マハディールの反乱とその成功


   F/1999-9-03

  米国一国世界支配体制の金融自由化・グローバル化に、 異を唱え、その異を認めさせたのは、マレーシアのマハディール 首相のみである。このマハディールの功績は非常に大きいと 考えられる。この功績を検討しよう。

1.アジア危機の発生
  1990年前半に1ドル=80円台までなった日本の円が、 1997年以降、120円まで下落し、それまでドルにリンクして いた東南アジアの通貨は、円に比べ高騰した。このために、日本の 製品より高い製品になって、売れなくなり、また雑貨は中国の商品が 出回り、この中国製より高いために大幅に市場を無し、 東南アジアの危機が起こったのです。
  この危機に輪をかけたのが、英米資金が急激に国外流出し、 これによるアジア企業の資金ショートが起こり、大混乱になった のです。
  このため、マレーシア以外の東南アジアの国は、IMF資金流入 で建て直しを図ろうとした。しかし、IMF資金は裏には国際金融 資本の企業乗っ取りの意図が隠されていたために、日本の資金が 入らない地元資本は国際金融資本の餌食になったのです。
  このことを知っているマハディールは、この国際金融資本と 戦う道を選んだのです。

2.マハディールの政策
  1998年9月資本規制として、株売買代金の国外持ち出し禁止 という国際金融資本のもっとも嫌う政策を、1999年9月 に解除するまで1年間実行した。
  この間、英米金融資本の代弁者である国内のアンワル副首相を 禁固6年という大罪にして政治追放した。
  また、CNNやその他英米報道機関から叩かれたが、これを凌ぎ、 英米金融資本の代表であるソロスと論争し、急激な資金移動はよくない と認めさせたのです。
  このため、ソロス自身が国際的な資金移動監視機関が必要と 主張し始めたのです。
  この1年間にマレーシア国外に流出した資本はそれほど大きく なく、マレーシアの経済は他の東南アジアのような大混乱もなく、 マハディールの評価は高まったのです。

3.日本の今後はどうすればいいの?
  日本としては、マハディールが提唱した国際的な資本移動監視 機関の実現に向け、行動する必要があるでしょう。
  日本は資本の急激な移動が起こりやすい国家である。要するに 国際金融資本のターゲットになる国家であることを肝に銘じることが 必要であろう。
  しかし、マハディールの行った資本規制はできない。経済規模が 違いすぎる。小さなマレーシア経済であれば、世界の大勢に影響は ないが、世界第2位の日本はムリであろう。

  日本は逆手が打てるから、打つことも考えていいと思う。
急激な資金流入の時は、日本単独で円を放出する。大蔵省の輪転機(?) を回せばいいし、逆に資金が流出の時は、米国国債を大量に放出すれば いいのである。
  日本は、全ての手を使うと脅す必要がある。日銀・日本政府の皆様、 悪党になってくださいよ。

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