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EXCEL孫の手−73

	

「システム化の注意点」

 Q.来ました、来ました、ついに・・。    全営業マンの売上を、毎週火曜日までに集計できるかと言う打診が・・。  A.エクセルの腕前が上がると、どうしてもこういった大規模な集計をまかさ    るようになるみたいですね。  Q.でも、上司の口振りから察するに、かなり高度な処理を行わなければなら    いような気がしますが。  A.今までやってきたエクセルのいろいろな手法は、あくまで自分のPCの中    で完結していましたが、今度はそうはいきません。    他人が作ったデータを集めて、一つに集約する作業には、どんな関門があ    るか考えてみましょう。    まずは、思いつくままにポイントを書き出します。    1.データ入力のフォーマットを統一する。    2.事前に計算式を埋め込み、変更されないよう保護する。    3.入力から集計までのフローチャートを作成する。    4.例外は絶対に認めない。    5.期日管理を遵守させる手法を考え出す。    6.フローに添って、集計用にフォーマットを整備する。    7.トータルテストで、システムとして機能するかを、検証する。    8.マニュアルを十分整備する。    9.システムの目的を分かって貰う説明会を開催。   10.試験運用で、矛盾点などを洗い出す。・・・・・・・  Q.エーッ、こんなにあるんですが。    でも、一つ一つ大事なことばかりですよね。  A.そうですね。大事なことばかりです。    しかも、まだまだあるんですよ。    最終的なデータ提出には、そのデータの信頼性やデータから読みとることの    できる情報が、全部採取されているかとか、作業性に問題はないか等々、実    にさまざまな視点からシステムを構築していくことになります。  Q.今までの話だけでも、生半可な気持ちではとても出来ないことが、よく分か    りました。    と言うことは、エクセルと言えども、システム的に扱おうとすると、柔軟な    運用は全く出来なくなってしまうのですね。  A.柔軟という言葉は、無いに等しいと考え下さい。    更に以下の要因も、見逃すことは出来ません。    データ量が、エクセルで扱うのに適当か、複数年に渡って使うことが可能か    自動化を取り入れた方がよいか、などなど。    加えて、パソコンの環境にも気を配りましょう。なぜなら、会社の規模が大    きくなるほど、一度に大量にパソコンを設置するのは、財政的に困難でしょ    うから、一般的には複数世代に渡るパソコンが社内に存在しています。    一番古いOSと一番古いアプリケーションソフトで動作することが、設計に    当たる上での重要なポイントになります。  Q.いやぁ、本当に沢山の関門があるんですね。    とても、いっぺんには、大規模なシステムなんて組めませんね。  A.更に、さらに大事なことがあります。  Q.えっ、まだあるんですが。  A.一番基本的な問題です。    システムを作ったけれど、実際の運用は営業マン個人が行うわけです。  Q.そうか、全員のエクセル操作レベルを考え、最低の人のレベルに合わせるか、    有る一定のレベルまで引き上げる事か必要ですね。    それに、レベルの低い人が知らずに自動化された部分を動かすなんて、考え    ただけでも、とても危険ですよね。  A.そうですね、今の発想こそシステム構築の鍵とも言えるところです。    トップダウンの思想は尊重しても、ボトムレベルの認識はかなりの地位の人    でも、見逃してしまうかわざと目をつぶってしまうんですね。    結果的に動かないシステムだけが残されてしまうことになるんです。  Q.でも、私の上司はパソコンに疎い方の代表のくせに、言うことだけはうるさ    いからなあ、どうしたらいいのか・・・。  A.とっておきの解決策を授けましょう。    下書き程度のレベルで構いませんから、フローチャートを作ってください。    A3用紙で、5枚くらいが適当だと思います。     そして、このシステムのために置き換えが必要なパソコンの費用見積と、    人員のスキルアップに要する時間と費用の見積も作ります。    その資料を提出し、その上司が本当にパソコンが分からないのなら、その資    料が分からずギブアップするか、分かった振りして指示してくるかのどちら    かです。    フローチャートは、かなりの人が見たことはあっても、その本当の意味を理    解している人は、実はとても少ないんです。    そのために、予め豪華な仕様のパソコンを考えた方がよいですね。    もし、ゴーサインが出たとしても、環境の改善がよりよく出来るのだから。
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