【H16.08.21:いざ上陸!】

寝台の目の前は窓。
目がさめ外を眺めると、ほんのり赤みを帯びている。
時計をみるとまだ4時台。

旅に出ると、
このくらいの時間にいつも一度起きる気がする。
デッキに行こうかと思ったが、
まだ動きたくない心境であったので寝台から日の出の写真を撮り終了。
2度寝へ。

おどろいたコトに、次に目がさめたのは10時であった。
10時間以上、睡眠をとってしまった。
が、スッキリという目覚めではない。

台風の影響はほとんどないようで、船はほとんど揺れなかった。

コンビにで買い出しをしてから乗船したかったのだが、
買い物にいくタイミングを逃してしまった。
朝食は船内で購入したグレープフルーツジュース、マフィン系おかし。
なんとも寂しい内容だが、さほどお腹は減っていないので丁度良い。

デッキにあがってみる。
だいぶ北上しているのと海上で居るせいか半袖だとちょっと肌寒い。

まだ下船まで時間があるので朝の日記をつけ始めようと思ったが、
昨日のソファは他の人にとられてしまった。
食堂前のイス、コンセントが傍にあり。

船は定刻どりに苫小牧につくであろう。
そろそろ本日のルートを考えなければならない。

まずは北上を考えている。
明日の夕方に稚内近辺に居ることが理想。
となると、本日はできるだけ北上した方がよい所だが、
初日はキャンプにしようと思うので、
日の出ている明るいうちに幕営場所を確定したい。
下船後、走りだして14時くらいなので、
2〜3時間だと行けて夕張あたりまでか。

イベントとしてはり20km程の林道が1本あるのと、
「快速旅団」で鉄鍋を購入するかどうかというところ。

また新テントを一人で広げるのは始めてである。
大丈夫とは思うが、最初はいろいろと手間取るだろう。

なんて緻密にスケジュールをたてても、
その通りに実行することはほとんどないので、
今回もそのくらいのざっくり加減でスケジュール終了。

目の前の窓から苫小牧港が見えてくる。
上陸のアナウンスが流れる。
いよいよ旅の始まり。
フェリー下船時、「オートバイの方」というアナウンスを、
荷物を整え待っている時間はキライではない。

下船、一年振りの北海道、やっぱり気温はちょい寒い。
昨年と同じ道路に出る前のポイントで一旦バイクを止め、
重ね着をする。

半袖+ジャージ+ウインドブレーカ。
ふと見上げると、頼りない空からの雨粒を感じる。

【祝!北海道上陸は曇り空。】

北の空は雲が厚い。
でも、ここで方向を変えると本当に宗谷岬にはいかないだろう。
当初の予定どおり北上を決意する。

さぁ北海道旅の始まりだ。
車線のやたら多い国道をひたすら直進、
車線が減少するにしたがい「北海道来たよ〜」という気持ちが高ぶる。
そして車の流れにあわせ本州では考えられないペースで走る。

時間は14時、地図にある20kmの林道に挑むため、
厚真ダム方面に向かう。
荷物満載の単独林道、「怖いなぁ〜」と思うものの、
せっかくの北海道。ロングダートは走りたい。
初日のしょっぱなではあるが。

給油しようと思っていた出光が・・・ない。
が、変わりにホクレン発見。
旗とスタンプ帳、何故か袋入りの飴まで貰う。

人気のない山道を進んでいく。
こんな奥地になぜかデカい橋をかけている。
なんなのだ?費用対効果がわからない。
また景観もブチ壊し。

【全然、人居ないのになぁ・・・】

舗装が終わる。
左折して北上するのだが、
地図がアバウトでポイントが全く判らない。

左「ショロマの滝」という看板を発見。
位置的にも丁度よい感じ。
「なんとかなるさ」という気分で進んでいく。

ショロマの滝は林道から200m程入った所にあった。
滝までの道が湿地帯のような所となる。
非常に気持ちよいが熊が怖い。

【熊、大丈夫だよねぇ??】

勾配のない所を流れる雰囲気の良い川と、
静かに流れ落ちる滝によって非常に上品な雰囲気が演出されている。

【写真だとうすいなぁ・・・】

林道を北上。
「ほんとにココなのか??」という気持ちでいっぱい。
時々、工事の杭があるのだが、
どうも林道名が地図と違うような。

5kmすすむ、「いま戻ったら往復10kmか」とマイナス思考。
10kmすすむ、「これが行き止まりだったら夕張は無理か?」まだマイナス思考。

やや勾配が出てきた。バイク、後ろが重い。
峠に到着。展望は「木々の中」という感じ。
大きな支線がある。
支線には立派な看板があるが、本線の名前を知りたい。
道の真中にフン発見。デカい。シカではないだろう。やっぱり熊か?
急いでエンジンをかけた。

走行時は晴れていたが、道には多数の水たまり。
時間が良かったみたいだ。
砂埃はおこらないもののブーツは濡れ、
ズボンとカバンは泥水のしぶきを浴びている。

砂利のないややマディな道が現れる。
バイクが重いだけに怖い。安全優先ノロノロ走行。

下り道、道の左側に何かの気配。バイクを止めた。
なんだ・・・?こちらをみている。
大きな鹿だ。
一瞬、人かと思った。
しばしお見合いを続けるが、バイクを走らせると森の中へ消えていった。

林道の走行距離はもうすぐ20km。
前方にピンクの紐が5本程ヒラヒラなびいていている。
ん?チェーンだ・・・

【ショックな瞬間】

・・・<都合により中略>・・・

国道にブチあたる。
ちょっとほっとする瞬間。
が向かう方角の空の色が気になる。暗すぎる。
とりあえず夕張方面へ向かう。

セイコマの交差点を夕張方面へ左折。
した途端、雨が降って来た。
ヤバイ!カッパ着る屋根を求めセイコマへUターン。

ちょっと休憩とコーヒーとパンを買っていると、

「ピシャッ!」

雷が落ちた。
「えっ?」っと思った瞬間、店内の電気がすべて消えた。
停電だ・・・、何年ぶりにあっただろう。

林道ではないが土砂。土砂降り。スゴイ。
雷も鳴りっぱなし。
小さい東屋の軒下に居るが、しぶきがやってくる。
カッパを着こんだ。

この樹海ロード。昨年通った時も悲しいくらいの雨であった。
チャリダーが下ってきた。
交差点で止まってこちらを眺めている。
信号が赤になると僕の方にむかってきた。
「お兄さん、助けて〜」
20歳くらいの男の子。
富良野から走ってきたとのこと。
ソバに雷が落ちたと言っていた。

一向にやまない雨、雨宿りを若者と続ける。
2日から北海道に居るらしい。道東をめぐり札幌、小樽で帰途につくと。
ウラヤマシイ、僕にもその年齢の時があったのだな・・・

しばらくすると大きなライダー登場。
稚内から下ってきたがズット雨らしい。
「僕が雨雲連れてきました〜」と登場、関西人。

毎年、おくさんを説得して北海道にやってくるらしい。
ベテランライダー、RHや道、食べ物に非常に詳しい。

この3人、ライダーの2人は自転車にものるので会話が弾む。

ふと北の空を見ると青色が。
「あ〜っ!」思わず指差し叫んでしまった。

【3人ともホント嬉しかったです】

雨も弱まり、3人はそれぞれの方向へ走っていった。
ご縁がございましたらまたの再会を。

夕張駅方面へ。
目的は「快速旅団」。キャンプを楽しもうと鉄鍋を購入したい。
大通り沿いにあるお店、犬が入り口にちょこんと座っている。
ドアを開けると優しそうな奥さんがカウンターに。

鉄鍋の実物を見ていると団長さんが帰ってきた。
永久ライダーのHPで写真をみていたので、
その写真を思い出しちょっと笑ってしまった。

もう19時、日も落ちている。
本日の宿の話になり、
「決まってない」と返答すると
「近所にライダーハウスあるけど、
 さっきの人がもういっぱいっていってたから、
 近所だったらユースしかないよ」と言われる。

ご主人、電話してくれる。
交渉の結果、OK。夕飯なし。朝食あり。
どうにか初日の寝床は確保することができた。

セイコマで夕飯の買い物。
北海道上陸後の最初の食事は、おにぎりとパン。
昨年同様これまた寂しいものになってしまった。
(昨年はカップメン)

夕張フォレストへの道順を団長さんに聞く。
ん・・・、難しい。
夕張川超える、駅までは行きすぎ、冷蔵倉庫。ここで限界。
その先もちょっとあるらしいがそこはでたとこ勝負。

最初のポイントはOK、
そこからは道がわからない暗すぎ。
住宅看板にも看板に記述が無い。
あてすっぽで進むと非常に小さい看板が出現。うれしい瞬間。

森の中に明るい建物が見えてきたとき、
はほっと安堵。

夜遅くにもかかわらずペアレントの方が暖かいもてなし。
うれしいねー。

同質の方は旅行好きな方。北海道は30回といっていた。
が、春に交通事故にあわれて今回はリハビリで来ているとのことだった。
「他の人が常連みたいで話があわなかったから良かった」と言われる。
どんな人間模様が繰り広げられていたのだろうか・・・

「夜のコーヒーはいりました」といわれ、
食堂へ。その噂の常連さん2名も居る。

僕は淡々とビールを飲み始めた。
しばらくすると女性チャリダーが僕らの輪に。
小樽から夕張まで走ってきたとのこと。
小樽のYHではクニイリツコと一緒だったらしい。

その子と「日勝はつらい」というようなルートの話をする。
しばらして常連さんに話し掛けてみた。良い人だった。
北海道談議、旅談議が繰り広げられる。

22時、お風呂にはいらねば。
洗面道具をバイクにとりにいくと、空にはみたこともない無数の星が。
しばし眺め他の方にも教えてあげる。

風呂あがっても話は続く。
千葉の先生、女性チャリダー、リハビリさん、CBRさん、ありがとう。
計ビール4本。
ほろ酔い気分で0時就寝。


本日の走行距離:113km。