EF62

1963年に碓氷峠(横川~軽井沢)を粘着運転に切りかえるのに際し、 横川~軽井沢間をEF63と協調運転し、かつ信越本線を通しで運行するために開発された機関車です。 機器構成はEF63と共通でEF63から碓氷峠用の装備を簡略化した構成となっています。

軸重を16tに押さえるため、C-Cの軸配置・ 軽量化のため天井やモニタなどにFRPを使用するなど、独特の形態をしています。

1号機は試作機、いわゆる1次型(2-24)は1963年に、その後1969年に掛けて設計を変更した2次型(25-54)が増備されました。

ほぼ信越本線の列車に専用で使用されていましたが、 1984年に碓氷峠を通過する貨物列車が廃止になると大量の余剰が発生し、 電気暖房を搭載していたことから余剰車は下関に転属、東海道本線の荷物列車けん引に使用されました。

転属せずに残ったほうは信越本線で使用されていましたが、 1997年の碓氷峠の廃止とともに用途を失い、1999年に形式消滅しています。

旧くはトミックスから2次型が模型化されていました。 碓氷峠廃止後、EF63とともにトミックス、KATOからそれぞれいろいろなタイプが発売されています。 私の持っているのはKATOの前期形(1次型)と、2020年に荷物列車とともに発売された下関運転所。 はめ込み式ナンバーの隙間が気になり稼働率が低かったのですが、 ナンバー埋め込みとメタルインレタ化にチャレンジしてみました。

EF62 前期形

KATOの前期形です。 EF62は国鉄時代、高崎と篠ノ井にいましたが、KATOの前期形はプロトタイプが高崎二区です。 ホイッスル原型(篠ノ井所属のものは位置が端によりかさ上げされてます)、 助手席側雨どいも短いです。
ちなみにこの後発売された「後期、JR仕様」は旧篠ノ井所属機をプロトタイプとしていますね。 ただ、テールライトが外バメ式に改造されてるのでC'アンテナの取付穴を埋めただけじゃ国鉄時代に戻せません…。

いつものように台車・スカートスカート、解放テコ、手すり、信号炎管/避雷器、パンタグラフと 成型色になってる部品を一通り塗装しました。

で、今回は更にナンバーもメタルインレタ化。これは後で書きます。

屋根。 高二なので、屋根は大宮工場の黒塗りです。「雨どいの内側」を黒く塗装しました。

ランボードの側面はマスキングして青を残しました。 ただ、実物見てるとこの部分はただの木の板で塗装されてないようにも見えるんですよね。こんなに厚みないし。 模型的表現ということで。

抵抗器の排風口の前(ネジが2列でモールドされてる部分)はグレーです。

屋根の汚し塗装

最近仕上げてる電気機関車に共通で、こんな順序でやってます。

車体側面をマスキングしたうえで、艶消しクリアを吹き付けてベースを作ります。 (これをやらないとこのあとやる汚し塗装の塗膜が薄く、はがれます)

ダークアース + ダークグレー を全面に薄く吹き付け。

さび色(黄かん色 + ダークアース + レッドブラウン + 灰色) を車体中心線付近に吹き付け。 やや結構オレンジ色っぽいかなー、くらいでちょうどよいと感じてます。

これから碓氷峠を下るの図。

小さいころ、私の家族は好んで臨時列車を使っていました。 祖父母がいたのがあるかもしれません。 遅くて人気がなかったのかお盆の時期ですら大抵がらがらでした。

軽井沢に一度家族旅行に行ったことがあるのですが(どこに泊まったか記憶なし…)、 帰りは中軽井沢から臨時の「急行 軽井沢号」。たしか1984年頃だったかと思います。 12系客車でした。
峠の釜めしは小学生にはさほどおいしくもなく(なぜアプリコットを入れてるのか当時は理解できなかった)、 12系のトイレがまだ流し管で、線路が見えたことばかりが記憶にあったり…。

軽井沢で前に行けばこの光景が見られたはずなのですが、今となっては遅し。

EF62 後期形 下関運転所

こちらは下関運転所転属後の姿です。

EF63との協調運転がないので使用することがない元空気ダメ引き通し管、釣り合い管のホースが撤去され コックのみに。 電暖ジャンパ栓受けは入れ換えの際に邪魔なので内側に移設。 ホイッスルカバーを撤去などの改造が行われています。
電暖ジャンパ栓受けの移設に際し前面のステップは大きく切り欠かれました。
このほか、模型では関係ありませんが発電ブレーキを使用しないことから逆転機が発電ブレーキに投入されないよう ストッパが追加されてたりもします。

模型は2020年、マニ44・オユ14とともに発売。 マニ44は発売後数日で蒸発しましたが、この機関車のほうは半年経ってもまだ手に入るようです。

ナンバーの埋め込みとメタルインレタ化

ナンバーはトレジャータウン TTL881-11B 機関車ナンバー1B(つや消しタイプ)です。 ナンバーを埋めた後、パテで仕上げてから塗装。 側面は凹みが残ってしまい、いまいちうまくいってませんがもとのブロック式よりはいい感じです。

クリーム色1号は前面のみ再塗装。 FARBEとガイアノーツ、更に白を混ぜて近い色を作ったのですが この色、同じ色作るのがかなり難しいというか、私には無理でした。 蛍光灯の下とLEDの下で色味が変わったりして、場所により濃さが変わる…。 レタリングもないので諦めてほぼ全塗装しています。

青15号は部分塗装です。モリタの青15号がほぼ近いのですが、ガイアノーツの「原色シアン」でちょっと青っぽく調整しました。 モリタの塗料は塗膜がやや弱いようなのでクリアを混ぜたうえでかなり薄く薄めて 下地となじませるようにしています。

メタルインレタを転写する際の自分的コツです。

  • こすらない。面倒になるとやってしまいますが、全く効果がないばかりか、結構な確率で下地の塗装をはがします。 上から押すようにします。

  • 位置決めは転写後に。 印刷のインレタと違い固いので、転写後に竹串の先などでずらすことができます。 転写時はとりあえず「近くに置く」ようにして、 そのあとで文字をみながら位置を微調整します。完全に浮いてしまっても 上から押せばもう一度くっつきます。

メタルインレタ、いいですね。 EF64は製品付属の成型品ナンバープレートでいいかな、と思ってたのですが、この仕上がりみたら 俄然やる気になっちゃいます…。

ナンバー選択

高二から下関に転属したタイプがプロトタイプなようです。 工場入場時に屋根は青く塗りなおされたのでは…と思い青くしました。 (実際、30号機で屋根が青い写真があります)。

後期型、高崎から下関への転属ですのでナンバーは29-37が該当します(うち35は事故廃車で欠番)。
うち30は前面クリーム色の塗り分けが手すりの銀までいっている変形塗り分け、 36, 37はナンバーの取り付け位置が低い変形車です。 せっかくナンバーを埋めたので36, 37にしてもよかったのですがイマイチかっこよくなかったので、 無難に31と34を選択しました。

ホイッスル・信号炎管

ホイッスルは金色にしようかと思ったのですが、上の写真で青く塗装されてる…。 車体色に塗装されてることもあったんですね。

前期形と共通ですが、信号炎管は青15号に塗装後、上半分を銀色(ステンレス色)にしています。

FRPモニタ

FRPの屋根・モニタですが製造時は白〜ライトグレーで、ちょうどKATOの製品の色だった思うのですが時間がたつにつれて 黄土色〜さび色の素敵な色合いに変わってゆくようです。 特に下関転属後の写真は、さび色に近い色が多いようで。

モニタ全体を艶消しタンで塗装(ライトグレーにさび色を混ぜたのですがタンになりました…)し、 エナメルのダークグレー・茶色で色ムラがある下地を作り、 更に他と合わせてウェザリングをすることでそれっぽくしてみましたが、いかがでしょうか。 やりすぎ?

屋根肩の採光窓もFRPで同じような色かと思います。 こちらはエナメルの灰色+さび色(583系の屋根に使った色)で塗りました。

あと、なぜかFRP色になっちゃってる高圧引き込み部を車体色で塗装してます。 パンタ台もちまちま色入れ。

荷物列車をけん引。 まともなワキ8000が欲しい…。 荷物列車に限らず臨時列車で81系やら20系やらいろいろ組み合わせがあったようなので、楽しもうかと思います。

EF62も枝番 -2 が欠番なので後期型、国鉄時代が出てくると信じてますが…。 篠ノ井をプロトタイプにしたやつが欲しいかも。

EF63

EF63です。

碓氷峠の66.7‰の急こう配を通過する列車の補機として開発された機関車です。 常に重連で運用され、全列車の谷側(横川方)に連結されます。

信越本線横川-軽井沢間を通過する全ての列車に連結されます。 電車のうち、169系、189系、489系はEF63との協調運転が可能で最大12両で運行可能、 その他の電車はEF63に無動力で推進/けん引され、最大8両に制限されます。 客車・貨車はEF62にけん引され、EF62とEF63が協調運転を行います。 重量は客車は360トン、貨車は400トンに制限されていました。 まぁこんだけ重いものが鉄の車輪で7%の勾配を通るわけですから、すごいものがありますよね…

押し上げるのが大変なイメージがありますが実際に大変なのは下るほうで、 特殊装備はほとんど下る際、もしくは勾配での停止時に使用するものです。 電磁吸着ブレーキやら電気子短絡ブレーキやらカム式転動防止ブレーキやら。 主に使用する発電ブレーキはEF62と共通なシステムの強制通風式で、屋根の排気口から排気しています。

KATOの1次型2両、2次型2両の合計4両を仕上げました。

屋根です。

加工はEF62とほぼ共通で、パンタグラフ・信号炎管などの各種屋根上機器の塗装と屋根上のウェザリングです。 ホイッスルは青の部品が付属しておりまして、本物の色がいまいちわからなかったのですが DF200用のパーツをつけて金色にしておきました。

避雷器は1次型・2次型ともにLA17がついてるのですが、国鉄時代はLA16だったりカバー無しのものがついてたようです。 2次型はLA16に、1次型はカバー無しのものにしました。 カバー無しのものは、トミックスの分売パーツです。LA17(カバー無し)として販売してるのですが これってほんとにLA17なんでしょうか…。 全体を白で塗装後に支持部を灰色に、金具を銀で塗装。細かくていろいろ大変です。

KATO・トミックスともにEF63はランボードは青、ランボード内側は黒で塗り分けられてるのですが、 なんか落ち着かないのとランボード上面が青には全く見えなかったので、 ランボード含めて雨どいの内側を黒で塗りました。 ランボード側面は青で塗装してます。木製だったかと思うので、上面を茶色系で塗るとよかったかもしれません。 排風口の前は灰色で。

急行を押し上げるの図。165系なんですが。
169系発売されませんかね…。既にある金型のナンバーを変えるだけでいける気がするのですが。

ナンバーのメタルインレタは付属のものではなく、トレジャータウンのマット銀ものです。 つやが落ち着くのと、サイズも小さめでいい感じです。

横川で近づいてきたところをイメージして。 手前の169系のドア開けて中身を作りこむといいんでしょうが、 プラモでなくNゲージなんでちょっと勿体ない…。

じゃらじゃらしたジャンパ連結器まわり。 ねずみ色1号で塗装後、赤・クリーム色・緑・橙を色入れ。 製品では彩色が省略されているクリーム色・緑も結構目立ちます。

ジャンパケーブルのうち細いほうはφ0.25で作り直して曲げ方をかっこよくしてます。 が、ちょっと細くてKE70とのバランスが悪かったかも。 3次型のパーツが手に入るならそっちがよいのですが、今はEF63のジャンパケーブルの部品は全く手に入りません…

エアホースはいつものごとく銀河のロスト製です。

4両のEF63を並べて机の上で右、左の動かしてます。 ひたすら1mを右、左に移動するだけなんですが、かっこいいっす…。

今回は1両だけ、運転室の窓を開けたうえで機関士をのせてみました。 EF63は常に1エンド側の運転台が使われるためこれで運転方向が限定されることはありません。 このアングルは、「ヤマケイのレイルシリーズ 国鉄全線車窓の旅」をまねたものです。

ちなみにカバー無しの避雷器にもご注目。

KATOのおぎのや人形も買ってしまいました。先日発売された小型駅舎と合わせて 横川駅のプラットホームをやってみたいんですが、そのうち。

EF63は運転台が2ピースに分割されています。 機関士をのせるのもあり、ちょっと塗装してみました。 全体を緑色(青緑1号と濃緑色を適当に混ぜたもの)に塗ったうえ、シートとマスコンに色さし。

189系の国鉄色と169系あたり、そろそろ発売されませんかね。 EF62 篠ノ井タイプと合わせて碓氷峠シリーズなんでいかがでしょう?地味すぎかな。。。