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第4作はマドンナの色が濃い作品である。1作〜3作もマドンナは登場するが、第4作のマドンナはそれまでの
マドンナとは役割が少し違う様に思える。前作までのマドンナは登場人物である印象を受けるのに対し、
第4作のマドンナはその存在感を大きく感じる。「男はつらいよ」ではマドンナの役割が大変重要であり、尚且つ
マドンナととらやを結ぶ接点も何かしら必要であると思う。そういう意味では第4作のマドンナはとらやに
限りなく近い存在であり、映画の中の中心的な役割を担っていると言える。
珍しいシーンは冒頭の競馬場の回想シーンである。この回想シーンについて少し考えてみた。
もしここでの回想シーンがなかったらどうなるのか。たぶんなくてもとりあえず第4作のシナリオは成立するだろう。
では、このシーンを回想ではなく本編の流れに入れるとどうなるのか。それでもシナリオは成立するが、これでは
あまりにも単調な流れに感じてしまうだろう。やはり競馬で100万円稼ぐにはそれなりの経緯が必要であり、
またインパクトも必要である。そこで回想シーンで「ワゴンタイガー」なる競争馬を登場させ、後でタコ社長が
その事をとらやで説明する事によって大儲けする寅次郎の印象を強くする狙いがあったのではないだろうか。
笑えるシーンは名古屋からタクシーで帰ってきた時の寅次郎の態度である。タクシーから降りると「いつ来ても相変わらず
小汚ねぇ店だなぁ」、などと言いながらとらやに入ってくる。稼いだ金額をもったいぶってなかなか言わず、遠まわしにした挙句に
おいちゃんに100万円の入った財布を放り投げて中を見させる。大笑いできるシーンではないが、寅次郎の性格が増幅されて
演出されているところが面白い。
ハワイ旅行で羽田に行く時のシーンも結構笑える。寅次郎は胸に真っ赤な日の丸を付けた白のスーツに身を固め、雪駄を履いて
いつものカバンを持っている。おいちゃんとおばちゃんは総理夫妻の様な雰囲気で、特におばちゃんの若づくりな服装には
びっくりしてしまう。
落ち込んでいる春子を元気づける為に寅次郎が春子と水元公園でボートに乗るシーンも笑える。職工達と共謀し、
湖でボートに乗る二人の近くを職工達がギターを演奏して唄を唄いながら別のボートで通り過ぎるというシーンであるが、ボートに
乗った職工達が『♪愛、あなたとニ人〜』、などと合唱しながら寅次郎達の近くを通る。元気づけたい気持ちと
惚れた気持ちが混同し、ちゃっかりこの様な唄を選んでいるところが面白い。
前作の第3作に引き続き、第4作も山田洋次監督の監督作品ではない。山田洋次監督が監督をしなかった作品は全48作中で
第3作と第4作の2作品のみである。そして第4作のタイトルは「新・男はつらいよ」であり、タイトルだけ見れば
まだシリーズ化への踏ん切りがついていない様に思える。
ここで同年代の洋画「猿の惑星」と比較してみる事にする。
「猿の惑星」シリーズは全部で5作品あり、タイトルは「猿の惑星」から始まり「続・猿の惑星」、「新・猿の惑星」、
「猿の惑星・征服」、そして「最後の猿の惑星」となる。ここで注目するのは、4作目で初めてサブタイトルとして
「征服」が付けられているという点である。これは3作目の「新・猿の惑星」の興行成績が良かったからに他ならない。
「新・猿の惑星」の成功により、その次の作品で初めてサブタイトルが与えられたという事になる。
この仮定をそのまま「男はつらいよ」に当てはめて考えてみると、第4作「新・男はつらいよ」は以後の「男はつらいよ」の
明暗を分けるという意味で大変重要な位置付けの作品であったのではないかと思える。
マドンナがとらやに下宿するシナリオは以後の作品でも度々登場する。そういう点では以後の作品の原点の一つを第4作が作り
出した事になる。
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