塾日記。3月1日〜31日。 3月1日。 いよいよあとは結果待ち。。 面接はみんな乗り切った。練習した通り,受け答えができた。もっとも自力で最初からやってほしかったが。 自分の言葉がない。好きなこと,嫌いなこと,将来,夢,自己アピール,関心ある事件,興味あること。言える子もいるが言えない子の方が多い。 しかし言葉を与えるとそれ違う,こうだ。そうじゃない,こう。と作り上げていく。道を見せる。どの道をどう歩んでいくかは自分で決められる。 道が見せられていないのだ。それを見せてやるのが教師の役割。そう思う。 彼らを舐めてはいけない。 3月6日。 全員合格。 面接に恐怖してた子も合格。 こちらで用意した答を暗記してオーケー。 情けない事は情けないが,これからだ。入ってから表現の仕方を学べば良い。 これでみんないなくなる。哀しい。寂しい。 一人ぐらい落ちて二次だ,どうするともめても良かった。 終わった。3月の中旬で終わる。3年は卒業。いなくなる。 焼肉,カラオケ大会を言う。 みんな乗りまくり。それでおしまい。 結構みんな思い出に残るやつらばかりだった。去年も。その前も。そして今年も。 みんないなくなっていく。 いつかきっと,独り年老いて頭ボケた時,彼らが頭の中,楽しく楽しく駆け巡ってくれるのだろう。 中2,退会。小4から5年間。 気が合った。一番冗談が言えた。それが退会。 成績上がらなかった。 母親には必ず上げるから時間をくれ,私も本人もがんばっている。長い目で見てくれと頭下げた。 5年も親としては待てなかったのだろう。今年受験だ。 わかる。 しかし,これからだ。ここから伸びていくのだ。ここから伸びていくのだ。 しかし母親そんなの信じてはくれない。5年もやってダメなら,やはり考える。 よく5年待ってくれたと感謝すべきか。 悔しくて,哀しくて,苛ついて,小学生の授業,同じようにできの悪い小2,小3に当り散らした。 どうせおまえ達もいつかは,と思ったのか,思わなかったのか。 ゴメン。この時期は続ける子,やめる子といて,心乱れる。 厳しく厳しく当たって行く事が大事か。と思って待ちの姿勢が崩れる。 待つのだ。子供の気持ちが子供の気持ちで飛び立っていくのを待つのだ。 そう仕向けるのか仕事。 教師の仕事。 3月8日。 退会の処理早くしなければならない。 いやなものだ。 ただ書類を書けば良いのだが,縁が切れるという感じ。 金に関わることだから,早く書類を出そう。 金の事になるとこれまでの恩も忘れるのが親。恩とは感じてないか。 金払ってんだから成績も上がる,元気にもなる。金払ってんだから。 そんなもんだな。 重いな。 気持ち重いよ。 3月10日。土曜日。 10人に感謝されるより,1人が退会するほうがはるかに精神的にきつい。 退会するような子はもととも学力も低く,やる気もない。だからこっちも力を入れる。他の子の2倍,3倍と入れる。思い入れも強くなる。 しかし授業の現場はだれも知らない。母親も知らないし,うちらの場合は教室では自分一人だから誰も知らない。 退会になった時そこで使ったエネルギーは全部虚しく消えてしまう。 親からは高い金をかけたのにと言われ,会社からもペナルティを課せられる。 そしてそこでかけたエネルギーはどこからも評価されはしない。 虚しい。 生徒本人がいつかわかってくれれば。 いや生徒にも迷惑だったのか。 成績が上がらなかったのなら。 と思えばもうどうしようない。 ただ疲れるだけだ。 明日は退会の書類を作る。縁切りの紙,無駄な努力を示す紙, だらだらと書こう。 しっかり反省も忘れずに書こう。 そしてさっさとカラオケにでも行こう。一人で。でも3200円トトで落としからダメか。 ユニクロのジーンズもダメだ。 3200円。痛いぜ。今度は当てる。1億当てる。(^o^)丿 ケッ。 3月11日,日曜日。 書類書き終えた。縁切りの書類。書けば書いたで,ホッとする。 いいではないか。切れるも繋がる縁。そういうことだ。 午後,中3の女の子親と姉が合格のお礼に来た。本人は急用でこれなかった。そういえば先週先生お酒なにがすき?と聞かれ,日本酒でいつも2リットル900円の飲んでると答えた。 今日はかなりの酒を4本,持って来てくれた。 小4からの子だ。素直で明るくコロコロと元気一杯だった。遠足で姿が見えなくなっても,大声で呼ぶと,声とともにダッシュで戻ってきた。でも学校では静かだ,と言った事がある。でもいつかバスケの試合を見に行った時は一人騒いでいた。 志望校は最終的に一つ落としたが,当日のテストではかなりの高得点で合格した。入っても上位でやっていける。近くでバスケもできるというので,うまくいった。高校に入っても遊びに来てほしい。来週はホワイトデー。まだぬいぐるみでいいだろうか。 3月はやめる子もいるが中3の合格のお礼というのがあって,それで何とかプラスマイナス0になる。 少し元気が戻った。 塾に行く途中,おとどしの卒業生に偶然会った。 弁論部に入ったという。 学年で30位だという。 相変わらず強気でしっかりした顔つき。 会えてうれしい。 また少し元気が戻った。 3月16日 金曜日。 うっかりしてた。忙しかった。今日が最後の授業の子達がいた。 最後は困る。最後だからそれなりに何か言わなくては,今までの事,これからの事,今の気持ち,贈る言葉? 困る,困る。何もいえなくなる。だからいつも通りの授業。最後に頑張れよ。 それしか言えない。 4年も5年もいる子達だから昔の事を言い出す子達もいる。よけいに困る。 思い出す事が色々ありすぎて,どう話していいか。すぐに他の学年の生徒たちの採点にかかり,話をそらす。 結局,それで終わった。 終わった。 でも最後に祝合格カラオケデスマッチ,4月にやるからそれで良いか。 もっと率直になればいいのだが,なれない。 いつもそうやっていろんな事を逃してきた。 3月18日。日曜日。 今度の中3. 厳しい。部活で忙しく,勉強は大嫌い。やる気もない。基礎力もない。 部活推薦というほどでもない。 だが気はいい子達だ。 部活が好き,それが勉強,仇になり,頑固に勉強嫌いを押し通そうとする。 それが自分らしさだと思っている。 その気持ちを変える。 彼らにとっていまさら勉強に意味はない。 嫌がる気持ちをなだめ,自信を持たせる事。 これしかないのだ。 腰を落ち着ける。じっくりと落ち着ける。 切れない。彼らに切れない。良い子達なのだ。 何とかする。 今までもしてきた。 そうすることで自分を支えてきた。それが自分に必要。彼らのために汗を流す事で自分自身が壊れずにすむ。彼らあっての僕なのだ。冷静に互いを考える。お互いに一番良い方法を考える。 もちろん考えるのは僕だ。責任のずべては僕にある。先生であり大人であるからだ。 まずはこの春,春講習。しっかりと教える。 3月24日。土曜日。 その彼らが来ない。今日は部活ではあるが,連絡がない。忙しいし,できなかったという事だろうが,心配。春の時間割ができていないのだ。これも部活のスケジュールが出てないからということだが,しかし2〜3日前には出ているはず。 来たくないのだろう。 何とか彼らでも来て勉強したいと思う授業をしたい。 レベルを下げる。 怒らない。 できているところを誉めて自信をつける。 分からないのだから考えさせない。 こちらからゆっくり丁寧に説明する。 分からないからといって,がっかりしない。ストレスためない。 リズムとテンポ。 全部これまでもやってきた事だが,もう一度こちらも気持ち入れ替え指導する。 来て良かったと思ってもらえる授業。 行ってしっかり勉強するぞと思ってもらえる授業。 身を粉にする。 3月26日。月曜日。 電話した。 ドキドキした。一日気が重かった。 結局スケジュールができていなかったので,ぼやぼやしていた,部活も大会が近いので,ということ。 親もなんか時間が決まらないみたいなのでとのんきにしていた。 明日全員来る。まずは来れる時間を決め,何をするかを決める。 こっちが思ってるほど焦ってもいず,親も子ものんびりしたものだ。しかしそのくせ1月の面談では3人のうち2人の親は,このままじゃ高校にいけない,何とかしてくれ,もっとしっかりやってくれと騒いだものだ。それがあるからこちらも焦っているのに,肩透かし。 3人のうち1人は全国大会で優勝。 部活の話はよく聞いた。 後輩の面倒が見れない,どう教えていいか分からない,練習が辛い,疲れる。頭が動かない。先輩に申し訳ない。もうやめる。自分にはできない。と散々愚痴るのを聞いた。それなりにアドヴァイスもした。教え方は,先生があなたにしているように教えればいい。と言った。 先生の大変さが分かるから,と言ったら,翌月よくわかったと言った。 28日は千葉市長から表彰状をもらいに行くという。たいしたものだ。 先生の誇りだと言ったら喜んだ。 実際そうだ。ぼくなんか何にももらった事がない。 生徒は先生より偉くなる。少なくともその可能性を持っている。 将来,自分よりも立派になる,偉くなる。その子と今付き合っている。決して勉強ができないからといって心の中で馬鹿にしたりしてはいけない。当然の事だ。 良い所をさがし,引っ張り,伸ばし,育てる。 第一そのほうがストレスもたまらない。 またできないのか,何でだ,どうなってるんだ,といらつくよりも。 何かで自信がつけば他へ広がる。苦手の勉強へも繋がる。 気持ち入れ替えがんばる。わしもがんばる。 3月30日。金曜日。 一人が来ない。親が車で連れてきても,塾に入ろうとしない。逃げて行ってしまったという。 親への反抗か,僕への反抗か。 しかし思い当たらない。僕が変わって彼が前へ進めるものならば変わる。 できない子だ。しかし気のいい子なので嫌いではない。時にどうしようもなくできない子で,合わない子には,心の中で苛つき怒鳴り罵る事がある(これはしょうがないのだ。何とかしようと努力しそうなった時は深く自分を責めるがまだ直らない。哀しく情けないが直らない。真の教育者ではない証拠だ。悲しいが。)が,彼にはない。 しかしそれを敏感に感じ取るのか。 いずれにしても話をして僕が変えてどうなるものであるのなら変えたい。 1日は卒業生とカラオケデスマッチ。長く一緒にやってきた子がその日用があって来れない。残念だ。歌う声を聞きたかったたのに。残念だ。本当に残念だ。 3月31日。土曜日 雪が降る。小1の子。雪の中来たので雪だるま作ったと聞くと,作ってないという。帰ったなら家の前の空き地で大きな雪だるま作りなと言う。 授業が終わって,1時間,母親からまだ帰ってないと電話。家の近くを探してみるという。 1時間後テル。不在。その後30分おきに電話をするが不在。ちゃんと帰ったのだろうか。 雪の中,どっかで滑って転んで唸ってるとか,いやな事を考える。電話は通じない。帰り道なので家に寄ったが誰もいない。病院にでも一家で行ってるのかとまたいやな事を考える。 そんな風景が浮かぶ。 しかしきっと電話の後一家でどこかに遊びに行ったのだろう。そうに違いない。取り越し苦労。 つまらない心配。 そんだけ。 |