中国の動向について


   F/1999-9-29

 中国の現状は、江沢民の指導体制が確立し、江沢民の無思想性が いろいろな局面で中国を見通しにくくしている。毛沢東・周恩来・ トウ小平のようなカリスマ性もない。江沢民は官僚のバランス上で 記号化した権力でしかないように感じる。

 この官僚で一番権力が大きいのは軍隊で、この意向が中国国家政策 に大きく反映している。しかし、軍人が中国のトップになるかとい うと違う。胡は文民である。中国自体が文民国家の伝統が長いため であろう。

 米国と蜜月の関係であると思えば、在ユーゴ大使館の誤爆後は、 一転して、反米路線になる。9月にマハティールが中国を訪問し、 その後、江沢民がタイ訪問でASEANと中国で米国砲艦外交に 反対し、世界秩序を構築しようと演説した。これって、EAECの こと。ということは、仕掛け人はマハティールということになる。

 米国クリントンは急遽、江沢民と会談して米中関係は正常ですと 取り繕った。これも変。どうして米国は中国に気を使うのか?
米国国内の大統領選挙で民主党と共和党の違いは中国の対応である から、ここで中国と問題を起こすことができないのであろう。
しかし、米国外交は弱くなったものである。もう少し堂々としたら いいのに?

 江沢民の外交は外務省と中共中央外事領導小組の2次元外交である ため、日本の外務省もキリキリ舞をさせられた。
どうも、江沢民は米国の大統領制のまねをしているようである。
国務省と大統領の補佐官の対立を時々、米国の政策実行段階でも起 こすが、これと同じである。

 胡錦寿を江沢民の後継とし、WTO加盟は江沢民としては、 自分の引退の花道としたいようであるが、世界の先進国が認めない。
政治体制があまりにも、独裁的で、かつ貿易上の障碍も多い。

 朱首相が改革しようとしている国営企業の黒字化も、とうとう保守派 軍に押し切られて、できずに終わることになるようだ。宮廷革命の失敗 事例をもう1つ増やす。そして、朱首相の失脚が噂されている。市場経済 化は、外資導入のため止めることができないので継続するだろう。

 台湾問題も軍事的対応をするといいながら、できないために台湾から は見透かされしまっている。軍備の近代化でも1998年に空母を持 つはずであったが、今もって、できない。SU−27の国産化も ロシアと合意したはずが、生産ができていないようである。

 米国は中国をソ連に変わる戦略的敵対国にする努力をしているように 感じる。米国はミサイル技術とロケット技術・通信設備を結果的に支援 した。中国の軍隊を強くしている。そして、台湾にはF−16を100 機以上と最新鋭の武器を売っている。これもCSISの軍事政策学?

 中国はマハディールと組んでASEANを取り込み、米国と対抗 しようとしているが、ASEAN諸国のほとんどは、対米貿易で儲 けているため、この提案には乗れないはず。
日本の米国追従政策と中国の米国対抗政策が明確化してきている。
APEC対EAECの構想を巡り、東アジアは2分される方向である。

 日本と中国はアジアでの影響力は大きい。しかし、中国の南沙諸島 占拠により、ベトナム・フィリピン・インドネシアなどとは敵対関係 になっている。今後とも、日本と中国はアジアで覇を争うことになる。

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