1994年春、ついに私も結婚だ。そして新婚旅行。飛行機が大嫌いな私だが、一生の思い出に
なるところに行きたいと二人で考え、エジプト方面に行くことにした。出発当日、成田空港の
カウンターでは時期が時期だけに新婚さんでごった返し。女性達はみんなミニスカートと
ヒールの高い靴を履いている。そんな中にジーンズにラフなシャツ、そしてバッグの中には
サソリ対策のブーツと虫よけスプレーを入れた風体、そう、何を隠そうエジプトツアー組だ。
エジプトツアー組は新婚旅行と言えども一種変わった雰囲気なのである。熱い国に行くのに
スーツ系の服など不要だ。そんな事を考えてる間に搭乗時間が近づいてきた。ブリティッシュ航空の
飛行機に乗り込み、まずは一路ロンドンに向かって出発だ。
約12時間後、ロンドンのヒースロー空港に到着。ここで4時間待って飛行機を乗り換え、
ギリシャのアテネに行くのであるが、このツアーはリッチなツアーではないのでギリシャに
着くまでガイドはおらず、ツアーの面々もギリシャに到着するまでお互いの顔を知らない。
要するにギリシャまでは単独行動で行くシステムという訳だ。
特にトラブルもなく無事に飛行機を乗り換え、予定通り数時間後にギリシャのアテネに到着した。
あらかじめ聞いていた待ち合わせ場所まで行き、ここでガイドとツアーの面々に初対面。
驚いた事にツアーの面々は2組を除いて全て新婚旅行組である。新婚以外の2組の内、
1組は初老の夫婦で、もう1組は3人組の埼玉の社長達だ。煎餅を販売する中小企業の経営者の
仲間の方々という話だった。ほとんど新婚旅行者なのにこの3人組だけ浮いている感じでは
あったが、この3人組のお陰で妙にツアーのバランスがとれ、味のある旅行になった。
人間的にも実に愉快な3人組だった。
これから帰国するまでこの人達と行動を共にする訳だが、私達と同じような考えの新婚が
こんなにいるとは夢にも思わなかった。
いよいよ観光の始まりだ。パルテノン神殿や彫刻の美術館を回り、お洒落なレストランで食事を
楽しんだ。パルテノン神殿に通じる道は全て大理石で、しかもそこをバスで上がっていく。
ここでは大理石などほとんど価値がないようだ。物の価値というのはあって無いようなもの
かもしれない。

見よ!パルテノン神殿
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しかし私にとってはパルテノン神殿などもあまり興味はない。私がここで期待してるのは、
「エーゲ海のクルージング」なのだ。エーゲ海と言えば、昔映画で見た「エーゲ海に捧ぐ」が
思い出される。あの独特の白亜の雰囲気、あれを味わいたくてやってきたのだ。
しかし現実はそうではなかった。確かにエーゲ海をクルージングし、途中で2つの島に寄って
観光したのであるが、想像していた雰囲気とは少し違っていた。はっきり言って期待はずれだった。
私の期待がいけなかったかのかな。余計な期待はしない方がいいみたいだ。
アテネの街は特にこれといって目立つものもなく、ああここがアテネかという感じだった。
要するにどこの国にもあるような街の雰囲気だ。食べ物もまずくも美味しくもなく、ああこれが
ギリシャ料理ねという感じだった。とにかく全体的に刺激が足りないところだと感じた。
時間の関係でさっさと通り過ぎるような観光なので仕方がないが、もっとじっくり観光すれば
色々発見できたかもしれない。
観光の途中でお土産の買物をする為に店に立ち寄ったが、観光ルートに入っている店は高価な店ばかり。
バッグや洋服が5万から10万。何でギリシャまで来てわざわざ洋服買わなきゃいけないの。
これじゃあ三越あたりで買物するのと同じではないか。全く冗談じゃないぜ。私はギリシャに行った事の
ある知人から安い店の場所を聞いていたので、その事をガイドに話してみたところ、そんな所は危険で
安くないから行かないで下さいとの事だった。危険結構、行ってみようじゃないの!
日本人旅行者は平気で高いお土産を買うので、どうしても高価な店がルートに入ってしまうようである。
それはそれで良いとして、私のような貧乏人はそういう店は遠慮させていただく。
夜になって知人から聞いた場所にタクシーで出かけてみた。昼間入った店とはまるで大違い。
これぞお土産という品物が豊富にあり、しかも大変安い。これだよこれ、探してたのは。
そんなこんなであっという間に出発してから3日が経ち、いよいよ明日からは待ってましたの
エジプトである。バッグの中のサソリ対策ブーツを確かめ、ギリシャ最後の夜に乾杯!
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