1996 花火大会レポート


夏です。花火大会です。 アマチュア花火師としては、 プロの仕事を間近に見ることのできるたいへんうれしい季節です。 各地の花火大会の感想をまとめてみました。


RKBシーサイドももち大花火大会

96年、福岡地区の夏の花火大会の口火を切る花火大会であった。 主催者のRKB(地元の民放局)が創立45周年&局社移転ということで前宣伝は派手だったが、ぜんぜんダメ。

仕込みの手間と経費節減、そして目新しさが目的なのか、仕掛花火を廃し、サーチライト&レーザー光線にウォータースクリーンを併用していた。

まず、このウォータースクリーンが完全な企画倒れ。 これは霧状の噴水でカーテンをつくり、そこにレーザー光線やビデオ映像などを映し出そうというコンセプトであるが、風で形が崩れてしまい、まともに写らない。 サイズも小さめで、遠くの客にはなんのことかわからない。いや、もし、これが完全に機能していたとしても、演出がだめであった。 花火大会の合間合間に協賛スポンサーの普通のTVCMなんて見たくない!!

さらにサーチライトと花火を併用した演出であるが、 これは花火の繊細さを打ち消す最低の演出である。 とくにサーチライトが観客席の方向を向いた瞬間は最悪である。 なにも見えなくなる。

と、怒り噴飯物の花火大会であったが、本来の花火の方は、 だだっぴろい海岸という会場の条件もあって、比較的大型の玉を使用しており、 好感の持てる技であった。

しかし…、会場のアナウンスでは、最後に尺玉を打つといったのに、 どう考えても打った形跡がないのだ。 最後になかなかの細工をほどこした玉が上がったが、あれは尺ではないと思う。 8号クラスにしか思えない。

と、いうことで、煙火そのものの技術は平均点、 総合評価は最低以下の不許可モノという評価を下します。 アジアマンス協賛シーサイドももち花火大会のころを思い出して、 来年からきちんとやってください。


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芦屋町遠賀川花火大会

規模は小さい方になります。 川幅150mぐらいの遠賀川に台船を2隻配し、 そこから打ち上げ(スターマイン、3〜6号ぐらい?)、 河原にクレーン車で仕掛けを設置。 花火大会の典型です。 アナウンスも、「次はプログラムNo.5、大玉乱れ打ち、○○提供」 みたいなほんとうにコテコテでうれしくなります。

水中花火はモーターボートから目前に投入してくれ、 火の粉が頭上を越える素晴らしさです。 規模は小さいものの比較的近い距離での打ち上げは、迫力を生み、 最初から最後まで堪能できる素晴らしい花火大会でした。


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西日本大濠花火大会

福岡市の代表的な夏の名物です。 福岡市の中心・天神から地下鉄で2駅、 市民の憩いの場となっている大濠(おおほり)公園が会場です。 元々は福岡城の外堀だったところで、 大きな池(一周2km)の周囲が公園となっております。 池には中島が浮かび、 橋が架かっていて普段は散歩の人がぶらぶら歩いていますが、 当日はその島が打ち上げ場となり、 観客は周囲360度から鑑賞という花火大会としては 比較的珍しい会場設定になっています。 そのため、仕掛け花火も両側に設置して同時点火となります。

市街地で行うため、 大玉は使えません(6〜7号が限界でしょう)が、 打ち上げ点までの距離が近い上に、 開花高度が低めに設定してあるため非常に迫力のある見ごたえのあるものになっています。 しかも、毎年数万人を集める大イベントなためか、 スポンサーも気合いが入っていて、 とにかく派手です。 最初から最後まで途切れることなく花火が上がりまくり、 アナウンスは花火の合間を縫うようにしゃべっているほどです。

福岡は花火業者が比較的数多く、大濠はいってみればホームゲーム。 しかも3社競演ともなれば、花火師さんも気合が入ろうというものです。

協賛スポンサーの名前の仕掛花火→スターマイン→水中花火+打ち上げ という演出も王道です。高度の取り方、対打ちのタイミングなど、 非常にすばらしい仕事を見せていただきました。

今年の流行なのでしょうか、銀色、金色の派手で明るい玉が多用されていました。 クライマックスは、これでもかこれでもかの連打連打で、空が明るく照らされて おりました。

例年のことですが、また、今年も打ち上げ場の木が延焼しておりました。 2・3本は焼けてたかな? いいかげん慣れてしまいましたが、 いいのかねぇ??(^_^;;)


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筑後川大花火大会

(通称:久留米の花火大会)

絶賛!!

西日本でも最大級の花火大会です。通常、九州の花火大会は20時ぐらいから始めます。西にあるので日没が遅く、19時台ではまだ明るいのです。しかし、久留米は違います。19:30から始める。そうでないと12000発を打ち切れない。(苦笑)

会場はオーソドックスな河川敷を利用するタイプ。久留米市街地側に観客席、反対側に打ち上げ場。安全距離もたっぷり、打ち上げスペースも広く、尺玉も期待できます。

演出もオーソドックスな正統派です。スポンサーのアナウンス、仕掛け、スターマイン、3号、4号、5号とせりあげていきます。これがまだ明るいうちから展開されます。なんともったいない…。

演出が巧みで、プログラムの間がほとんどあきません。打ちっぱなし。間を持たすために4号を上げてくれるサービスぶり。やっぱ、4社競演ともなると気合入ってますなぁ。

締めに7号8号クラスがあがりはじめて、盛り上がってきたところで、「前半を終わります」のアナウンス。おいおい、あれで前半かよ…。(汗)

後半は豪華絢爛。水中花火も織り交ぜながら、尺玉の連射です。しかも、間の取り方が絶妙。8号まで息もつかせぬ早撃ちで魅せておいて、しばらくの沈黙をおいて、「どかーーーん」 余韻もたっぷりと尾をひき、天空に光の雨が降り注ぎます。

「とにかく、すばらしい。」としかいいようのない大会でした。


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特別編

精霊流し

(花火大会ではありません、お盆の行事です)

グレープの歌にも歌われた長崎市のお盆の行事、精霊流しに行ってきました。

「でかるちゃー」(信じられないの意©マクロス)ですね。あのしめやかな歌に「うそつき!!」といいたくなります。

まずは、昼過ぎに長崎駅に到着。観光がてら繁華街を歩いていると方々で爆竹や花火を売っております。在庫も半端でなければ、買う方も半端ではない。店先には「○○様ご予約」と書いたダンボール箱(たぶん10kgぐらい入ってる)が積んであるし。わたしも血が騒いで思わずおみやげに買う! なにが悲しくて観光みやげに花火買うの…。

はじまりは19時ぐらいと聞いていたが、すでに15時ごろから爆竹の音が轟いている。案内役のうめくん(長崎市出身)曰く、「ふつ〜」。ごくありきたりの長崎の夏の光景なんだそうな。

場所取りとばかりに17時ごろ県庁坂(ここが絶好の鑑賞ポイントらしい)に行くと、さっそく爆竹の音が近寄ってくる。精霊流しというのは、適当に始まるらしい。目の前をいく精霊船。絶え間なく点火され投げられる爆竹。あきれて見てると、うめくん曰く「まだまだ」。

さて19時も回って、交通封鎖もなされ、いよいよ本番。次から次への精霊船が県庁坂を上ってきます。坂があるためと、坂の先が合流点なため、どうしても渋滞がおこり、ここで小休止を取ることが多い。小休止といっても、行進が止まるだけで、花火部隊はここぞとばかりに、ドラゴンや打ち上げ物をセットしてバンバンやります。このあたりになると、みんな慣れっこなのか、爆竹が足元で破裂しても平気な顔。それどころか、不発弾処理とばかりにドラゴン花火を片手に点火に駆け込んでいくツワモノもおります。

去年あたりから流行しはじめた原爆(おいおい)なる技が方々で炸裂してます。これは、ダンボール箱のなかに爆竹を数百本山盛りに入れ、ドラゴン花火で一斉点火という荒技です。もはやバチバチではない。ぼふっという腹に響く爆発音とともにキノコ雲が上がります。その姿はまさに原爆。しかし、場所が長崎だけに気持ちは複雑です。地元の人間曰く、「いいの、長崎は災害慣れしてるから」(そういう問題かぁ?(^_^;;))

いたる場所から上がる爆竹の音はもはや連続音。喧騒なんてレベルではありません。いったい全部で何トン使ってるんだ? と思わせて、精霊流しは終わりました。耳がキーンとなってます。一発一発は小さな火ですが、集めて使うとすごいものになるというのを実感しました。

翌日、帰りの電車までの時間に稲佐山に登りました。ロープウェイで楽々。長崎夜景見物の名所です。さて眼下に市街地を見下ろすと、市街地のあちこちから、爆竹の音。ははははは…、腰がくだけました。

さて、「でかるちゃー」からの関連ですが、故長谷有洋さんのご冥福を心よりお祈りいたします。マクロスはわたしの青春でした。ありがとう、一条輝。やすらかに。


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