大統領制

首相公選制を考えるならば大統領制も検討すべきだろう。

大統領制と言うと、アメリカ、ロシア、フランス、韓国などを思い浮かべる。ドイツやイタリアなどは形だけの大統領なのでのぞく。同じ大統領と言っても、ロシアやフランスには首相もいて仕事を分け合っているので、代表としてはアメリカの大統領であろう。

 

小泉首相時代に「首相公選制を考える懇談会」が平成148月7日付の報告書の中で、3案のなかの1つ、案Tとして「国民が首相指名選挙を直接行う案」として報告された首相公選制案とアメリカ大統領との違いを表にまとめてみた。

 

 

選出方法

行政

立法

(拒否権)

議会

解散権

不信任

決議

閣僚(議員との兼務)

首相公選制案

国民直接

行政全般

×

 

×

米大統領

国民間接(選挙人)

外交、安全

保障、経済

×

×

 

この表を見ると、大統領には議会から不信任決議を受けない代わりに、議会を解散する権利も無い。アメリカは行政と立法が独立しているので、長期にわたり政権を維持できる。それに比べて首相公選制案では、現在の議院内閣制と同じく、議会解散権も不信任決議権も両方ともあるが、立法に対する拒否権が無い。こうしたことから米大統領の権力の方が強力と思われるが、そうでもないとよく言われる。すなわち、現在でも首相の権限の方が米大統領より強いと言う人もいる。

 

首相公選制を実現するにあたって問題となるのは、まずは天皇との関係であろう。アメリカにおいては天皇にあたるものがなく、大統領がそのまま元首である。日本においては、天皇が元首である。その天皇と国民から直接選挙で選ばれた首相との位置付けはどうなるのか。私は今まで通り、天皇が元首で、天皇から任名を受けた首相という関係のままで良いと思う。

 

あと、首相を始め閣僚と国会議員との兼務を禁止しているので、どんな影響がでてくるか。これはアメリカでは当たり前で、元々本来の仕事を持っている人も多く、閣僚を辞めても生活には困らないのだろう。さらにアメリカでは政権とともに官僚までが総入れ替えとなるが、日本では不可能だろう。