国際法(特に戦時法規)について


   F/1999-8-1

  国際法の知識がないと、世界の紛争や戦争犯罪の確定ができない。
また現在、日本の教育では国際法を習うのは法学の専門家だけですが、 戦争時には、一般民衆もある程度の国際法を知る必要があるのです。
 このため色摩力夫浜松大学教授のセミナーに出ましたので、その報告。

1.国際法の分類
 国際法は、各国の妥協でできるため、国内法に比べ論理の整合性がなく 受け取れる解釈の範囲が大きい。国際社会のルールは、低レベルの状態に ある。このため、立法の目的を明確化する必要がある。

 国際法は3つに分類できる。
・平時国際法
・戦時国際法
  ・戦争法−−戦争に関する法
  ・戦時法規−−戦闘中の法規
  ・中立法−−中立に関する法

  ここでは、戦時法規について見ていく。

2.戦時法規
 a.戦時法規の基本理念
  ・戦闘という人間の極限状況にもルールである。
  ・軍事的必要性と人道的配慮のバランスを取っている。
  ・交戦者平等の原則がある。
   これは、正義かどうかを議論すると国の数だけあるため
   このような平等原則になっている。
   もう1つ、責任の主体は国である。
  ・個人だけが法で処罰する対象になる。
   国を処罰の対象にはできない。
   しかし、ニューンベルグ裁判、東京裁判は国を対象とした。
   このため、国際法上おかしいことになるのです。

 b.法的根拠
  ・1907年の「ハーグ陸戦法規」=慣習法
  ・1949年の「ジュネーブ4条約」
   ・1条陸戦、2条傷病者、3条捕虜、4条占領地の住民に対する法
  ・1977年の第1および第2追加議定書。日米は批准していない。

3.戦時法規の具体的内容
 戦時法規は2つの重要な分野、害敵手段の制限(毒ガス禁止等)と戦争犠牲者 の保護です。

 a.捕虜の資格
  交戦者の規定として、
  ・軍には無条件適用。(軍服を着ていること)
  ・民兵および義勇兵団は4条件が必要。
   ・指揮者がいること。
   ・特殊微章が付けていること。
   ・公然兵器携行していること。
   ・戦時法規を知っていること。
  ・郡民兵は2条件が必要。
   ・公然兵器携行していること。
   ・戦時法規を知っていること。
    戦時法規は国民全員が知る必要があるのです。
    それは、この規定があるためです。
    レジスタンス運動時に必要です。

  それと、第1追加議定書44条では、
   文民たる住民から区別する義務がある。
   交戦及びその展開時には武器を公然と携行していること。

 b.背信
  ・奇計は適法だが、背信は禁止
  ・「敵軍に属する者を背信の行為で以て殺傷すること」は禁止。
  ・第1追加議定書では、「文民、非戦闘員の地位を装うこと」は禁止

 c.復仇
  ・相手国の重大なる戦時法規違反を阻止するために、
   同等の違反をもって対抗することが認められる。
  ・捕虜を復仇の対象とすることは禁止
  ・害敵手段の制限については、現在の現行法でも復仇は合法
   このため、核兵器、毒ガスは根絶しない理由。

 d.内乱条項
  ・1949年のジュネーブ4条件で、史上初めて「内乱」が対象になる。

  

コラム目次に戻る
トップページに戻る