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「皆さん親切な方々だって事はようく分かったよ。昼間帰ってきた時どうも様子がおかしいと
思ったんだ。なる程ねぇ、家族揃って明日っから楽しい旅行に出る。その前の日に俺が帰って
きた。『寅ちゃん、元気かい?』、なんて作り笑い浮かべやがって。ほんとは腹ん中で、『ああ、
嫌な時に嫌なヤツが帰ってきた』って、そう思ってたんでしょ? 『寅ちゃん、せっかく帰ってきて
くれたのに残念だったね。明日みんなでもって旅行に行くんだよ』。なぜそう言ってくれねぇ
んだい? だったら俺だって、『そうかい、せいぜいみんなで楽しんできてよ』。財布の中から
五千円札の一枚もスッと出して、みんなに『餞別だよ』って渡せたものを。なんだいコソコソまるで
悪い事でもするみたいに。俺はそんなに厄介者か! ああそうだそうだ、俺はどうせ疫病神よ、ふん!
九州だって? 上等だよぉ。飛行機か? 結構だねぇ。結構毛だらけ猫灰だらけお尻の周り
はクソだらけだい!」
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