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三越デパートの紙袋を抱えてとらやに帰ってきた櫻。明日から行くとらや一家の九州旅行の為の買物である。
おいちゃんは寅次郎の事を考えると気分がすぐれないらしい。万が一旅行中に寅次郎が帰ってくると
面倒な事になる。それを考えると憂鬱になるのであった。
案の定、その事をタコ社長に話していると寅次郎が突然帰ってきた。とらやの面々は夜になっても明日から
旅行に行く事を寅次郎に言えずにいた。そこへ御前様が餞別を持ってとらやにやってきた。御前様が
「寅が留守番をすればいい」と話したところで、みんなで旅行に行く事が寅次郎にばれてしまった。
これは寅次郎に話が伝わるケースとしては最悪である。
どうして最初からスッと言わなかったのかと怒り出す寅次郎。おばちゃんが泣き出し、櫻と博が
何とか寅次郎をなだめて一件落着となった。そして寅次郎が一人で留守番をし、とらや一家は翌日から
九州旅行に出掛ける事になった。
出掛けた日の夜、旅行を楽しんだ一行は寅次郎に電話する事をすっかり忘れていた。時計が夜の8時を
回ってから電話の事を思い出し、とらやに電話すると酔っ払いながら怒っている寅次郎が電話に出た。
家族のみんなを一人づつ電話に出させ、なかなか電話を切らない寅次郎。小さな満男まで電話に出させる始末で、
結局電話代を2,800円も使うハメになった。
2日目の夜、とらやに電話するとまた寅次郎が突っかかってきた。電話口でおいちゃんと喧嘩になり、
家を出ようとするが誰もいない事を思い出してか、寂しくて自分の部屋に篭ってしまった。みんなが帰って
くる日、寅次郎は風呂を沸かしてシャケの切身とお新香を用意し、部屋の片付けまでしてみんなを優しく
出迎えた。
江戸川土手の歩道を歩く櫻と満男。土手の斜面に寝そべっている男が一人、櫻をじっと見つめている。
怪しい男だと思った櫻は満男の手を取り急いでとやらに帰った。男は櫻の後を追ってとらやの近くまで
やってきた。変な男が追いかけてくるとおばちゃんに言うとすぐに寅次郎を呼び、とらやの店先まで来て
いたその男を羽交い締めにした。しかしその男は痴漢などではなく、寅次郎の小学校時代の同級生
の柳文彦(前田武彦)だった。文彦は羽交い締めにされた時に思わず寅次郎の名前を呼び、難を逃れた。
通称デベソの柳文彦は小さい頃は父が開業医をやっており、いつも石鹸の匂いをプンプンさせた裕福な子供
だった。しかし今は医院もなくなり、放送作家をやりながら細々と暮らしている。再会した二人は意気投合し、
文彦の家まで行って酒を酌み交わした。二人が酒を飲んでいる家には文彦の妹・りつ子(マドンナ・岸恵子)
が住んでおり、絵を書いて生計を立てていた。
りつ子の書きかけの絵を何気なく触った寅次郎は、誤って絵に絵具を塗ってしまった。そこへちょうどりつ子が帰って
きた。絵具を塗られた自分の絵を見て怒りだすりつ子。謝っても許してくれないりつ子の態度に寅次郎も怒りだし、
寅次郎はそのまま家に帰ってしまった。夜になっても昼間の事で気分が冴えない寅次郎は、不機嫌なまま
自分の部屋に篭ってしまった。
しばらくしてりつ子が一人でとらやにやって来た。追い返して塩をまくつもりでいた寅次郎だったが、女らしい
優しい態度のりつ子を見たとたん、そんな気持ちはいっぺんに引っくり返ってしまった。とらやで食事を
しながらりつ子と話している内に、例によって寅次郎はりつ子に惚れてしまったようである。
ある日りつ子は画商の一条(津川雅彦)ととらやで待ち合わせをした。何だかんだ言いながら二人の話に首を
突っ込もうとする寅次郎に、二人っきりで話をさせて欲しいと一条が言い放った。てっきり振られたと思った寅次郎
は旅支度をするが、りつ子が一条は大嫌いだと言った事により旅に出るのは直前でお預けとなった。
りつ子にはかねてから心に想う男がいたが、その男が金持ちの女性と結婚する事になった。りつ子は食事も喉を
通らなくなり、失恋の痛手でついに寝込んでしまった。寅次郎がりつ子を見舞って家を訪ねた時に、りつ子から
失恋した事を知らされた。話を聞かされた寅次郎はショックを受け、結局寅次郎も失恋の症状が出てしまい、
寝込む事となった。
今度はりつ子が寅次郎を見舞ってとらやまでやってきたが、意識がもうろうとする寅次郎はりつ子を櫻だと
勘違いし、りつ子に惚れている意味の事を本人の目の前で言ってしまった。それを聞いたりつ子はその場に居られず、
すぐに帰ってしまった。
その後寅次郎はりつ子を訪ね、自分の失態を弁解するような話をした。しかしりつ子から「友達でいたい」などと
あっさり言われてしまい、結局は振られる結末となった。とらやに帰った寅次郎は旅支度をし、寒空の下また
旅に出て行くのであった。
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