宮崎県の玩具

01. 佐土原の饅頭喰い(宮崎市)
02. 佐土原の饅頭食い(その2)(宮崎市)
03. 佐土原の天神(宮崎市)
04. シャンシャン馬(宮崎市)
05. 泰平踊り(日南市)
06. 日向うずら車(都城市)
07. 藁細工(日之影町)
01. 佐土原の饅頭喰い(宮崎市)



宮崎県には延岡ののぼり猿08、青島神社の紙雛0715、佐土原の神代独楽木地31など特色のあるものも見られるが、郷土玩具の宝庫・九州にあっては、玩具に恵まれた県とは言い難い。そのようななかで、300年の歴史を持つ佐土原人形は、まさしく県を代表する郷土玩具と言えるだろう。写真は佐土原人形の饅頭喰い。京都の伏見人形京都04に源を発し、全国に同名同型の土人形があるが。佐土原の特色としては、土地ではこれを佐土原名物・くじら羊羹に因んで“羊羹喰い”とも呼ぶこと、また左前に襟を合わせた“左前人形“奈良10になっていることがあげられる。人形が縁起の悪い左前になっている理由について、作者は「高麗人の服装から来たもの」と語っている。一説では、佐土原の陶業は、豊臣秀吉の朝鮮出兵でこの地に連れて来られた高麗人が創始したと云う。高さ22p。(H28.1.16

02. 佐土原の饅頭食い(その2)(宮崎市)



佐土原の饅頭喰いでもう一つ特記すべきことは、大正初期に人形の姿が男の子から女の子に変った点である。それを機に、どうやら左前の饅頭喰いも姿を消したようだ。写真は現在作られている“童女姿で右前の”饅頭喰い。いずれも高さ15p。(H28.1.16)

03. 佐土原の天神(宮崎市) 



菅原道真が大宰府(福岡県)に流された由縁もあって、九州には天神人形が多い。佐土原の天神は伏見系の流を汲む典型的な座天神。取り立てて特徴もないが、端正なお顔は印象的である。佐土原土人形には饅頭喰いや天神など伏見の類型のほかに、当地で盛んであった地芝居に材をとったユニークな歌舞伎人形の一群がある。高さ22p。(H28.1.16)

04. シャンシャン馬(宮崎市)



新婚の夫婦が連れだって縁結びの神様・鵜戸神宮にお礼詣りをすると、帰りは親族たちが途中まで出迎えて花嫁を馬に乗せ、花婿が手綱をとって家路につくという風習がシャンシャン馬である(2)。江戸時代の中期から明治中頃まで行われていたこの風物詩も今では廃れ、民謡大会「シャンシャン馬道中鵜戸詣り」などで再現されるのみとなった。“シャンシャン”とは飾り馬に着けられた鈴の音である。左はこの地の伝統文化を精巧な紙細工によって表現した宮崎和紙人形。右は木彫彩色のシャンシャン馬。高さ6.5p。(H28.1.16)

05. 泰平踊り(日南市)



飫肥(おび)に元禄時代から伝わる泰平踊りは、毎年8月14、15日の盂蘭盆に催されるもの。踊り手は朱紐のついた深編み笠に面を包み、羽二重の着流しに朱鞘の刀の落とし差し、腰には印籠という元禄の伊達姿。武芸十八般を象り、悠長な調べに乗って踊る姿は優雅である。これも宮崎和紙人形によるもの。高さ7.5p。(H28.1.16)

06. 日向うずら車(都城市)



宮崎県には九州各地にある「きじ馬(車)」は見当たらないが、かわりに2種類の「うずら車」がある。一つは八代の法華嶽薬師(国富町)の男性的なうずら車、もう一つは広瀬の久峰(ひさみね)観音(宮崎市佐土原)の女性的なうずら車で、どちらもタラの木を鉈で三角に切って二輪を付けただけの素朴なもの。うずら車は遠く東北の地にもあって、その縁起もよく似ている福島26。写真は、元来は別々だったうずら車を後になって一組にし、「日向うずら車」と名付けて売り出した土産品。形や彩色はオリジナルとやや異なり、現代風である。向かって左が法華嶽薬師、右が久峰観音のうずら車。顔に描かれた“の”の字は、子供の健康と長寿を祈るおまじないの印という。高さ5p。(H28.1.16)

07. 藁細工(日之影町)



日向は神話と伝説に富む国である。高千穂地方で盛んに演じられる神楽の外ジメ(屋外祭壇)には、様々な種類の注連縄が設えられる。日之影町では神事や正月などに欠かせない伝統的な注連縄を作るかたわら、藁を素材とした干支の動物や新しい感覚の壁飾りなども創作している。写真は鶴と亀の門飾り。祝い亀の説明には、「ミゴと呼ばれる藁の一番美しい芯の部分のみを使って甲羅の部分を作る。青刈りした藁のため、まだ自然の緑色が残り、藁のよい香りがする。尻尾には掛け干した米の穂を40本さした」とある。祝い亀の高さ27p。(H28.1.16

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