青い金魚鉢


 ぼんやりと目覚めて八戒は何度か瞬きをした。
 喉がひりつくように痛む。思わず手を当てようとして腕を上げれば随分と重い。重力に負けて腕はパタリと落ちる。全身が鉛のように重く、特に腰の辺りから鈍い痛みが絶え間ない。これでは立ち上がる事はおろか、半日くらい寝ていないと回復しないだろうと八戒ぼんやり考える。横を向けばその原因を作った張本人は静かな寝息を立てている。その片腕はこちらまで伸びて、まるで寝ている間にどこにも行かせないよう腰を抱いている。どこもかしこも軋む身体に静かな怒りが込み上がり、その手を払いベッドを出てしまいたいがそれも出来ない。何も出来ない悔しさに三蔵の寝顔をただじっと見つめていると、子供のような顔に怒りが徐々に治まってきてしまう。
 (何か、ずるいですよねぇ)
 三蔵は朝が苦手で、こうして一緒に眠った時は大抵八戒の方が先に目覚める。そして三蔵の寝顔を間近で見られるこの時間が八戒は好きだった。規則正しい寝息を立てている三蔵に、まだ起きる気配はない。普段居座っている眉間の皺はなく、不機嫌な顔つきでない三蔵の寝顔はありのままの整った造形を晒している。あどけない寝顔は綺麗としか言い様がなく、朝日を受けて輝く金糸の髪がより清冷に見せている。
 (こうして見ると、とてもあんな事するようには見えないですけど…)
 昨夜の事が思い出されて八戒は頬を染める。最初はソファで。次はベッドに移動して、途中意識が怪しくなって正確には覚えていないが、今までで一番数をこなしたように思う。この体調の悪さから、それだけは間違っていないと確信出来る。終わりが見えず、途中理由を訊いた気もするがよくは覚えていない。浴衣がどうとか言っていたかもしれない。結局焦らされ煽られ、自分からも三蔵を求めてしまいそれが拍車をかけてしまった気がする。
 (それにしても……)
 まだ赤らんだ顔で八戒は三蔵を見つめる。今は閉じている紫暗の瞳がないから、これ程真っ直ぐに見つめていられる。一見冷たくも見える紫暗の瞳。けれど熱を孕んだ時の苛烈な美しさは、ただ息を呑んで見惚れるしかない。それが時に意地悪く鋭利になる事もあれば、優しく甘い色へと変化もして八戒は翻弄されてしまう。最高僧という偶像ではなくて、生身の人間として惹かれずにはいられない。初めて会った時は印象だけが強くて受け止めるのに精一杯だった。ただ傍にいて、あの瞳に見つめられるといても立ってもいられず彼の下を逃げ出した。なのに会えばほっとして、離れていれば知らずに彼を想う。そんな気持ちの存在すらも知らずにいた。彼と視線が正面からぶつかりあったあの時までは…
 あの日寺院を訪ねて苛立つ三蔵と口論になり、言い合いの末キスをされて流石に驚いた。あまり驚いたので最初は冗談かと思ったぐらいだ。本当は三蔵の性格からしてそうでない事は判ったが、冗談にして欲しかった。それが三蔵の怒りの火に油を注ぐ結果となり体を繋げてしまった。三蔵も最高僧である前に、生身の人間だし男である。年齢的にそういう欲求があって当然だろう。僕は彼に恩のある身だし、別に体を差し出すくらいどうでもないと思っていた。けれど違ったのだ。紫暗の瞳に見つめられて彼に抱かれた時、そこに嫌悪など何処にもない事に気付かされた。それどころか熱と共に喜びが湧き上がるのを自覚させられた。その気持ちに蓋をして、逃げ続けていた自分と初めて向き合ったのだ。認めたくなかったのは、罪悪感と喪失に怯える心だった。そんな心を見透かすような強い意志を持つ紫暗の瞳の前に、僕は自分の気持ちを認めざるをえなかった。

 (……こんな所にも付いてる)
 少しだけ体の向きを変えるため手を付くと、自分の手首に鮮やかな赤い跡が目に付いた。彼が肉欲だけで自分を欲しているのではないのだろうと、それを見つめて思う。昨晩は特に全身を唇で辿られた。執着が彼の中にも存在しているのだなと、こんな時感じる。それは八戒を幸せな気持ちにしてくれると同時に、その先に在る喪失をも思い出させる。八戒は安らかに眠る三蔵を見つめてそっと手を伸ばす。二度と失いたくないと思う気持ちと、愛しい気持ちでそっと髪を撫でる。指を滑る滑らかな感触を確かめて微笑むと八戒は手を戻す。とその途中で手首を掴まれた。
 眉間にいつもの皺を寄せて、瞼が無理やりこじ開けられる。眩しそうに薄目を開く表情は見慣れた不機嫌そうな顔。少し厚めの唇が開かれるのを八戒はじっと待つように眺めた。
 「………足りなかったか?」
 「………どうしてそうなるんです」
 「誘ってるのかと思った」
 「まだ寝惚けてますね」
 呆れたように出した自分の声が嗄れていて八戒が眉を顰めると、抱き寄せられた。三蔵の匂いに包まれて八戒は安心したように目を閉じる
 「どうした…その声は」
 「誰かさんのせいで、水も飲みに行けないんですけど」
 「…立てないのか」
 まだ寝惚けているらしい三蔵に八戒は溜息を洩らす。と三蔵はゆっくりと上体を起こし頭を掻く。水を持ってきてくれるのかと期待した八戒だが、予想に反して躯をシーツで包まれ横抱きにされてしまった。
 「…え…、ちょっと」
 「黙ってろ。声をだすのも辛いんだろうが」
 まだ半分くらい瞼がくっついているとは思えない力で三蔵は八戒を抱き上げ、そのまましっかりとした足取りで歩き始める。
 「待って、降ろして下さい。どこ行くんですか!」
 「風呂場だ。水を飲みたいんだろう?ほら、暴れるな」
 慌てた八戒が手足をばたつかせてもがくのを三蔵はキスをして黙らせる。水を飲むなら台所ですという抗議を呑み込まれて、八戒は成す術もないまま浴室に連れて行かれた。
 浴槽に身体を横たえられて上からはシャワーの雨が降ってくる。温かい雨を浴びながら八戒は、そう言えば昨夜はシャワーも浴びずに寝た事を思い出す。自分も思ったより頭が働いていなかったらしい。汗や汚れが流れていくのに身を任せていると、目の前に三蔵の両手が差し出された。
 「?」
 「水だ」
 どうやら台所に行くのも面倒だったらしい三蔵は、カランからの水を手の平に溜めている。きょとんとした翠の瞳が柔らかく細まり、八戒はシャワーの雨から少し抜け出して三蔵の手に口を付けた。手を添えて飲むと、喉を通る水が乾きを潤し気持ちがいい。空になった手の平にご馳走様と口付けて、顔を上げると間近にある紫の瞳に微笑みかける。
 「ご馳走様です三蔵。出来ればもう一杯いただきたいんですけど」
 「…仕方ねぇな」
 面倒そうに言いながらも三蔵は再び手の平から八戒に水を与えた。舌を使っている訳ではないのだが、何となく猫にミルクを与えているのに似ていると三蔵は思いつく。瞼を閉じて美味しそうに水を飲む八戒の、首筋の赤い跡が艶めいていて三蔵はほくそえむ。と翠の瞳が開いて視線が絡み自然と唇が合わさった。
 「ん…おはよ…ござい、ます……」
 「……あぁ…」
 何となく触れるだけでは済まなくなり、舌が絡まりキスが深くなる。頭上からは温かいシャワーの雨が止む事なく降り注ぐ。重そうな腕を伸ばしてきた八戒に誘われるように三蔵も浴槽に入る。と三分の一ほど溜まったお湯が大きく揺れて水嵩が増す。躯のラインを辿り出した三蔵の手に八戒は身をくねらせて唇を離した。
 「…三蔵、狭いです」
 「お前、自分の状態が判ってるか?」
 見てみろと三蔵は八戒の向きを変えて後ろから抱き締める。と八戒は自分の躯を見下ろして熱を頬に集中させた。お湯に浸かり血行の良くなった躯の至る所に、鮮やかな赤が散っている。それを認めて八戒の躯が更に赤くなる。その上を三蔵の手が滑り抱き込まれて八戒は、昨夜の熱の名残に火を点けられそうになり慌てて手を掴む。しかし三蔵は首筋に唇を寄せて昨夜付けた跡の上に再び吸い付き、より一層鮮やかな赤にする。所有の証は感じるところに付いていて八戒は息を呑んで躯を固くした。更に労るように舌で舐めれば八戒は小さく震えて顔を落とす。追い討ちをかけるように耳を甘噛みして舌で嬲ると八戒の押さえていた手が緩む。三蔵は喉の奥で笑うと胸を弄り、もう片方の手は八戒自身に触れてなぞる。
 「うっ……ぅ…」
 「唇を噛むな。お前に跡を付けていいのは俺だけだ」
 「や……ひび…くぅ…」
 嫌々をするように八戒は首を横に振るが、耳元で囁かれる声に感じて背筋がぞくりと震える。殺しても洩れる声は残響してやけに大きく聞こえる。羞恥で赤くなった耳に三蔵は声に弱いと知っていてわざと囁く。
 「こっちも欲しいだろ?」
 そう言って胸を愛撫していた手を後ろに回して双丘を撫で、奥へと滑らせ秘所に指を一本差し入れた。
 「やっ……ぁ…」
 昨夜の名残とお湯のせいでそこは解れていて三蔵の指を容易に呑み込み、八戒は声を殺し損ねて躯を震わせる。中で指が動くたびに三蔵の残滓と入り込むお湯の感覚が、昨夜の快楽を思い出させる。力無く身悶える八戒の躯は、引き上げれて前に倒される。バランスを取ろうと浴槽の淵に腕を付くと、腰を上げさせられて指が出入りしている場所にお湯の雨が当てられた。
 「ああっ…ぁ…」
 「洗ってやるよ。隅々までな」
 シャワーヘッドを持った三蔵は、指を増やしながら自分の残滓を掻き出しつつお湯を当てる。その時意地悪く八戒の感じる所に触れてかき回すように刺激を与える。それに合わせて八戒の腰が揺らめきだし、感じる場所を擦られて背中を綺麗にしならせた。指がまた一本増やされ奥の方まで入れられるが、その更に奥が熱く疼きだす。けれど決して指は届かず、八戒の躯は意思に反して焦れたように自ら腰を上げて奥まで誘う。もう喘ぎ声を殺す事は出来ない。耳に入ってくる自分の声が遠くに聞こえるほど熱に集中してしまっている。自分ではどうしようもない所まで熱を高められて、八戒は無意識に足を開く。
 「……あ…三ぞっ……ぅ」
 「どうした?ここも洗って欲しいのか?」
 判っているくせに三蔵は開いた足の内側をするりと撫でる。感じやすくなっている八戒の躯は震えて高い声が響く。
 「も……やぁ…っ」
 「いいのか?入れたらまた汚れるぞ」
 「いぃ……早…ぅ」
 「仕方ねぇな」
 耳元で囁く三蔵の声も熱を帯びてきている。なのに返す言葉はひどく素っ気ない。自分の腕に顔を埋めていた八戒は首を捻って見上げると、間近には獲物を捕らえた紫の瞳。
 「また洗ってやる。奥の方までな」
 そう言って自ら綺麗にした秘所に熱をあてがい、ゆっくりと押し入れる。お湯よりも熱く指よりも大きな三蔵のものを受け入れて、八戒は背を反らせる。押し広げられる苦しさよりもこれから訪れる快楽の波に期待して躯が震える。軋む躯の痛みを今は感じない。一度奥まで埋め込んでから三蔵は動き出し、起ち上がりかけた八戒のものに指を絡ませると艶声が上がる。全身に所有の証を付けて三蔵に身を委ねる八戒の姿は艶めいていて、有り体に言えば三蔵は我慢が効かなかったのだ。昨夜あれほど抱いてもまだ欲しいと思う、この際限のない渇望を三蔵は持て余している。底の見えない欲求は八戒を前にして増すばかりだ。
 「くっ……ぅ…」
 八戒の強い締め付けに持っていかれそうになり、三蔵は熱い息を吐いて動きを早める。お互い限界が近いところまで来ている。八戒の先端を強く掻いてやると八戒の嬌声が浴室に絶え間なく響き、三蔵の熱を煽る。湧き上がる熱の勢いに三蔵は首筋に噛み付くように赤い跡を付けて、激しく奥の方まで貫く。
 「ひ…ああああぁっ……」
 八戒は耐え切れずに躯を大きくしならせて達し、三蔵も強い締め付けに抗わず中に放った。何度か痙攣し強い快楽に浸っていたが、たった一回でぐったりとした八戒に気付いて繋がったまま抱き起こす。
 「……ん…ぞ…」
 力ない躯を三蔵に預けるしかない八戒は文句を言う気力もないようである。委ねられた躯を後ろから抱き締めて三蔵は思う。
 こいつの監督官になったのは義務からではない
 もう手放す事が出来ないなら、この手を離さないだけだと
 抱き締める腕に力を込めれば、八戒が答えるようにキスしてきた。額や目元、頬に唇へと優しく触れてくる。目を合わせれば熱に溶けた甘い翠の瞳。
 「………知らねぇからな」
 唇の端を上げて三蔵は望む深い口付けを与える。
 その後浴室からは八戒の悲鳴とも抗議とも嬌声とも取れる声が響き渡り、三蔵は思うままに抱いた。




 室内には蝉時雨が響いている。森の中の一軒家なので仕方ないのだが、朝早くからかなりの種類と音量である。しかし煩い筈の声が時には救いとなる事もある。リビングで向かい合わせに座る2人の間に会話はなく、痛いほどの空気を蝉の声が緩和していたのだから。
 ソファに座る八戒は大きなバスタオルを体に巻いた姿で麦茶を飲んでいる。逆上せた体と再び枯れた声にどうしても水分補給は必要で、正直この体勢は辛いのだが麦茶を飲むために相当な無理をして座っていた。大体朝起きた時から辛い状態だった。にも拘らず一緒に風呂に入った事で更なる追い討ちを掛けられ、実は少し動かすだけでも体は悲鳴を上げている。散々三蔵の好きにされたお陰で本当に隅々まで洗われ表面上は綺麗さっぱりなのだが、体と心はそうはいかない。軋みや痛みを怒りへと転化させて、八戒は静かに麦茶を飲んでいた。
 一方三蔵もその怒りを十分に承知していた。リビングに脱ぎ散らかされた二人分の浴衣と、汚れたシーツとカバーを取り替え洗濯機に放り込んだくらいに承知していた。そして八戒のために麦茶を注ぎ(八戒は自力で動けないから当然なのだが)序でにと自分は缶ビールを開け向かいの椅子に座った。肉体労働の後の爽快な一杯、というよりは自棄酒に近い。肉体的には大変満足して尚且つ喉も渇いていたのだが、八戒の静かな怒りを甘んじて受けて飲んだビールは美味いとは言えず、精神的には非常に不満足な三蔵だった。しかし自業自得は承知の上なので、藪からコブラを出さないように沈黙を守っていた。
 「………朝からビールですか…羨ましい限りですね」
 「これが飲まずにいられるか」
 「あれだけ好きにしたんですから、さぞや美味しいでしょうね」
 「お前も飲めばいいだろ」
 「僕は貴方が注いでくださった麦茶で結構ですよ。とても美味しいです」
 流石に今朝の毒舌は切れ味抜群である。三蔵は眉間に深い皺を刻みつつ何とか怒りの矛先を変えようと視線を逸らせる。といつからあったのか、テーブルの上に青い金魚鉢が置いてあるのが目に入った。不思議な事に中には水も金魚もなく、ガラスの器だけだった。
 「何だ、これは?」
 「金魚鉢ですよ。見て判りません?三蔵にはこれがパンチボウルに見えますか?」
 「そうじゃねぇ。何で入れ物だけで飾ってあるんだ?」
 「それはこの金魚鉢を誰かにあげようと思っていたからです」
 「誰だそれは?」
 「寺院はクーラーが入ってなくて暑い暑いと零していた誰かさんです。せめて目で涼んでもらおうと僕が用意しました」
 不機嫌に眇められていた紫暗の瞳が見開いて、八戒は麦茶をテーブルの上に置いた。
 「三蔵、そこの棚の上にある紙袋を取って下さい」
 壁際の棚を目で示されて三蔵は立ち上がると、言われた通りの小ぶりな紙袋を持ってきた。
 「どうぞ、開けて下さい」
 止めてあったテープを剥がして中にあった物を見れば、ガラスで出来た魚と石、そして作り物の海草が入っていた。
 「金魚鉢の中に水を入れてそのキット一式を入れるんです。ガラスの魚は中に空気が入っているから適度に浮かびますよ。生物は世話もあって大変ですけどそれなら手間もかからないし、見た目も涼しいから良いかなと思ったんです。執務机の上に置くにも邪魔にならない丁度良い大きさかと」
 テーブルの上に並べられたオーナメントと、青い金魚鉢を眺めて八戒は続ける。
 「今日本当は貴方が寺院に帰る時、一緒に付いて行って持っていこうと思ってたんです。けれどそれは到底無理そうですし、こういうのは急がないと夏が終わっちゃいますから貴方が持っていって下さいね」
 そこまで言われて三蔵は、八戒の不機嫌な本当の理由を知って溜息を吐いた。浴衣もそうだったが、こいつはいつも人を優先する。もっと欲しがってもいいと思う。そうすれば自分自身を大切にする事へと繋がっていく筈だ。
 「…これは、ここに置いておけ」
 「気に入りませんでしたか?」
 「そうじゃねぇ。俺がここに涼みに来る理由になる」
 八戒はそれを聞いて翠の瞳をきょとんと丸くしてから、ふわりと笑った。まったく、そんな顔をするからこちらの歯止めが効かなくなるんだと、三蔵はビールを呷る。少し温くなったビールはもう不味くなかった。空き缶をテーブルの上に置くと三蔵は、すっかり汗の引いた八戒を抱き上げる。
 「おら、ベッドに戻るぞ」
 「三蔵、ベッドサイドに麦茶を置いといて下さい」
 「温くなるだろうが」
 「でもベッドの上で干乾びたくないですし」
 朝から威勢のいい蝉の声。強い陽射しは今日も真夏日になりそうである。動けない八戒は一日ベッドの上で過すため、水分補給は重要事項である。
 「俺が冷たいのを持ってきてやる」
 「…え」
 もうすぐ帰ると思っていた三蔵が、どうやらもう少し居てくれるらしい。
 (責任を取ってくれる、という事でしょうかね)
 八戒は三蔵に運ばれながらまじまじと紫暗の瞳を見つめると、間近で視線が絡みあう。
 「だからもう少し寝かせろ」
 「ええ、いいですよ。折角貴方がシーツとカバーを替えてくれたんですから」
 零れるような笑みを浮かべた八戒に三蔵はキスを落とした。



 ぐんぐんと上昇する気温の中、2人はクーラーの効いた部屋で惰眠を貪る
 水の中の魚のようにシーツの波に包まって、お互いの温もりを感じながら




原作設定:旅に出る前の2人
Hは入らない予定だったのですが

2006/09/19