語、形になった。ぎりぎり。

 

自己新。

嬉しそうなメール。

そんなメール読むのは嬉しい。ほんとに嬉しい。

 

もう1人は今みんなに送っているメールマガジン、「詩を読もう」の中の「浜崎あゆみ」にこれもいいよと別の詩、送ってくれた。

 

バスケで頑張っている。一ランク落として入った高校でこの前の中間で350日位中15位と喜んでメールくれた。

 

ホントこういうのがあるから生きていける。

毎日毎日授業前の営業。

これからどうなるのか。不安と疲労と焦燥感。

でもこれがあるから生きて行ける。

 

今週は遠足。

連れて行くのは10人。

恒例のみんなにお菓子。みんなからリクエスト受け買ってあげる。

1人500円。×10で5000円。食費を詰める。

動員っていうのもあるんだけどね、でもお菓子買うのは楽しい。買い物かごに一杯。

袋にみんなの名前書いて詰めるのも楽しい。そんなもんだよ。l

 

ただ、「ラーメンババァ」が見つからない。なんだそりゃぁ!

「田中三郎グミ」は見つかったが、「ラーメンババァ」が見つからない。

まだ日にちはあるので、さがせるだろう。

 

あと今週から期末。

ああ、テストの点数。これでしか親は見ないからね。

特に最近の若い馬鹿親。

遊び好きの、自分では何もせず塾任せの馬鹿若親。

 

だから数字出さなきゃだめなんだよね。親の教育?大人の馬鹿には教育はできない。

今はもう殆んどの親はぼくより若い。

僕は15歳、20歳、30歳と、狂わないようにと生きてきた。

 

世の中は人の感覚を狂わせ、人の考えを吸い取り、人の心を圧殺し、しかもそれを娯楽の毎日の

中でそうと気付かせぬよう巧みに行ってきた。

ぼくはそれに命かけ闘ってきた。と思っている。

 

今親を見ると、そんな事考えずに恋愛したと思い、子供を作り、何の考えも責任も考えず子供を育て、自分を親だと思っている。そんな親。可哀想な子供。

 

何とかする。ぼくがする。そう思ってやってきた。やっている。

 

613日。水曜日。

 

金曜日。遠足。小学3年から中1と連れての東京タワーと東京湾船の旅。

おやつも買ったぞ。5000円。

田中三郎グミ、ラーメン婆あ、遊戯王ウエハウス、分からんぜ。

それを探すんだな。あっちこっち回るんだな。

1時間、2時間かかるんだな。

俺って偉いなって思うんだな。

自己満足。

 

でも楽しい事はやっぱ楽しい。

わたすと嬉しそうにする。ほんとに嬉しそうにする。

もうニコニコ、ニコニコ、する。

 

それは見ていて、うっとりする。それで十分。

 

615日。金曜日。

遠足だ。楽しかった。何かみんな、お菓子くれて、お土産くれて、お弁当くれて、擦り寄ってきて、飛びついてきて、楽しかった。

 

東京タワー。大口男の口の中でみんな演技たっぷり食べられて、写真。

タイタニックごっこで、写真。

豹に食べられそうになって、写真。

みんな恐怖の顔、うまいもの。たいしたもの。

 

中学生の女の子達。

ミニスカ、厚底、ルーズ、バスの中では隣で、はしゃぎまくる。

お姉さんぶって、小2の男の子をあやす。

プレゼントと言って煙草入れとストラップをくれる。

 

良かったよ。

やっぱ、いい。こういう事があるからやめられない。

 

やめられない。

 

618日。月曜日。

今週からは生徒の家庭訪問。コンピュータのメンテナンスと最後に生徒の紹介を募る。

何とか頼む。

 

にしても今日は11時まで授業。

分かってくれない。さっき言った乗法公式、あっという間に忘れる。

覚えていても数字が変わるともう使えない。

今回の子は辛いぜ。繰り返しいま自分がやっている事の意味を感じてもらうしかない。

嫌われる。1時間延長はね。

しかも確実に分かったという満足感までは行かない。となればただ嫌われるだけの行為。

そういうの好きじゃないんだよね。

 

しかもその間怒る。怒ってしまう。人間できてないからね。

怒られて理解もできない。リラックスしてないと理解には至らない。

それを怒りながらじゃ、何のための1時間。

お互いいい事のない1時間。

 

にしないためにも、もっと大きく受ける。大きな器になって受ける。

まだまだ小さい。

反省。反省だぜ。

あ〜〜〜〜あ。

 

623日。土曜日。

 

テストが終わった子。来週の子。

結果が出て、何でぇ〜〜〜?

やっただろうが一生懸命。

 

こちらの苦労は報われない。相手の苦労が報われないと報われない。

結果の意味は生徒の結果からしか生まれない。

こちらが一生懸命やっても生徒に結果が出なければこちらもがんばってない。

こちらが適当でも生徒に結果が出ればこちらもがんばったことになる。

 

そういう事だ。

 

家庭訪問。

いいね。

色々貰って、生徒の家の様子もわかって、色々といいね。

今の所は楽しい。

 

6月24日。日曜日。

 

富里でレース。

中1の子も走った。9位。昨日も別のレースを走ったとのこと。

2週間前近くの競技場で一緒に走った時は1500は6分24秒。昨日は5分40秒だと言う。

 

小学生の時はトレーニングなどしてなかったのだから、今は走るたびに記録も上がっていくのだろう。いいな。いいね。こっちは時間と共に老いていき記録も落ちていくだけ。にもかかわらず自己新を狙っている。なんか真剣に羨ましくなった。

 

 

でもゴール後、声をかけてくれた。ぶっ倒れている所にせんせ〜いと上から声。

目を開けるといつもの明るい顔。

 

いつも一人で行って一人で走って一人で帰ってたから、びっくりして、うれしかった。

しばらく話して、その子の表彰式の写真とってさっきメールで送った。

 

嬉しいよね。

初めてだから。

 

6月26日。火曜日。

 

新しく入った6年生。ピンポン、チラシ配りの成果。

勉強全くダメ。掛け算、割り算、九九がギリギリ。

さっき言ったこと10分もたてば忘れる。

 

しかし気がいい。気はいい。

お人よし。

いつもニコニコしている。でも結構コズルイところもありそう。

勉強ができなくても生きていける明るさと図々しさもありそう。

 

とはいえ、これから3年以上を計算と漢字でいらぬ苦労をするよりは、減らせる苦労は減らしてあげるのが一番だ。

気のいい奴だ。

その気持ちが高々計算ができない漢字が読めないでという事で重たいものになっていったら、不幸と言うもの。

 

怒らず、しっかり、丁寧に。

 

626日。火曜日。

2月に高2で退学した卒業生が来た。

 

3の冬の勉強合宿で、最終日の締めの言葉を各先生が全員に向かって言う時に、ぼくはそいつの名前を大声で叫び「××頑張れ!」一言で終わったのだった。

 

とにかくできなかった。中2になっても四則混合算は確実にできなかった。掛け算割り算足し算引き算が混ざるとアウトだった。漢字も読めなかった。

夜遅く、二人して泣いた事もあった。

二人して情けなく、どうしていいのか分からなかった。

 

高校は学校でだめだという高校を親子して狙った。それにオーケーをぼくが出した。

補欠で引っかかり、面接ですり抜けた。金は積まなかった。

 

合格。

勉強は嫌いな子だった。しかし人懐っこく,物怖じせず、悩まなかった。と言って、鈍感で物を感じ取ることのできない子ではなかった。人を思いやることができた。

 

高校入学後、塾の前のシャトレーゼにバイトに入り、1年と半年しっかり働いた。歩いて1分の所だったので土曜日にはよく顔を出した。夏は売れ残りのアイスクリームを差し入れてくれた。

 

停学をくらった時も、暇だからと来て、学校で課題で出された方丈記全文書写を自慢気に見せた。

 

結局やめた。

 

今日は金髪、ピアス、金の首飾り、他の生徒に「ほら、よく見なさい。不良だよ不良。こんなに近くで見るの初めてだろ。よく見ときなさい。」とからかった。

 

決して投げやりになってるわけでも、落ち込んでるわけでもなかった。もともと冷静な奴だったが、それはそのままで、またしらけている訳でもなかった。だからからかった。

 

聞けば新聞配達をしていると言う。それは他の子,彼と同期の子から聞いていた。

しかし1時から7時で朝刊、広告入れからやると言う。そして3時から5時で夕刊。手取り20万。

感心した。

 

アパートは無料。朝飯は出るという。貯金して先輩の車を貰う。そのために免許取る。

19までは遊ぶが、鳶、大工、など手に職つけたいと言う。

マジに視線ぶつけたが、そらさなかった。

大丈夫だろう。つまらぬプライドなどなく、自分の大きさのままに生きていける男だ。こらえ性もある。ただ見栄えがちょっと悪い。いかにも軽い感じのアンちゃん。人から信頼をきちっと得られるかどうか。いい加減な奴。と思われやすい。

まぁ実際そうだが、そうでないところもある。

 

そのあたりのギャップが彼自身にもあるのだろう。

きちっと認めてほしい、きちっとした所もあるのだと確めたい、そんな時ぼくの所に来る。

それはいいことだ。

次に進もうと思っているときに来る。とぼくは思っている。

だから僕は彼にオーケーを出す。

 

そして実はぼくは彼は大丈夫だと確信している。こいつは人生をきちっと生きていけるだろう。

どこかで彼に嫉妬を覚えているのだ。

だいたい女の子をメールでゲットゲットしまくってる。(う、うらやましい…)

こいつの心配をする暇があったら自分の心配をしろと感じてしまう。

まあしかし、彼にしてみれば不安でいっぱいなはずなのだろう。だからオーケーを出してやる。

 

 

 

来てくれると嬉しい。

 

俺は少しは役に立ってるのか。

俺のここにいていいのか。

俺のおせっかいは時に喜ばれているのか。

 

ありがとうよ、来てくれて。

630日。土曜日

期末の結果。

全然ダメ。

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、ダメ。

 

しっかりせ〜〜〜〜〜〜〜〜〜よ。

おまえら。

 

 

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、わしが悪いのか。

わしが悪いのか。

わしがわるいのか?

 

 

わしがわるいんだわ!