2000/05/04  全てはここから始まった

 

その日某電気屋に4人の客がいた。
PC関連の売り場で散々物色した後、1人の人物が名刺を取り出し、レジへと向かった。
 後に白雪大佐となる人物だった。
前回ここの売り場でオーディオ関係を買った時に貰った名刺を渡すと、呼び出された哀れな子羊店員がやって来た。
4人の人間に囲まれて値引き交渉が始まった。

 後に小人赤となる人物はPCのプロ。同じく黄や緑となる人物も電気屋をかなり回って来ていた。
そして白雪大佐はハワイで値引きをさせた事がある実績を持っていた。
 怯える店員。

 やがて交渉は成立し、レジへと向かった白雪大佐の目にある物が映った。それはピングーのマウスパッドだった。
REDSのマウスパッドが無かったので、その赤さは際立って見えた。


 「あれも欲しい」


 散々値引きさせておいて、まだ店員に重圧をかける白雪大佐。しかし店員はここで起死回生の一手を放った。

 「あ、あれはちょっとアレなんで……。代わりにコレを!!」


 そう言って店員はカートを白雪大佐の前にドンと置いた。


 「こ、これは……」

 「荷物とか乗せて運ぶのに便利なんですよ!」

 

 斯くして形成は逆転した。何故なら前日某基地にて、もう1つあったら良かったのに…と白雪大佐が思っていたところを、まるで影から見てきたかのようにソレを取り出したからだ。
 
白雪大佐は恐れを抱いた。

 そしてカートの他にもMDや工具や紙やらを紙袋に入れて、手渡す店員の晴れやかな笑みは、白雪大佐には勝利の微笑みに見えた。
  
(※後日、赤にも『あの時固まってたね』と指摘される。)




 そして敗戦した白雪大佐に更なる追討ちがかかった。

 その後ファミレスに寄り食事を待つ間、赤が見繕ってくれたPC関連の本を開いた。
するとそこにはPCと冷蔵庫の違いから説明している絵入りの記述があった。
 ……………。




 『先ずはここから始めなければならないのか!』



 白雪大佐のPC上達への長く果てしない道はここから始まった。


2000/05/14  白雪大佐の戦慄


 仕事から帰って来ると、家には大きなダンボールの山が出来ていた。
やがて小人となる赤がやって来た。この日は黄と緑は逃走に成功し都合がつかなかったのだ。
 白雪大佐がぼーっと見ている前で、小人赤はダンボールから色々な物を取り出し、働く、働く、はたらく……
鉄の箱をパカッと開けて

 
 「静電気がまずいんだよ」

 とか言いながらゴソゴソゴソ (←何をしているかサッパリ判らない)
たくさんのコードを繋いで繋いでPCにした後、立ち上げ動作確認。
画面に数字やら横文字やらがびっしり表示され、チェックし続ける小人赤。
 まだメルアドを持っていない白雪大佐は小人赤の指示で葉書を書きまくる。
既にこの時点で面倒くさがりやの白雪大佐は音をあげそうになった。

 
 (PCを扱うのに何故このような事をしなければならないのか?)



 と思いつつ、私以上にとても働いてる小人赤を見て、フと気付いた。 
小人赤がREDSのTシャツとジーンズ姿で働いてる事に… (←この時点で制服が決定した)
 その日、昼は晴れて暖かったが、夜は初夏なのに冷え込んでいた

 
 操作し続ける小人赤を見ながら白雪大佐は寒くなっていった…

 しかし今日中に終わらせようと一心不乱に働く小人赤に声は掛けづらい。



 自身の素晴らしい働きにより小人赤の任務が完了した頃、すっかり夜は更け、辺りも白雪大佐も寒くなっていた。
お礼を渡して見送る間際、すっかり冷え切ってしまった白雪大佐は恐る恐る訊いてみた。


 「寒くなかった?」

 
 「別に」




 最後の一撃を食らった白雪大佐は完全に凍り、小人赤の凄さを思い知ったのだった。
因みに翌日仕事の小人赤の通勤時間は、白雪大佐の約
18倍だ。


 ありがとう小人赤。本当にありがとう。


 明子姉ちゃんのように見送る白雪大佐だった。




 
駄菓子菓子一仕事終えた小人赤の次回出動がすぐ近くに迫っていた事を、
疲れ果てた小人赤はまだ知る由も無かった…




2000/06/某日  小人戦隊結成



 先ずはpcの前に座り小人赤に教わった順番通りに電源を入れ、起動するまで画面を暖かく見守った。
(例の本にそうしろと書いてあったのだ。※2000/05/04の日記参照)
 英字が並び起動画面になったら心の中でゴングが鳴ったも同然、戦闘開始の合図だ。

白雪大佐は戦った

 先ずはメールと思い、それは長い時間をかけて打ったメールを小人紫にHTML形式で送ってしまったり

白雪大佐は戦っていた

 メールを打つためその1はやはりこれだな、と思い北斗の拳1の激打を購入した。(小人金にゲームでやるのが良いよ、
 と薦められた)そして秘孔を付きまくり、ケンシロウに「おまえはもう打てている」と言われるまで打ちまくった。
 (しかし拳王に行きつく前に友人に貸してしまった)これは個人的にはレイでユダを斃すのが理想だったのだが、
 今となっては………(涙)塩沢さんに合掌)

白雪大佐は戦っていた

 SENJUの文章は長編のため、とにかく速く打つ事が必須条件だ。Wordを使い、牙一族を斃すが如く(まだこのレベル)
 打って、打って、打ちまくっていた。……が

 「!?」

 emergency、緊急事態発生に白雪大佐の手が止まる

 「カツン、カツン、カツッ!」

 動揺して何度もスペースキーを打つが結果は変わらず、白雪大佐は半ばパニック状態に陥った。
 

 「有り得ない。というかこんな事有るのか!?一体何がどうなってるんだぁ―――――!?!?」
 
 pcの前で頭を抱えて焦りまくる白雪大佐の目には、漢字変換出来ず、ひらがなのままの文字が冷然と映っていた。

白雪大佐戦闘休止

 その後

 
 「一体何したの?」
 「分からん」
 
  というか分かってたらこんな事しないし、こんな事にもなってないと思う。とは心の声。
 最初小人黒に見てもらい、完全に辞書機能が消えている事を確認してもらってから、小人赤、黄、緑がやって来た。


 「…このケースは初めてだな…」

 と某コンピューター会社勤務の赤に言われる事をやってのけてしまった白雪大佐。
(※がその後、私以外でも小人黒の会社で。又同志M嬢のところでも同様の件が発生していた事が判明してホッとする)
 そして辞書機能をインストールしてもらっている最中に、ふと思い付く。 作業している赤とお囃子隊の黄と緑。
そして黒の事を考えて、このメンバーなら小人だけど戦隊系かな?と口にした。
 すると当然その話に小人さん達が面白がって乗ってきた。

 小人赤
は満場一致で決定した。
何しろ某コンピューター会社勤務で一番pcに精通しているからリーダーは当然だし、REDS好きだし、
 文句なしでばっちりだった。

 お次は
小人黄だがカレー好きだし(←これは本人が言い出した)阪神好きだし、これも文句なしなのだが、本人が納得しなかった。理由は「一番先に死んじゃうから嫌だ」(どうも○レンジャーの事らしい)と駄々をこねていたのだが、他に当て嵌まるのが無かったので、大佐命令にて無理矢理決定。

 次の
小人緑は自己申告だった。
skillは相当だし良いのではないか。けど地味なんだよなぁ。等の意見は出たが取り敢えずの収束をみた。

 小人黒
はこの場の人間達(主犯白雪大佐)によって勝手に決められた。
黒服好きだしOKだろうと思っていた。本人に後日伝えてもすんなり許可が出た(というか勝手に押し付けた)

 そして4人では戦隊として数が悪いと言う事で、これも勝手に
小人桃が決められた。
赤の次にpcに精通しているし、当時桃には彼女がいて踊らされ入れこんでいるらしい、という噂がたっていた。
(因みに彼女がいる事自体からがただの噂だったらしい、と後で確認された)
更にパステル系の色が好きで、そういう色のシャツをよく着ていたからだった。本人には半年後くらいに伝えられ、しかも一方的な事後承諾だった。


 こうして小人戦隊は勝手に結成され、白雪大佐pc上達への飽くなき闘いが続くのだった



2000/07/09  恐怖の一夜


 「PCが馴染むのには3ヶ月は掛かる」

 とは小人金の言葉。
温度、湿度、部屋の方位、流れる電波等々…全ての事らしいのだが、どうやら最初すごくトラブったらしい。
 
 御多聞に漏れず白雪大佐のPCもしっかりとトラブっていた

 

 そこで出動が掛かる小人戦隊。白雪大佐の本部に小人赤と黄がやって来た。
しかし小人緑は上手く逃れて来れなかったのだが、それが今後の緑の運命を大きく左右する事となった。

 さて、PCに電源が入りいざ直そうと画面を見ていた時だった。



 ゴロゴロゴロ……


 「…………。」 

 今まさに指を動かそうとしていた小人赤の手が止まる。 
3人一斉に窓の外を見ると、どんよりとした黒雲が空一面に広がっていて、遠くの方では縦に稲妻が走っていた。



 ゴロゴロゴロ……


 音は次第に大きくなって来ていた。

 「――――まずいな、ちょっと切ろう」


 そう言って小人赤はPCの電源を切り、白雪大佐も小人赤の指示でコンセントを抜いた。


 「夕立だからそのうち治まるだろう」
 「しかしトラブルに雷とはすごいシチュエーションだな」
 「そう言えば雨も降ってるんじゃなかったか?」

 「ん!?ちょっと待て。何だこの音は?」 


 耳を澄ますと、それは雷の音に混じって聞こえてきた。


 ピカッゴロゴロ……ツクテンテンツクテン……


 「!!」


 「あぁ。近々この地区だけの祭りがあってお囃子の練習をしているんだよ。
 よしっっもう少し雰囲気を出してみよう!」

 白雪大佐は立ち上がり、蛍光灯を消し小さな電球だけ灯した。
たちまち辺りは暗くなり、たまに光る雷のフラッシュ効果。


 
ゴロゴロゴロ……ピカッドンドンヒャラ……ゴロゴロツクテンツクツク……ガラガラガラ……ヒャラツク……
 

 ピシャ―――――――ッ




 ヒ――――――――ッ 」


 「ワ――――ッ!何て余計な事をしてくれるんだ大佐――っ。余計怖いじゃないか!!」
 「取り敢えず明かりだっ!電気だけでも付けよう!!」



 慌てふためく小人赤と黄を見てニヤリとする白雪大佐。

 「まぁまぁ、そんなに慌てるなよ。もう少し遠くなったら電気を着けよう」



 
闇夜に降りしきる雨音。轟く雷鳴。神鳴りに照らし出された青白い白雪大佐の微笑み。そして遠くから聞こえてくるお囃子の音。
 そこに空を切り裂くような稲妻が近くに落ちる。


 バリバリバリバリ ド ォ――――― ンッッ!!

ギャ―――――――――ッ



 赤と黄は横溝正史の世界を体験した。



 ……やがて夕立が去り白雪大佐が電気を着けると、そこには憔悴した小人赤と黄の姿があった。
もちろんその後、小人赤は働かされ、白雪大佐のPCは復活した。




 後日―――
 小人黄と赤が小人緑に恐怖の一夜を報告していた。

 「いやーこの前大佐の本部ですげー怖かったんだ」
 
「いや、こっちも恐怖だった。
大佐の本部に行かなかったらPCトラブってさ。○○がだめになって……」

 「それは大佐の呪いなんじゃ……」


 小人緑にかかった初めての呪い。そして、ここより始まる……


2000/某日  小人赤軟禁

 小人赤は働いていた。。もうどれくらい前から働いているか判らない。
もしかしたら涙で眼鏡が曇り、画面を見るのも難しくなっていたからかもしれない。
黄と緑は逃走し援護は呼べない。

 辛く孤独な戦いだった……。

 隣りにいる白雪大佐は矢継ぎ早に指示してくる。しかもfeelingだけでだ。

 「え―と、こんなガラスが割れた感じで……」
 「何ていうか、茶色で紙をわしゃわしゃした感じというか…」



 小人赤も対策として、持ってきた素材集の雑誌等を広げて大佐が言いたい事を最大限汲み取り、近付けようと努力する。
白雪大佐と小人赤は、干支と星座と血液型が全て同じなため、その“感じ”がある程度判ってしまう所が小人赤の一番の不幸だった。悲しい事に要望に応える技術もあった。更に2人共凝り性だった。(←致命傷)



 そして小人赤は白雪大佐のサイト製作のため、ほぼ1日をtop絵だけに費やした。 




 疲弊しきった小人赤が白雪大佐の奢りの夕食を食べ終わった後、ポツリとこう言った。



 「ホームページは妥協も必要だよ…」



 納得した白雪大佐はその後フリー素材屋さんの存在を知り、ホームページ立ち上げに向けて巡り歩く日々へと変わった。



 その結果、小人赤がこの日苦労して作った物は使用されない事になった。




 *追記 召集がかかったにも関わらず、来れなかった緑のPCに異変が生じたのは言うまでも無い…


2000/某日  黄色と黒は勇気のしるし♪


 このままではいけない



やがて嬲り殺され、白雪大佐は殺人犯




 小人に対するあまりな仕打ちを聞いて、小人と長年の付き合いである小人黄と、
それ以上に白雪大佐と付き合いが長い小人黒は立ち上がった。

 目指すは白雪大佐本部だ。


 小人黒は基本的なPC操作のフォローに努め、後にやって来た小人黄と同じ苦言を呈した。



 「このくらいは、自分でやりなさい」

 「それもそうだな」

 白雪大佐は納得した。
 しかしその横では相も変わらず小人赤が働いていた。
 何故ならフォトショップの達人は小人赤のみで、(小人桃は多忙なため捕捉出来ず)2人の範囲外だったからだ。
 要は働かせ過ぎないように見守っているのだった。
 序に小人黄はいつも小人赤の車に乗って来ていた。



 その後
 白雪大佐は何とか1人で年賀状を作成する事に成功したのだった。
(一歩前進!)
 しかし宛名の方は今ひとつ判らず結局手書きだった…
(半歩後退



 んな訳で必然的に集会が開かれてしまい
来れなかった緑のPCは当たり前のように異変が起き、序に黒のPCも不調を訴えた。


そして呪いにかからなかった
happy yellow 赤に『小間使い』の称号を与えたのだった。


つづく