インドネシア問題


   F/1999-8-20

  インドネシアの地域紛争が拡大してきているので、この問題を検討したいと 思います。

1.インドネシアの現状
  インドネシアのGNPは213億ドルと韓国の半分で日本の25分1、 1人当たりGNPは1000ドル/年と韓国の10分の1、日本の35分1程度。
発展途上国並。田中元首相がインドネシア訪問時に反日運動が吹き荒れたため、 最近まで日本企業の進出もなかった。
  言語・民族がさまざまな多民族が、何千キロメートルにも広がる 何万もの島々に、互いに交流がほとんどない状態で暮らしている国である。
  国として、統一したのは、オランダ人が植民地として、蘭領東インドを 建設したことに始まる。独立後もほとんどの時期、軍事政権であった。
  ここで民主主義による選挙が行なわれたが、土台がバラバラな民族を1つの 国家としてまとめることは、軍事的な支配がない限りできないのです。
  現政権はジャワ島が他島を軍事支配しているので、ユーゴスラビアのアジア版 みたいな国家と形容できると思うのです。ここに問題が起きないはずがないのです。 ユーゴのように米国の軍隊を送らずに民族独立が可能な地域が多くあるのです。
  ただ米国は民間援助すればいいだけで、政府援助は内政干渉になるのでしない。

2.地域の独立に向けて
  このため、東チィモールの独立が世界的に問題とされるが、ここの独立 が引き金となって、どんどん独立運動が拡散していくことになっているのです。
  アチェ特別州、マルク州アンボン、リアウ州バタム島などで、独立運動や 民族・宗教間紛争が起きている。
  今後もインドネシア情勢は注意が必要でしょう。

3.日本への影響
  なぜ、インドネシア情勢を日本が気にするの?
  それは、中東からの石油輸送ルートであり、かつインドネシアの海峡を 通行するため、インドネシア紛争はこの輸送に大きな影響を与えるからです。
  マラッカ海峡かスンダ海峡もしくはロンボク海峡のいづれかの海峡を 通行する必要があります。
  このうち、現在通常に走行しているマラッカ海峡の近くにアチェ独立運動が 起こっているのです。アチェ特別州は、スマトラ島の西半分のことですので、 マラッカ海峡のインドネシア側です。

4.今後の動向
  米国は民主主義の世界への拡大と民族の独立を支援し、米国の権益を拡大している ことは、何遍も述べていることですが、アジア地域は、特にIMF等の資金も投入 して、軍事独裁政治を民主主義に変えるように誘導してきています。
  台湾、韓国、フィリピン、インドネシアなどが冷戦後、軍事独裁から民主主義 国家に米国の圧力で変更したのです。とくにインドネシアは今回のアジア危機が引き がねで選挙を実施したのですが、まだ軍部の力が強いため、独立運動弾圧で人権問題を 起こしやすいのです。
  しかし、この人権問題は再度米国の介入が入るため、インドネシアのように 多民族国家でかつ、地域独立の強い所は最終的に独立させるしかないのです。
  無理矢理独立を阻止すると人権問題で起こすので、軍事的な行動はできないはず。
  また、議会選挙を実施すると、議員はそこの民衆の支持が必要ですから、 民衆が独立と叫べば、議員もそうするしかないのです。
このため、インドネシアは複数の地域に独立することになるでしょう。

5.日本のすること
  武力衝突がないように、スムーズな独立移行ができるようにインドネシア政府 に働きかけるしかないと思います。
  独立した国家の経済援助を日本も実施して、このインドネシア地域の安定を図る 努力をする必要がある。日本のシーラインであることをいつも念頭に置いておく 必要があると思います。
  もう1つ、マラッカ海峡に機雷等が敷設される可能性もあるために、 その除去等ができるように国内法の整備をする必要があるはずです。

  シナリオとして、危機方向で記述してあります。

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