金融覇権と今後の日本


   F/1999-9-25

 今回は、円高ドル安で日本・米国の金融覇権争いはどうなるか、 検討しよう。

 米国が世界の覇権を1国で掌握しているために、地域紛争はあるが 世界のメイン部は平和を享受している。これも米国のグローバリズム のおかげだ。米国軍事費はたいへんであるが。

 今までの世界の長い歴史では、戦争の歴史と言っていいほど、戦争 があり、戦争と戦争の間に平和な時期が少しある感じでした。

 この戦争に必要なものは軍事力であり、この軍事力をどう確保する かが各国の問題であった。しかし、米国の軍事力覇権が確立すると、 基本的には他の国は平和となり、このため軍事力による覇権争いから、 経済力による覇権の争いになってきている。この経済でも、実体経済 より、金融覇権の争いになっている。これは、実体経済の価値創造より 金融経済の価値創造の方が大きいためで、米国の金融バブルがそうさせ ている可能性があるのです。

 お金がインターネットを介して自由に世界を動き、国の政策を大幅 に制限しているようです。日銀がいくら国内金融を掌握しようとして も世界のトレーダから政策を支持させないと、反撃を食い、目的を 達せられない。このため、日銀の政策も、市場に受け入れられること が必要です。この点、ルービン前財務長官はよく分かっていたが、 日本の金融関係者は、頭が固く全然分かっていないし、分かろうとも しないのです。45年統制経済の頭で政策を実行することしか考えない。
それでは政策遂行ができないと肝に銘じてほしいのですが。

 このお金のスピードが早いのも実体経済と違う所です。ある国の 経済が悪いとなれば、お金はその国から数秒で流出することになる。
この例は1998年のアジア危機です。1ケ月で半分程度の資金が流失 した。
 金融覇権では、社会全体で自由になるお金がどのくらいあるかが勝負 である。この金額は日本の貯蓄額と米国の資産家の資金が良い勝負をし ている。
米国の資産家は人口1%が米国全体の資産の40%を持っている。
ビル・トッテンのHPに資料がある。国際戦略リンク集海外情報サイト でビル・トッテンHPへリンク。
 益々米国国民は貧乏になっていき、一部の上流階級だけが増収になっ ている。この米国の金持ち優遇策を日本に入れようとしている人たちが いるが、大きな問題を将来残すように思う。この優遇策の理由が日本から 金持ちが逃げ出すというが、日本から出て行きたい金持ちたちは、出て いけばいい。
 高所得者優遇の米国をまねるのは、貧富の差が大きくなり、社会秩序の 戦後日本の考え方を維持できなくなる。歴史法則の方向とは違う道に行って しまうように思う。歴史法則では、人間の貧富の差を無くす方向できたはず。 貧富の差が激しいと総需要も高まらないため、フォードは工場労働者に高給 を与え、自動車を買わせたではないか。

 日本は金欲より、秩序や道徳を守る方に人生の価値があると教育すること が必要でしょう。米国の価値観は好きにならない。

 横道に逸れたが、米国と日本の資金の性格は大きく違う。日本は中産階層 の人たちの貯蓄で安全確実な運用になるし、米国資金はハイリスク・ ハイリターンの投資になるはず。今まではハイリスク・ハイリターンの投資 姿勢の方が米国景気がよかったために、良い運用成績になっていた。
一時、デリバティブの怪物によっって、米国金融界は儲けていると言われた が、ブラック・ジョーンズ・モデルの正体がわかれば、たいしたことはなく、 これで儲けが出るというのはおかしい。運用成績もあまりよくないようだ。

 今後、米国景気がおかしくなったら、日本のような安全サイドの運用の方 がよくなるはず。消費も米国は外海用ヨット、高額な絵画や装飾品が売れる が、日本ではPCやAVなどの10万円程度の実用的な機器が大量に売れる。 が、高額な商品はほとんど売れない。日本の中産階級は堅実なのです。
この中産階級を滅ぼしているのが今の米国です。日本も米国と同様にする 考え方には大反対である。米国かぶれの評論家に要注意が必要。
ベンチャー・キャピタル制度の導入までは賛成。しかし、税制の見直しで 上流階級優遇はおかしい。政府機構の簡素化までは賛成。福祉見直しは いいが、大幅削減はよくない。セイフネットは、単一国民国家では 絶対必要。

米国の金融商品は危険なものがあるので、注意が必要だ。
日本的な商売道徳はなく、米国は大会社でもインチキな商品を出す可能性 がある。特に儲けがだんだん少なくなっている今の時期には要注意。
米国の金融覇権はその輝きを失い始めている。

 日本は、やっと金融不況から脱出し、リストラに真剣に取り組めば 実体経済は台湾地震で生産出来ないの分も日本でカバーする必要があり、 好調なので、全体も好調になり、米国から帰ってきた日本の金が世界に 出ていくことになる。日本の金融が米国の金融を圧倒することになるよう に思う。
1980年代後半から1990年当初と同じになる可能性がある。

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