ロシアの混乱について


   F/1999-9-12

  ロシアの混乱が収拾せずに、IMF資金の国外流失もあり、 お手上げの状態である。この現状を考察し、今後日本が、北方四島 と交換に、経済使節団を送ることを想定し、日本政府に変わって、 対案を作成していくこととする。 1.日本の歴史から   日本の明治維新後の推移や戦後の復興は 世界の発展途上国が、 そのノウハウを得たいということで研究されてきました。そして今 までは発展途上国の国作りという面で役に立っていましたが、本来 日本の江戸時代の教育レベルが高かったことを考えると、ロシアな どある程度、教育レベルの高い国に有効であろうと思われます。  どのように、日本は発展したのですか?   日本の発展の原因は、いろいろ研究されていますが、私が考え ますに明治時代も戦後も国家主導で復興を達成したことです。明治 時代は、まず国営の工場を作り、その後それを安い価格で民間に払 い下げる等をやりました。また戦後は通産省の指導により傾斜生産 方式・重点輸出方式で復興したのでした。どちらにしても国家が強 力に指導したことは確かであります。これは取りも直さず計画経済 であったことを意味しているのです。   しかし、現在ロシアは全面的にそれも短期間に移行したいと言 っています。これは、日本の復興を考えますと非常に間違った方向 であると思います。  傾斜生産方式とは何ですか?   1945年8月15日敗戦、この時の粗鋼生産高は56万tで 戦前の1943年の生産高765万tの13分の1でありました。 GHQが戦後まず実施したのが財閥解体でした。83社が指定を受 けました。  1949年GHQはドッジ・ライン(経済安定政策)を取りまし た。この内容は超均衡予算・国債の発行停止・復興金融公庫の融資 停止などのインフレ抑制策でした。  1950年の朝鮮戦争と1954年の平和条約締結により独立を 達成し、通産省が産業振興政策を本格的展開できるようになりまし た。  この1954年までの間、基礎的資材を主に重工業に配分し、 日本経済の復興をはかろうとした方式のことであります。この後は、 金融の重点投資により、育成産業製品の輸入を止め輸出産業育成策 を図り初めます。 2.東南アジアの歴史から  この発展は、日米の貿易摩擦が背景にあります。1960〜 1970年代から繊維・鉄鋼の摩擦から始まり現在はハイテクの研 究開発中の分野までが対象となっていますが、日本から輸出できな くなった商品をまず韓国・台湾と香港が肩代りしました。日本から の投資(100%子会社)と日本との合弁企業を受け入れるための 体制や諸制度を整えました。 特に台湾では高雄を自由貿易港と指定して、関税をかけないように して、そこで製造した商品のコストを引き下げました。その後の中 国等の呼び込み策のひな型を提供しました。そして、ご存じのよう に、シンガポール・マレーシア・タイなどが続いて発展しました。 これは、現地の賃金水準が高くなると企業が工場を移すためです。 また、3国では十分なインフラがなかったため、日本が大量のODA を供与して、インフラを整備しました。 現在は、バングラディシュ・インドネシア・フィリピン・中国に低 価格商品は移っていっています。これらの国が今のODA最多投入 国だからです。  この観点からすると、日本と仲良くしかつ自由貿易港・地域を設 ける必要があります。日本と仲良くするとは、北方領土を返還する ことであります。それができないのならムリだと思います。 返還後、すぐに沿海州やハバロフスクに自由貿易港を設置すること です。 3.近代資本主義に必要な条件とは?  政治自由化や議会主義を採用すれば、社会は発展するとの前提で 欧米社会はロシアに民主化・自由化を要請したが、この実験も大失 敗であったことが判明した。欧米経済学者は歴史を知らなすぎ。 日本研究をやっておけば、このような状況にならなかったはず。  資本主義の発達する条件をしては、  1.教育  2.労働を価値付ける思想  3.人間間の相互信頼感  4.社会発展の段階における国家の介入  5.汚職がなく、治安がよく等のモラルがあること。  6.軍備等に国家資金を使わないこと  結果として、貧富の差がなくなることが必要。  この条件からすると、ロシアは基礎の部分で満足できるのは、 1.の教育だけである。このために、市場経済が運営されていない。 よって、経済が不調となり、自立化できずに、欧米の援助を求め続 けることになるのです。まともなのは、軍事産業だけ。 この経済を自立化指導ができるのは、日本しかないと思うのですが どうでしょうか? 4.ロシアの予測  私は、ロシアのプライドが高いと、東南アジア流の対処ができな いのではないかと懸念しています。  そして、日本流指導の方法ですと、民主化・自由化はするが、重 工業やハイテク分野では今後も計画経済を残すことです。後はロシ アのプライドの問題ですね? 5.前回のコラムも有効であるので、見ていただきたい。
ロシアの失敗1999F

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