北朝鮮の動向について

F1998-7-9

 北朝鮮の不審船や米朝会談等、世界の悪者−北朝鮮について皆様と検討したいと思います。

1.北朝鮮現状を知る方法
 北朝鮮の内情は公式的な報道がないために、今までは、ほとんどわからなった。 しかし、在日北朝鮮人の会「レンク」が、最近北朝鮮内部の模様を 撮影した90分ビデオを公開し、悲惨で生々しい北朝鮮の現状が世界に伝えられた。 それと韓国の仏教会が中国に逃げてくる難民から北朝鮮内部の話を聞いて、 現状の北朝鮮で起こっていることを推測している。この2つのルートからの情報により 、段々、北朝鮮内部の状況が把握されてきている。その他、亡命者からの証言や 米朝交渉上で北朝鮮政府が公にした情報も参考として見ると、次のようなことになる。

2.食糧配給と餓死・難民
 北朝鮮の配給は、1993年から段々なくなり、1995年に平壌以外完全に途絶えた。 そして、1998年からは首都平壌でも配給ができなくなり、40万人?を平壌から地方へ 転居させる事態になっている。99年今年は4月で国内備蓄食糧が尽きる事態で、輸入や 支援食糧はあるが少量なため、まだ今年の秋の収穫期までの食糧が確保できていないと 米朝交渉の席で北朝鮮代表が言っている。勿論、闇市場で中国からの食糧や農民の備蓄食糧 などが売られているし、雑草やクルミの皮等も食べているようであるが、95年までに 70万人が餓死、96年に100万人餓死、97年100万人以上餓死、98年も同じ。 99年はこれまで以上の人が餓死する可能性がある。ということで、すでに370万以上 の人が餓死し、あと150万人以上が餓死する可能性がある。1990年時点の 北朝鮮人口2000万人であるから、実にその25%が餓死することになる。 ビアフラ800万人で餓死者30万人(4%)に世界が大騒ぎした時より餓死者が 大幅に多い事態になっている。
 しかし、北朝鮮国民が可哀想なのは、世界からの救援活動が北朝鮮政府により 妨害されてできないでいることと、中国政府と北朝鮮政府の取り決めで中国に逃げた 難民を中国政府は強制送還していることである。北朝鮮から韓国へは軍事境界線のため、 逃げると銃殺されるために逃げられない。このため、中国へ逃げ強制送還されていない 難民数も10万人程度で、ほとんどが北朝鮮国内で死んでいるのです。

3.北朝鮮政府の目標
 北朝鮮政府は、核開発とミサイルの開発を重視して、ほとんどの物資を優先的にその開発 に回している。このため、羅津と新潟を結ぶ定期船万景号の積み荷を見れば、いかに日本 から電子部品を買っているかがわかる。この電子部品で日本攻撃のミサイルや核を 作っている。
そして最近、ノドン・ミサイルが30機実戦配備され、かつ少なくとも5発の核爆弾を 持って、日本の東京・沖縄米軍基地や韓国の全土を狙っている。これは、北朝鮮政府が 自分で、このミサイルの攻撃目標を明言していて、今後テボドン・ミサイルができれば、 ワシントンも標的にすると言っている。
 北朝鮮の国家目標は、金日成・主体思想で韓国を併合することであり、このためには 手段を選ばないと明言している。この実現ために、日韓両国への工作員2000名、 内日本担当400名を有しているのである。
 日本担当の工作員は、不審船が逃げた党の清津連絡所と軍の機関に所属していて、 清津から月1回日本へ定期的に侵入している。それと1974年金正日が党工作員機関で ある3号調査所の責任者の時代、スパイの現地人化を推進するため、教育係として 韓国人500名と日本人70名弱を拉致している。それとソウルの街並を平壌の地下に作り、 工作員の教育をしている。
 このように、現在も朝鮮半島では冷戦が続いている。
 
4.韓国の北朝鮮政策
韓国政府は金大中大統領の下、北朝鮮に対し太陽政策を行っている。 この太陽政策は、韓国主体で北朝鮮を併合すると経済的に大きな負担になるため、 現状の固定を模索しているようである。政商現代は、金剛山観光の名目で月2億円を 北朝鮮に支払っている。この現代の裏には金大中大統領の意図が隠されているようである。 もう1つ、気をつける必要があるのは、反体制の新聞が30万部あり、北朝鮮が本当の朝鮮 を代表していると宣伝し、学生を中心に支持者が多いことです。しかし、その韓国でも 北の工作員に対しては強硬な対応をしている。つい最近の領海侵犯で見せたように、 北の不審船や潜水艦は容赦な撃沈させている。
 もう1つ、金剛山観光で女性が北朝鮮の拘束を受けたため、金剛山観光の継続に疑問符が ついている。
 また、肥料援助も条件なしから、一転して南北離散家族問題の進展がなければ、しないとの 方針変換が行われている。

5.米国の北朝鮮政策
 米国政府の政策は、北朝鮮にソフトランディング政策で対応している。 これは中国のように社会市場主義の方向に持っていき、世界秩序の中に入れることを考えて いるようためである。北朝鮮が崩壊し、数100万難民の受け入れを韓国が望まないためで、 北朝鮮を徐々に市場経済化していこうと指向しているが、今の所、うまくいっていない。  もう一方では、B−1ステルレス爆撃機をグアムに進駐させ、沖縄では海兵隊が韓国有事 の訓練をしている。南太平洋では、米韓豪3軍の東アジア有事訓練を行っている。また、 米軍5027作戦を意図的にリークし、北朝鮮が戦争準備したら、直ぐに攻撃すると 警告している。このように米国は北朝鮮に圧力を掛けることも忘れない。
 ここが、日本とは違う。

6.日本の政策
 日米有事のガイドラインを決め、やっと一歩前進した所であるが、 日米韓と北朝鮮とが戦う事態を想定するなら、有事関係法案の整備を今後早期に実施する 必要がある。その上で、交渉上最優先課題である拉致した日本人の即時解放を求めること である。北朝鮮が反発すれば、万景号の寄港停止、日本からの北朝鮮への送金停止、 朝鮮総連の資産凍結、朝鮮総連の不法団体指定といろいろな交渉材料がある。基本的には、 話してもわからない相手には、力の行使しかないと思う。
 そして、日本政府は中国政府に対し難民の強制送還をやめさせ、難民キャンプを 作るよう交渉してはどうか?このキャンプに、NGOを中心とした日本人や在日朝鮮人 や韓国人の協力で、米等の食糧を援助し、医師団を送ればいいのです。北朝鮮の軍属も このキャンプに来るはず。この時は、武装解除すればいいし、反政府活動も武装を伴わない ものは、認可すればいいのです。
 そうすれば、北朝鮮政府を助けないし、そして北朝鮮の民衆を助けることになり、人権的 にもよい結果になるはず。
 日本が東アジアの盟主として、その真価を問われているのです。

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