巻機山景観保全ボランティアーズ 
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植生復元技術
Mt.Makihata Landscape Conservation Volunteers since 1977 
Mt.Makihata Landscape Conservation Volunteers since 1977  Copyright(c)2009 
表土残存地における移植、播種
●移植(植生株埋め込み型)

移植は結果として効果がありました。植生株の供給源の問題は、土砂で埋まった池塘に繁殖した植物を用いることで解決しましたが、供給量に限界があります。実験や部分補修程度の移植なら、供給源を慎重に選ぶことで実行は可能です。
施工位置図


ヌマガヤの移植実験         11年後。水分条件に恵まれ成果を得る


ヤチカワズスゲの移植        12年後。移植株にヌマガヤが進入     18年後。
                                           ヌマガヤが優占し見た目はほぼ復元された
●播種(種子埋め込み型)
土と混ぜて増量しやすいヤチカワズスゲを使用。種子を埋め込む方法は、少ない種子で施工面積を拡げるのに適しています。
施工位置図

「竜王平」

施工時の状況             16年後。ヌマガヤも進入         24年後。
                                           裸地はミヤマイヌノハナヒゲが優占する草地へ。
「山頂東面」

1988年当時の状況           播種2年後。             播種4年後。回復が周辺にも及ぶ
                                             (緑化ネット、光合成バクテリア使用)





表土流失地での客土+播種(ヌマガヤ)
 巻機山の表土流失地は急斜面が多く、丸太筋工(土留工)で地盤を安定させ、ピートモスを客土したうえで播種する方法をとりました(光合成バクテリアと緑化ネットを併用)。発芽後も根が伸長しやすく、早い成果が得られました。月山や八甲田山などで事例があり、自然公園等の規制をクリアできれば試す価値はあります。
●御機屋南面

植生復元施工前(2000年)      播種5〜6年後。丸太筋工+客土の効果で回復は順調


播種1年後の状況            播種2年後の状況

●御機屋南面

表土を失った1978年当時       施工5〜6年後。予想以上に緑が回復し、景観的にも落ち着く

●御機屋南面
施工位置図


荒廃が止まらない1988年当時    施工5〜6年後。30度以上の急斜面でもほとんど傷は癒された

●牛ヶ岳南面

客土後の状況(2000年)       植生復元作業の模様(2001年)   播種5年後。稜線のため乾燥しやすく
                                             回復の速度はやや遅い





表土流失地での播種(ヒゲノガリヤス)
 八合目からニセ巻機間の広大な表土流失地は、岩盤が風化したガレ地で地味は劣悪です。面積が広すぎるため客土による復元は困難で、種をガレ地に直接蒔く方法をとりました。地盤の安定化、緑化ネットの使用で回復の兆しが見えていますが、現在、想定外の複雑な遷移過程にあり、今後の動きに注目したいところです。

ヒロハノコメススキは1ヶ月以内に発芽  播種1年後。活着率は極めて高い  播種5年後。コケ類の進入状況

播種5年後のコケ類や草本の進入状況

●播種からの植生変化

丸太筋工による地盤の安定化(1988年) 播種2年後              播種5年後。コケ類他多様な草本が進入
                          このまま成長するかに見えたが
施工位置図


1997年当時の状況           播種6年後。複雑な遷移過程にあるが施工による効果は明白

1999年の状況              施工地最上部。コケ類に続きヒゲノガリヤスが増殖、回復の兆しか




丸太マルチング+播種、植生株客土
●丸太マルチング+播種
 階段の付け替えで生じた廃材をマルチング材として再利用するアイデアです。石を使う沙漠緑化と同様の手法です。種子はヒロハノコメススキを使います。
施工位置図


業者が筋工の間に丸太を敷く    丸太を間引き隙間をつくる       間引き6年後。自然回復が進む


植生が入り込めないガレ地   丸太の隙間から発芽した    施工6年後。播種による効果が周辺植生も呼び込む
                    ヒゲノガリヤス

●植生株(エゾホソイ)客土
土砂で埋まった池塘に繁殖した植生を除去し、その株を裸地に客土します。ヌマガヤ草原の早期回復が期待できます。

冠水しやすい裸地           一見乱雑な植生株客土(1993年)  たびたびの冠水にめげず
                                               ヌマガヤが勢力を拡大

施工位置図

ガレ地に客土(1994年)        数年でヌマガヤ進入、今に至る


ガレ地に客土(1994年)        客土後の養生は不要。自然の推移に任せるだけでここまで回復




緑化ネット、光合成バクテリアの効果
●緑化ネットの効用
 緑化ネットはジュート(黄麻)製の緑化資材です。最大の特徴は、保水性に優れ植生回復を促進させること。この他に、光を通すため植物の成長に有利、土壌流出を抑制、風に強い、完全に風化する、景観になじむ等の特徴があり、緑化ネットの導入で巻機山の植生復元の成果に弾みがついたことは確かです。

  
ヤチカワズスゲの発芽状況      コケや草本の進入を呼び込む   土壌流出を抑える効果は大


ネット施工2年後ヌマガヤが進入     3年後。ヌマガヤの勢力が拡大


点在するヤチカワズスゲの株に被覆  施工3年後。ヌマガヤの進入が目立つ  施工6年後。完全にヌマガヤに遷移

●光合成バクテリアの効果
 光合成バクテリア(商品名:シーズ)は、普通の土壌に生息する有用細菌の一種です。バクテリアとその餌となる栄養剤を同時に用いることで、植物の成長を促します。使用の賛否はあっても、巻機山では積極的に用い効果を高めています。


ヌマガヤ発芽後右区画にバクテリア散布  散布1年後。成長に多少の差が  散布4年後。成長に明らかな差が生じる

  
緑化ネットとの相乗効果       右区画に散布2年後 

  
播種施工地の中央の段に散布  散布1年後。中段の成長が早い
巻機山の景観と植生の復元作業、
30年の成果をまとめて紹介