ドイツ連邦共和国の世界遺産、登録リスト 1行解説付き
オーストリア/スイス
ドイツ語版(厳選リンク付き)
- 1978 アーヘン大聖堂/ノルトライン=ヴェストファーレン州
アーヘンはフランク王国のカール大帝が8世紀後半に都を置いた町。大聖堂は司教座(キリスト教区の首都)に置かれた教会
- 1981 シュパイア大聖堂/ランラント=プファルツ州
シュパイアは神聖ローマ帝国の中心都市のひとつ。ロマネスク様式の大聖堂には11~13世紀の歴代皇帝の棺が安置される
- 1981 ヴュルツブルクのレジデンツ/バイエルン州
ヴュルツブルクを治めた司教のための宮殿で、18世紀に天才建築家バルタザール・ノイマンが設計する。バロック様式の傑作
- 1983 ヴィースにある巡礼教会(オーバァバイエルン地方プファフェンヴィンケル地区)/バイエルン州
巡礼者のための教会。18世紀中頃にキリスト像が涙を流す。「奇跡」を見に巡礼者が集まる。内部は華麗なロココ様式
- 1984 ブリュールにあるアウグストゥスブルク宮殿と別邸ファルケンルスト/ランラント=プファルツ州
ケルン大司教が18世紀初めに作らせたロココ様式の宮殿。ノイマンも設計に加わる。その後鷹(Falke)狩り用の別邸も
- 1985 ヒルデスハイムにあるミヒャエル教会と大聖堂/ニーダザクセン州
ともに11世紀初頭のロマネスク様式教会。創設者司教ベルンバルト作をはじめ、中世を代表する工芸品が多く残っている
- 1986 トゥリーアにあるローマ遺跡と大聖堂、聖母教会/ランラント=プファルツ州
「第二のローマ」古代ローマ帝国の北方の拠点。 野外円形劇場、城門(ポルタ・ニグラ)、皇帝浴場、宮殿(コンスタンティン・バジルカ)が残る
- 1987 ハンザ都市リューベク/シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州
中世最大の商業同盟ハンザの代表だったリューベクには、当時のおもかげを偲ばせる建物が数多く残っている
- 1990 ポツダムにあるサンスーシ宮殿と庭園/ブランデンブルク州
「憂いなし」の意味のフランス語。プロイセン王フリードリヒ2世が18世紀中頃に作らせたロココ様式の宮殿。庭園もみごと
- 1991 ロルシュにあるベネディクト会修道院と旧聖堂/ヘセン州
ベネディクト会の修道院の始まりは8世紀中頃に遡る。9世紀の「王の門」はカロリング朝の様式を伝える楼門として有名
- 1992 ランメルスベルク鉱山とハルツ山地の町ゴスラーの旧市街/ニーダザクセン州
銀・銅・鉛の産出は千年以上の歴史を誇る。1988年閉山。ゴスラーは皇帝直轄の経済都市で後に帝国自由都市になる
- 1993 バンベルク /バイエルン州
大聖堂をはじめ丘の上に教会が並ぶ。旧市街は戦争による破壊を免れる。川の中州に作られた旧市庁舎が町の象徴
- 1993 マオルブルン修道院/バーデン=ヴュルテンベルク州
12世紀創設のシトー会修道院。当時の修道院の全体像が分かる。後に新教の神学校。ヘッセの「車輪の下」の舞台ともなる
- 1994 クヴェートリンブルクの旧市街と聖セルヴァティウス修道院聖堂/ザクセン=アンハルト州
中世の街並みがそのままタイムスリップしたかのような旧市街。1200軒以上の木組みの家が中世そのままの路地に建ちならぶ
- 1994 フェルクリンゲン製鉄所(産業遺跡)/ヘセン州
フェルクリンゲンは製鉄の町。世界初の産業遺産は100年にわたり近代ドイツを支えた。製鉄の全行程を見ることができる
- 1995 メセル坑(採掘場) (自然遺跡)/ヘセン州
メセル近郊の石炭露天掘りの跡から大量の良質な化石が出土。始新世の動植物を知ることができる貴重な遺産
- 1996 ケルン大聖堂/ノルトライン=ヴェストファーレン (2004年危機文化遺産リストに掲載されるも、2006年同リストから削除)
ケルン駅前にそびえ立つ。600年以上の歳月を経て、近代ドイツ帝国成立の記念碑として完成したのは1880年
- 1996 ヴィテンベルクとアイスレーベンにあるルター記念地/ザクセン=アンハルト州
アイスレーベンはルターが生まれ亡くなった町。ヴィテンベルクには「95ヶ条の論題」を扉に貼り付けた教会がある
- 1996 デサオとヴァイマルにあるバオハウス/チューリンゲン州
バオハウスは1919年にヴァイマルに作られた職人・芸術家養成学校。デサオに移り、最後はベルリンで14年間の使命を終える
- 1998 古典主義のヴァイマル/チューリンゲン州
ドイツ古典主義の両頭、ゲーテとシラーの活躍した町。彼らゆかり建物や、当時と変わらない宮殿や公園などが残っている
- 1999 ヴァルトブルク城/チューリンゲン州
11世紀中頃から伝わる山城。中世のタンホイザの歌合戦の舞台。ルターが隠れ住み新約聖書を訳した場所としても有名
- 1999 ベルリンの博物館島/ベルリ-ン州
シュプレー川の中州にある博物館群。ペルガモン博物館、旧博物館、ボーデ博物館、ナショナルギャラリー などがある
- 2000 デサオ=ヴェルリツにあるヴェルリツ庭園王国 /ザクセン=アンハルト州
デサオの近郊デサオ=ヴェルリツには広大なイギリス式庭園が広がっている。庭園には数多くの小さな建築物がある
- 2000 ボーデン湖の修道院島ライヒェナオ /バーデン=ヴュルテンベルク州
3つの聖堂を持つベネディクト会修道院の島。島全体が世界遺産。コンスタンツの町とは長い自動車道で繋がっている
- 2001 エセンのツォルファアイン炭鉱・コークス産業遺産群(産業遺跡)/ノルトライン=ヴェストファーレン州
ツォルファアインはルール工業地帯の中心的な鉱業会社の名前。欧州最大級の炭坑はその建物の美しさでも賞賛されている
- 2002 シュトラールズントとヴィスマールの歴史的街並み/メケレンブルク=フォアポメルン州
ともにバルト海に面するハンザ都市。同じく一時スウェーデンの支配を受ける。尖塔を持つ教会、破風造りの建物などが残る
- 2002 コブレンツとビンゲンの間の、中部ライン地方の文化的景観/ランラント=プファルツ州
いわゆるライン下りの場所。65Kmにわたる両岸には、ワイン畑や小さな村や古城や城跡やローレライの岩などが続く
- 2004 ドレースデンのエルベ渓谷の文化的景観/ザクセン州 (2006年危機遺産リストに記載。3年後世界遺産から登録抹消)
ドレースデンはエルベ渓谷に沿う美しい町。建設予定の橋が景観を損ねるとユネスコからクレーム。市民投票の結果、橋を選ぶ
- 2004 ブレーメンの市庁舎とローラント像/ブレーメン州
ハンザ都市ブレーメンは市民の自治意識が強かった。その象徴が壮麗な市庁舎とその前に立つ中世の英雄ローラントの像
- 2004 バート・ムスカオにあるムスカオ公園(ムジャコフスキ公園) /ザクセン州 (ポーランドと共同)
ナイセ川を挟むイギリス式庭園。名前の由来は公園を作った侯爵による。第二次大戦後川が国境になり公園は二つの国に分断
- 2005 ローマ帝国の国境線/バーデン=ヴュルテンベルク, バイエルン, ヘセン 並びに ランラント=プファルツ州(イギリスの「ハドリアヌスの長城」と共同)
ゲルマン人の侵攻を防ぐためライン・ドナウ川流域に作られたローマ帝国の辺境防壁をリーメスという。城壁や物見櫓が残る
- 2006 レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフ/バイエルン州
「雨の町」大聖堂がそびえる旧市街はドナウ川の南岸。対岸の中州シュタットアムホーフ地区にはカタリーナ慈善病院がある
- 2008 ベルリンの20世紀初期のモダニズム集合住宅6地区/ベルリ-ン州
主にヴァイマル共和国時代の集合住宅で、今日の団地の原型となった。設計者には日本で有名なブルーノ・タウトもいる
- 2009 北海のヴァテンメーア (自然遺跡)/ニーダザクセン, メケレンブルク=フォアポメルン州 (オランダと共同)
ヴァテンメーアは「干潟の海」のこと。このあたりは世界最大の干潟になっていて、貴重な動植物種が存在する
- 2011 カルパティア山脈とドイツのブナ原生林(自然遺跡)/メケレンブルク=フォアポメルン, ブランデンブルク, チューリンゲン, ヘセン州
ドイツ中部・北西部にある15箇所のブナ林が、2007年登録の「東カルパティア山脈の原生林 (スロバキア, ウクライナ)」に追加された
- 2011 アルフェルトにあるファグス工場/ニーダザクセン州
20世紀の初めに建設された靴型を作る工場が残っている。外壁にガラスを多用したモダンな建物の数々は現在見ても美しい
- 2011 アルプス周辺の先史時代の杭上住居群/バーデン=ヴュルテンベルク, バイエルン州(スイス, オーストリア, フランス, イタリア, スロベニアと共同)
ドイツ国内は18件。全登録数6ヶ国、111件。ボーデン湖畔からは水没していた杭上住居が見つかっている
- 2012 バイロイトにある辺境伯歌劇場/バイエルン州
18世紀中頃のバロック式歌劇場。1世紀後リヒャルト・ヴァーグナがバイロイトに自分の祝祭劇場を作るきっかけともなった
- 2013 カセルにあるヴィルヘルムヘーエ公園/ヘセン州
バロック式庭園は、のちにイギリス式公園になる。中央を幾段にも下る人口の川が印象的。公園上部からは町が見おろせる
- 2014 ヘークスタにあるカロリング朝のヴェストヴェルクとキウィタス・コァヴィ /ノルトライン=ヴェストファーレン州
キウィタスは都市国家のこと。コァヴィ修道院領を自負的にそう言っていた。ヴェストヴェルクは修道院聖堂の西側の造りのこと
- 2015 ハンブルクのシュパイアシュタットとチリハウスを含むコントーアハウス地区 /ハンブルク州
港の運河沿いには歴史的な倉庫が並ぶ。隣接する商業地区にある煉瓦造りのチリハウスは、ハンブルク最初の高層ビルの一つ
- 2016 ル・コルビュジエの建築作品 /バーデン=ヴュルテンベルク州 (日本, フランス, スイスなどと共同)
20世紀前半に世界中で活躍した建築家。シュトゥトガルトの実験住宅群に2棟の作品を残す
- 2017 シュヴァーベン・アルプスにある洞窟群と氷河期芸術 /バーデン=ヴュルテンベルク州
最終氷河期を生き延びた人類の遺産。装飾具や動物などをかたどった小さな彫像が住居洞窟から発掘された
- 2018 ヘーゼビューとダーネヴィアケの考古学的境界線群/シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州
20世紀前半に世界中で活躍した建築家。シュトゥトガルトの実験住宅群に2棟の作品を残す
- 2018 ナウムブルク大聖堂/ザクセン=アンハルト州
オットー大帝により司教座が置かれた町に11世紀大聖堂が完成する。内陣には「ナウムブルクの名人」作の有名な彫像がある
- 2019 エルツ山地(クルスナホリ)鉱業地域/ザクセン州 (チェコと共同)
チェコとの国境に連なるエルツ山地は青銅器時代からの鉱山地帯。22カ所の鉱山と関連する建物が登録されている
- 2019 アウクスブルクの水管理システム/バイエルン州
町の2000年の歴史を支えた、市内及び近郊の22カ所の水道関連施設(水路・水門・貯水施設、等)が登録されている
オーストリアの世界遺産、登録リスト 1行解説付き
- 1996 ザルツブルク市の歴史的地区/ザルツブルク州
塩の砦という名のこの町は長らく大司教が統治していた。特にバロック期の建物が美しい。モーツアルトの生家も残っている
- 1996 シェーンブルン宮殿と庭園/ヴィーン州
狩猟用の宮殿だった「美しい泉」はマリア・テレジアの時代に拡張され、ハープスブルク王家の栄華の象徴となる
- 1997 ハルシュタト、ダハシュタイン、ザルツカマーグートの文化的景観/オーバエ-スタライヒ, ザルツブルク, シュタイアマルク州
アルプスの東端は多くの氷河湖が美しい景観を作っている。ハルシュタトは「世界で一番美しい湖畔の町」と言われる
- 1998 ゼメリング鉄道/ニーダエースタライヒ, シュタイアマルク州
1854年開通。世界初の山岳鉄道として知られる。多くのトンネル、石橋、鉄橋が全長42Kmにわたって続く。峠は海抜965m
- 1999 グラーツ市、歴史地区とエゲンベルク城/シュタイアマルク州
オーストリア第2の町。旧市街には様々な様式の建物が並ぶ。エゲンベルク城は現在美術館で、2010年に拡張登録された
- 2000 ヴァハオの文化的景観/ニーダエースタライヒ州
ヴァハオは36Km続くドナウ川の渓谷。多くの古城や修道院がクルーズ船を見下ろす。11世紀末建立のメルク修道院が特に有名
- 2001 ノイズィードラ湖(フェルテー)の文化的景観/ブルゲンラント州
国境の湖。フェルテーはハンガリー語。琵琶湖の半分の大きさに最大水深は1.8mしかない。渡り鳥やその他の野生生物の楽園
- 2001 ウィーン歴史地区/ヴィーン州
ホーフブルク王宮やゴシック様式のシュテファン大聖堂、さらに19世紀後半の都市改造で市壁跡にできた華麗な建築物群が魅力
- 2011 アルプス周辺の先史時代の杭上住居群/オーバエースタライヒ州(スイス, ドイツ, フランス, イタリア, スロベニアと共同)
全登録数6ヶ国、111件中、オーストリア国内は5件。ザルツブルクの東のアタゼーやモントゼーに遺跡がある
- 2017 カルパティア山脈と欧州各地域のブナ原生林(自然遺跡)/ニーダエースタライヒ, オーバエースタライヒ州 (他11カ国と共同)
2011年に登録された「カルパティア山脈とドイツのブナ原生林」が、その後スペインからルーマニアまで拡大した
スイスの世界遺産、登録リスト 1行解説付き
- 1983 ベルンの旧市街/ベルン州
三方をアーレ川に囲まれたスイスの首都ベルン。ラオベン(軒先のアーケード)を持つ石造りの中世の街並みが残っている
- 1983 ミュスタイアにある聖ヨハネ修道院/グラオビュンデン州
8世紀後半に作られたベネディクト会修道院。レトロマンス語圏にある。20世紀の修復中に12世紀のフレスコ画が見つかる
- 1983 ザンクトガレン修道院/ザンクト・ガレン州
修道士たちによる学問の一大中心地で、芸術、文学、科学などが行われた。華麗な図書館には多くの貴重な写本が残っている
- 2000 ベリンツォーナの3つの城/ティチーノ州
イタリア語圏の町。4世紀半ばのローマ帝国の要塞が起源。3つの城は、カステルグランデ、モンテ・ベロ城、サソ・コルバロ城
- 2001 スイスのアルプス、ユングフラオ、アレチュ(自然遺跡)/ベルン、ヴァリス州
ベルン高地アルプスの3大高峰、アイガ、メンヒ、ユングフラオ。ユングフラオから南に延びる欧州最大最長のアレチュ氷河
- 2003 サン・ジョルジオ山(自然遺跡)/ティチーノ州
標高1097mの山からは、中生代三畳紀の魚類や爬虫類などの多くの化石が出土する。その数は現在までに1万点
- 2007 ラヴォーのぶどう畑/ヴォー州
レマン湖の北岸ローザンヌから東に、湖を見下ろすように階段状のぶどう畑が続く。栽培はローマ時代から千年以上続いている
- 2008 テクトニクス・アリーナとしてのサルドナ(自然遺跡)/グラールス, グラオビュンデン, ザンクト・ガレン州
テクトニクスは岩石圏の運動のこと。アリーナは活動の舞台。広い範囲に造山活動の断層が見られる。サルドナは山の名前
- 2008 レーティシェ鉄道/グラオビュンデン州
氷河特急を走らせる私鉄の、アルブラ線とベルナニ線が周辺の景観とともに世界遺産になっている。ラントヴァッサー橋が有名
- 2009 ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル/ヌシャテル州
ともに時計産業で栄えたフランス語圏の町。ラ・ショー=ド=フォンは道路が格子状に伸び、時計工房と住居が一体となっている
- 2011 アルプス周辺の先史時代の杭上住居群/スイス全土(オーストリア, ドイツ, フランス, イタリア, スロベニアと共同)
全登録数6ヶ国111件中スイス国内は56件で最も多い。遺跡はヌシャテル湖からボーデン湖にかけての北部の湖に広く点在する
- 2016 ル・コルビュジエの建築作品/ヴォー州, ジュネーブ州(日本, フランス, スイスなどと共同)
20世紀前半に世界中で活躍した建築家。レマン湖畔のヴィラとジュネーブの住宅を残す