山梨県の玩具
01. 甲斐の福竜(甲斐市)
02.
かなかんぶつ(甲府市)と塩山の鳩笛(甲州市)
03. おみゆきさん(甲斐市)
04. 御幣駒(甲府市)
05. 子持ち白だるまと信玄だるま(甲府市)
06. 甲府の土鈴(甲府市)
01. 甲斐の福竜(甲斐市)



中央本線の甲府駅の一つ西に竜王駅がある。ここは甲府盆地誕生ゆかりの地である。伝説によれば、盆地がまだ湖底だった頃、そこには竜王が棲んでいた。神々が竜王に「貧しい人々のために湖を干拓して耕地を拓いてやりたい」と相談を持ちかけたところ、竜王は「諸人の幸福を招くことならば」と快く湖を明け渡して天に昇ったという。その昇天する姿をかたどって作られたのが「追難招福の竜」(福竜)で、昭和39年の年賀切手にも採用された。しかし、その後しばらく廃絶。現在では「かなかんぶつ」や「塩山の鳩笛」などとともに甲府市の郷土玩具研究家によって復元されている。右の高さ25cm。(H22.10.9

02. かなかんぶつ(甲府市)と塩山の鳩笛(甲州市)



かなかんぶつ(左)は端午の節句に飾る甲冑飾りや尚武人形と軌を一にするもので、紙冠物や金兜の字を当てることもある。武田信玄公を崇敬するこの地方で、節句飾りが信玄を象ったものになるのは当然だろう。写真は復元されたミニチュア(高さ21cm)だが、実物では高さ2mになるものもあったという。信玄公のほかにも変り種として桃太郎、天狗、歌舞伎もの、さらには好敵手である上杉謙信公の人形まであったようだ。塩山(えんざん)の鳩笛(右)は、江戸の陶工がこの地に居を移して作り始めたといわれている。素焼の鳩の背に白梅を描き、暗緑色の釉薬(うわぐすり)をうすくかけた楽焼風の土笛である。大正時代に廃絶したままであったが復活した。(H22.10.9

03. おみゆきさん(甲斐市)



信玄公は治水事業にも指導力を発揮した。急流の川除け工事は信玄堤の名で今に伝えられている。大神幸祭(おみゆきさん)は元来の川除け祭(水防祭)が、信玄公が堤防を固めるために神輿(みこし)を担がせて何度も往復させたことから現在の形になったという。ご神体は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)なので、神輿の担ぎ手は派手な長襦袢を着て口紅と白粉で化粧した男衆が務める。「ソコダイっと」「ソコダイっと」の掛け声とともに、一宮浅間神社(笛吹市)から竜王三社神社(甲斐市)までの片道6里にも及ぶ行程を練り歩く。行列の前後には花笠を持った若者がお供する。高さ17cm(H22.10.9)

04. 御幣駒(甲府市)



御幣を添えた御神馬で、甲州の藁馬とも呼ぶ。子供達の祝儀に、正月の飾り用に、あるいは養蚕の守り神にするともいう()。天を仰ぎいななく姿は、勇猛な武田騎馬軍団の姿と重なる。高さ13cm。(H22.10.12)

05.子持ち白だるまと信玄だるま(甲府市)



だるまは赤と相場が決まっているが、甲府には白だるまもある。しかも、親だるまの腹に小さな子だるまが顔をのぞかせているところがまた異色である。子だるまの顔つきが親だるまそっくりで、ヒゲまで生やしていてほほえましい。「親より秀でよ」と念ずる親心を表したものだという。信玄だるまは、信玄公が仏に帰依し、薙髪法体(ちはつほったい)となった風貌を模したものである。高さ12cm。(H22.10.12)

06.甲府の土鈴(甲府市)



信玄公は幼少のころ、木の枝を弓なりに曲げて縄の弦を張った手作りの弓を遊び道具にしていたと伝えられている。弓張り鈴(左)はそれに因んで作られた。人間の喜怒哀楽を表わす5つのだるま鈴を弓に結わえたもの。金桜神社の虫切り鈴(中)は金色に塗られた素焼きの鈴を5つ、紅白の元結で繋いだもの。祭神である須佐之男命(すさのおのみこと)の妃、櫛名田姫(くしなだひめ)が自ら作り、子孫繁栄のために民に分け与えたと伝えられる。昔から、子供がこの鈴を腰に吊るして遊ぶうちに、糸が切れて鈴が飛び散ると「疳の虫が切れた」と喜ぶ“虫封じ”の習わしがある。犬張子鈴(右)も虫切り鈴や弓張り鈴と同じ作者の手になるもの。高さ10cm。(H22.10.24)

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