日本の優位分野について


F/1998-3-20

日本は不況であっても、路頭に迷う人が少ないと思いませんか?
これには、訳があるのです。日本には、多くの分野で日本優位が確立され ているのです。
その優位分野をまとめてみたいと思います。

1.日本と中国との違い
 中国と付き合うと、中国人は、いつも中国は5千年の歴史があり、 すごい国であると主張し、かつ21世紀は中国の世紀であるとも言い 我々日本人は圧倒されるのですが、本当にそうなのでしょうか?
 これに対し、日本人の我々は、いつも日本は悪いし、このような欠点が あると主張し、中国に比べても大した国でないと中国人に対し言うのです。
なぜ、このように日本人は行動するのでしょうか?本当に日本はいい国では ないのですか?
 日本は歴史的に見ても、非常に恵まれていると思うのです。
日本は他民族の侵略を古墳時代以降3千年以上許していないはずです。
例外は第2次世界大戦後の米国統治のみです。中国は他民族支配を経験して いるし、近代の清王朝以降中国の尊厳は他国に蹂躪されつづけているのです。
共産党中国も中国国民を1000万人以上殺すなど民衆を苦しめていたことが 段々明らかになってきています。
 日本では日本の民衆を大量に殺して例は、織田信長の一向一揆鎮圧と 江戸時代の島原の乱鎮圧など例外的な宗教と権力との摩擦の時だけです。
日本の統治は比較的に穏やかであり、中国の統治は相当荒っぽいものです。
 それでも、中国の方が日本より優れているのでしょうか?

2.日本人の特性
 日本人は、日本の欠点を探し、その欠点を改善しより良い状態にしようと する気質があるようです。
この性格があったため、戦後デミングさんが提唱したTQC活動は20年も しないで、日本に定着し、この日本から世界にTQCの指導者を送る出す 結果となったのです。
中国人のように、欠点より優位点を見る民族ではムリでしょう。
 この性格と、勤勉な働きは神に対する修行と同じであると考える宗教観が 合間って、競争が激しくて利益率が低い高度な仕事でも改善を繰り返して、 結局日本でしか作ることができなくなってしまった製品や部品が多数でて きているのです。

3.日本の独占または優位な分野
 驚くなかれ、電子分野、精密機械分野、高度医療分野のほとんどが 日本が優位である。
例えば、液晶パネルは95%以上日本で生産、レーザダイオードと CDプレーヤは99%、スーパコンピュータも世界で日本以外はクレイ社のみで、 NEC、富士通、日立の3社独占状態、コンデンサは村田製作所が世界の 半分で、セラミックコンデンサだと80%以上。
ノートパソコンは、日本の独壇場だが、台湾やインテルが挑戦してきた。
半導体材料のシリコンウエハー、スパッターターゲット、 ポンディングワイヤー、TABテープ、リードフレーム、マスクブランク なども日本勢で占めている。ダイシングソーはディスコ社が世界70%。
携帯電話の部品ではガリウム砒素チップは独占状態、携帯電話の 地上伝送波送受信装置も独占1歩手前。
OCRのハードウエアは日本製が多い。
高品位フェライトは45%がTDKの甲府工場で生産。
ニッケル水素電池も日本の三洋、松下、東芝。
レーザプリンタのエンジンはキャノンで世界の80%、しかし、製品売り上げ ではアメリカのHP社が1番。
ファックスの光学スキャナの生産も独占。ロボットは日本が独占で、 部品を世界に供給している。自動車の大型プレス機は、ドイツのシューラー社 も健在だが、リードしているのは、日本のコマツ。
特にアルミ加工のスクイーズモルド工法では他と寄せ付けない。
高品位な金型でも日本がリードしている。超小型モータは日本のマブチモータ がアジアで生産している。ベアリングは、日本の独占的な分野でミネベアが アメリカのベアリング会社を買収している。カメラの分野も日本で、 テレビ局の放送設備も日本が優位。工作機械も独占状態。内視鏡は オリンパスが世界の70%。住友特殊金属はMRIで利用する磁石を一手に 供給している。インタ−フェロンは林原グループが世界の50%生産。
コピー機の精密部品のほとんど日本から供給。高性能ギアも日本、 船舶の逆回転プロペラの生産も独占。腕時計の電子ムーブメントはシチズンが 世界の20%で、日本全体で世界の90%生産。楽器でも優位な立場にいる。
世界の船舶エンジンの90%は日本。公害抑制技術は日本のお家芸。
航空電子機器分野も日本が世界をリード。
とあげればきりがない。
 このため、HPのRISCチップは日立が生産しているし、SUNの RISCチップは富士通、シリコングラフィックのRISCチップは NECで生産している。クレイもNECのチップを使っているため、 スーパーコンのコスト計算ができると思っているが、NECは原価を シリコングラフィックの手前公表できなかった。CGが儲け過ぎで自国産業を 1つ潰したのでした。その後、クレイはCGに買収された。クレイは NECのスーパーコンピュータをOEMするはず。

4.アメリカの利益が上昇した理由
 段々アメリカの企業利益が上がった理由も見えてきた。それは、自国の 工場で高度部品を作らずに、日本の部品を購入しアジアで組み立てて、 自国に輸入し販売する方法を取り原価の大幅な削減を図ったためである。
IBMのマシンはほとんど日立製である。しかし、日立はIBMコンパチブル でかつバイポーラLSIの高速チップ・マシンを90年代アメリカでどんどん 売れているがこのマシンはIBMにOEMしていなかった。
このマシンが米国でバカ売れした。しかし、IBMはこの分野で日立に 追従できなかった。IBMは30万人社員体制から15万人体制にして しまったために、研究部門特にハード研究分野が弱体化していた。
やっと、対抗機を1999年にIBMは出す事になったが、日立はこの上を いく機種を開発していると聞く。
 従業員数が削減されたことにより、個々の会社の利益は上がったが、 国全体での競争力は大幅に下がっている。日本やアジアの部品がないと、 ほとんど製品ができないことになっている。
また、アメリカでは、資本家と労働者間での貧富の差が広がっている。
 GMは、利益率の高いことで有名であるが、製品構成を見ていると、 ハイテク分野がなくエンジンなどのロウテク分野と証券投資分野とで 構成されている。このため、将来性を犠牲にした利益確保と見ている。
高収益なGMと騒ぎ過ぎであると私は考えていますがどうでしょうか?

5.日本の弱気
 日本の弱気は、不動産の不良資産を抱えている銀行、建設業などの分野が 足を引っ張っているからで、株価もソニーなどの優良銘柄は高いし、 利益も1ドル=120円では、上がると思います。
600兆円の国債と地方債があるため国家財政がきびしい。このため 公共事業は縮小になるはずで公共事業に依存する土木工事業者は、 今後景気回復後、仕事が少なくなるはずです。
しかし、景気は徐々によくなってきているので、日本は世界経済の機関車に 復帰するはずです。

6.21世紀は日本の世紀
 はじめに、21世紀は中国の世紀であると、中国人は言うと書いたが、 これは完全な間違い、21世紀は日本の世紀です。
21世紀までには、不動産の不良資産も整理でき、日本の良い部分が 強化されているはずです。この結果、日本は世界に高品位な部品や製品を 供給する国となり、国民全体が豊になっているはずです。
中国ではなく日本が1番となっているはず。


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